コンサートの思い出――りりィさんを偲んで

11月11日(金)雨が降ったりやんだり

コンサートの思い出――りりィさんを偲んで

夏の闇の中で
明るく照らされている
野外音楽堂のステージで
あなたが歌っているのを聞いた
音楽堂は満員で
遠くからあなたの姿を見ていた

下田逸郎さんと
遠藤賢司さんのステージが続いて
遠藤さんが盛り上げた後に
あなたが出てきた

ちょうど「私は泣いています」がヒットしていた時で
いつこの歌が歌われるのかと思っていたら
客席で赤ん坊が泣く声が聞こえた時に
次にこの歌を歌うといったので、
拍手が起こった
歌う前から拍手が起こってくらいだから
コンサートは大成功であった

もう40年以上昔の話だ

秋から冬へと移り変わる時期に
ぐずぐずと降り続けている雨の中で
あなたの訃報を聞いた
あなたが私よりも年下であることを知り
まだ未来が残されていたはずだったと残念に思った
そしてもっともっとたくさんの未来が
あった時代――あなたのコンサートを聞いたころの思い出を
いろいろと探った

私が描いた似顔絵を
ちっとも似ていないじゃない
りりィじゃなくて、私に似ている…
といった女性がいたが
どうしているのかなと
関係があるようなないような話を考えたりした

人生は長く
起伏に満ちている
あの夏の闇の中の
照らされたステージのような
場面に何度出会うことだろうか

〔本日=11月11日朝、歌手で女優のりりィさんが亡くなられたというニュースが届いた。たぶん1974年のことだったと思うが、彼女のコンサートを聞きに出かけたことがある。なぜ出かけたのか、本当の理由となっているものは思い出せないが、出演作である大島渚監督の映画『夏の妹』を見ていたことも影響したのだと思う。会場であった京都の円山野外音楽堂は、学生時代によくデモ行進の後の集会でなじみのある場所だったが、それとは別の――ただし若者が多いという点が共通した――集会の熱気を感じた。あまりコンサートには出かけないので、かなり詳しく記憶が残っている。りりィさんのご冥福を心からお祈りする。〕

富士山

11月6日(日)晴れ

富士山

美貌ではあるけれども
恥ずかしがり屋で
暖かい季節は
青い遠景の中に
姿を隠している
富士山が
見える季節がやってきた

都会と都会とを結んで走る
高架鉄道の上からは言うまでもなく
ビルが雑然と並ぶ都心部と
平屋や二階屋や少し高いマンションが
雑然と並ぶ住宅地を結んで走る
バスの中からも
時々富士山が見えるようになった

夕方にシルエットで見ると
わからないが
午前中にかすかに見える富士山は
遠目に見ても
そろそろ雪が積もり始めている
恒例の薄化粧ですね
年齢の割には化粧が厚くないのが
美人たるゆえんですね
などと

美貌を保つ苦労を知らない
やじ馬たちが
ほめそやす声を聞いて恥ずかしいのか
富士山が視界から
遠ざかっていくような気がする
呼べば呼ぶほど
遠ざかっていくような気がする

秋霖

10月8日(土)雨、午後になって晴れ間が覗く

秋霖

秋霖は
夏を終わらせる雨
それが9月に降りやまずに
10月になっても降り続けている

夏の名残の暑さで
悪い汗をかいたのが後を引いて
なぜか体調が戻らないまま
禁酒を続けて2週間が過ぎた

昼酒でも飲んで気を紛らわしたいと思いながら
しばらく酒はやめなさいという医者の声も耳に残る
降り続く雨と
酒が飲めない酒飲みの
根比べが続く

秋霖の時期は長くなってきていると
気象学者は言っているらしい
いくら長くなっても
必ず終わりはあるはずだ

早くすっきりとした
秋の酒を飲みたいものだが
それまでに体調を戻すには
まだどれだけの我慢が要るのだろうか???

ともだち

8月29日(月)台風接近、曇り時々雨

ともだち

小学校の時、
相撲を取って、
捨て身技に不覚を取り
投げ飛ばされた
投げられて 空中で裏返しされた時のことを
地面に叩きつけられた時の
痛みよりも強く覚えている。

卒業以来、
久しぶりに会って、
酒を酌み交わした時に
またまた不覚を取って
酔いつぶれてしまったことを思い出す。
私よりも、
死んだ母の方が、その時のことをよく覚えていたようだ。

死んだ父が言っていた。
サラリーマンになったはじめのころの
仲の良い友人たちは
みんな若いうちに死んでしまった。
酒の飲みすぎだったのだろうか。

小学校の時に私を投げ飛ばした
友人は、今はいない。
親子二代にわたり、
仲のいい友人は若死にするという
ジンクスの中で生きてきて、
父親が死んだ年を10歳以上越えた
量は少なくなってきたとはいうものの、
やはり酒を飲み続け、この世にいない友のことを思い出している。

花火

8月3日(水)晴れたり曇ったり、一時雨

花火

駅に続く地下街を
色とりどりの
浴衣姿が歩いていた

そういえば、今日は花火の夜
彼女たちはどこで、
そして誰と、花火を眺めるのだろう

地下街にいても
ドドンという音は聞こえる
ちょっと弾んだ
夏の響きだ

花火はもう始まってしまったか
うちに帰ってから見ることができる分は
あまり残っていないかもしれない

バスを待ちながら
そんなことを考える
ビルの谷間から部分的に姿を見せる
花火を携帯で写している人もいる

わき目も振らずに
歩いてきて 並んでいる そこのお兄さん
ゲームの画面ばかり見ていないで
少しは周りに目を向けたらどうだろう?

今日は市内が
花火で盛り上がっているのに
自分だけの世界に閉じこもっていては
世の中の多くの
楽しみを見逃すことになるかもしれない

浴衣で歩いている女子たち
ドドンという音
花火の光と匂い
夏の色と闇

背を向けていたら
君はますます孤独になるだろう
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