日記抄(5月14日~20日)

5月20日(土)晴れ、気温上昇

 5月14日から本日までの間に経験したこと、考えたことなど:
5月14日
 前日(13日)のJ2第13節水戸ホーリーホック対横浜FCの対戦は0⁻0で引き分けに終わった。横浜FCはこれで2位に後退。水戸はおそらくこれまで最も多く対戦しているチームだと思うが、それだけのことはあってそう簡単には勝たせてくれない。

 『朝日』の朝刊で木村草太さんが道徳教育について考える際に手掛かりになりそうな書物を3冊あげていた中に、当ブログでも取り上げたパオロ・マッツァリーノ『みんなの道徳解体新書』(ちくまプリマー新書)が含まれていた。この書物がもっとも重要なことだと論じているのは、「自分とは違う人間が世の中に存在することを認める努力」(174ページ)であるが、これは木村さんが取り上げている残り2冊のうちの1冊、辻田真佐憲『文部省の研究 「理想の日本人像」を求めた百五十年』(文春新書)で文部省(→文科省)が追求してきたと言われていることとどのような関係になるのか、それが考えてみる際の出発点の1つとなるだろう。

5月15日
 NHKラジオ「まいにちイタリア語」でイタリアから日本にやってきた青年が、彼を迎えた日本の友人に
Perché hai deciso di studiare l'italiano? (何でイタリア語の勉強をすることにしたの?)
と質問している。こう聞かれても、それほどはっきりした理由があるわけではない場合が少なくない。日本語の勉強にしても同じことかもしれない。イタリア人パートナーのフィオーレさんは日本語を勉強するようになった理由として、ヨーロッパのものではない言語を勉強したかった、その中で日本の文化や歴史に魅力を感じていたからと言い、アンドレアさんは外国の言語や文学が好きだったので、日本語と日本文学を選んだのだ、初めはそれほど夢中ではなかったのが、やっているうちにのめりこんだと話した。選ぶきっかけは偶然に近いものであっても、やっているうちにのめりこむということはありそうだ。もちろん、やっているうちに向いていないと気づいてやめることもあるはずである。

5月16日
 『朝日』の朝刊に大学の授業の1コマがふつう90分であったのが、100分に延びる傾向にあるという記事が出ていた。私が大学に入った時は110分であった。90分が一般的になったのは1970年ごろからであろう。110分といっても、先生が遅れてきたり、早くやめたりで融通が利いた。英語の授業などでは、自治委員がクラス討論をしたいので早めにやめてくださいと掛け合ったりした。授業時間があまり短いとそういうことがしにくくなる。よしあしである。

5月17日
 研究会と重なったので見に行けなかったのだが、ニッパツ三ツ沢球技場でJ2第14節横浜FC対カマタマーレ讃岐の対戦があり、横浜が2-1で勝利して、首位を奪回した。比較的下位にいるチームではあるが、これまでの対戦成績から見ると分がよくない相手である。まあ、勝ったことで良しとしよう。

5月18日
 NHKラジオ「まいにちフランス語」応用編「インタビューで広がるフランス語の世界」の第11課で、フランス人講師のヴァンサン・ブランクールさんは次のように述べた:
  Je crois qu'un des intérêrets de la francophonie, c'est de nous amener, nous Français, à réfléchir sur notre passé colonial. Aujourd'hui, à travers la langue française qui nous est commune, nous pouvons nous pencher sur ce passé douloureux qui nous est aussi ommun.
(フランス語圏を知る意義の一つは、われわれフランス人に植民地時代の過去について考えさせることだと思います。現在ではフランス語という共通言語を通して、われわれが共有したいたましい過去について検討することができます。)
痛みは両方にあるというときの、痛みがどのようなものかを語り合うべきだというのであろう。 

NHKラジオ「まいにちイタリア語」応用編「描かれた24人の美女」の第11回は、ミケランジェロのミカンに終わった最後の作品である<ロンダニーニのピエタ>を取り上げていたが、作品を解説するイタリア語の文はミケランジェロの遺した詩行から始められていた。
 Giunto è già 'l corso della vita mia
con tempestoso mar, per fragil barca...
(Michlangelo Buonarroti, Rime, N.285)
 わが人生の航路ももはや終わらん。
 壊れかけた小舟で、荒れ狂う海を行くがごとき航路を
 (ミケランジェロの「詩集」から、池上英洋訳)
 ミケランジェロは彫刻家、画家、建築家であるとともに詩人でもあったことがわかる。

5月19日
 イタロ・カルヴィーノ『まっぷたつの子爵』(岩波文庫)を読み終える。面白かった。この小説については、また機会を見つけて取り上げるつもりである。

 さらに高橋呉郎『週刊誌風雲録』(ちくま文庫)を読み終える。さまざまな週刊誌の興亡を著者自身の経験を踏まえて内側から語っている。週刊誌というメディアについて一応のことを知るためには便利な本である。この本でもところどころで触れられているが、海外の週刊誌(あるいはそれに類した雑誌)と日本の週刊誌はどこが違うのかということがもっと掘り下げられていたら、もっと面白かったのであろうが、そこまでを望むのは無理かもしれない。
 そういえば、『朝日』の朝刊に雑誌の図書館である大宅文庫が財政難に陥っているので、運営費の募金活動をしているという記事が出ていた。大宅が雑誌を情報源として活用していたのは有名な話だが、現在活躍中の池上彰さんなどもやはり雑誌を活用している様子である。誰か、雑誌活用術の本を書いたら、側面からの援助になるかもしれない。

5月20日
 少し間隔があいてしまったのだが、医師の診察を受けに出かけ、その後、薬局で薬をもらう。22日には、別の病院で別の病気の診察を受けることになる。なかなか大変である。

 明日(21日)は13時から小机で横浜FCシーガルズの試合があるので、どこかで弁当を買って見に出かけるつもりである。22日には病院の帰りに映画を見ようと考えている。さらに27日には18時から横浜FCと名古屋グランパスの対戦があり、これも見逃せない。病気だ病気だと言いながら、あちこち遊びまわっている。この調子ではろくなことが起こりそうもない。 
 

日記抄(5月7日~13日)

強調文5月13日(土)雨
 5月7日から本日までの間に経験したこと、考えたこと、また前回書き落としたことなど:
5月1日
 『朝日』の「俳句時評」で恩田侑布子さんが「震源としての俳句」と題して、中村草田男の俳句について書いている。「<萬緑の中や吾子の歯生え初む>など、人口に膾炙した句も多い」とあるが、一番有名なのは「降る雪や明治は遠くなりにけり」だろう。あまり有名すぎて引き合いに出すのが躊躇されたということだろうか。

5月2日、3日とバスの車窓から富士山が見えた。
まだ白き富士を遠くに見る五月
誰かがもう作っていそうな句である。

5月4日
 1919年のこの日、中国では北京の学生たちが山東返還などを求めデモを行い、それが全国に拡大した。5・4運動である。同じ年の3月には朝鮮で3・1独立運動が起き、前年の1918年8月には日本で<米騒動>が起きていた。

5月6日
 NHKラジオ第二放送の「朗読の時間」で漱石の「草枕」を聞く。若い頃に読んで、読み落としたところ、意味が読み取れなかったところに気付き、なかなか面白かった。

5月7日
 横浜FCはアウェーで東京ヴェルディと引き分け、首位を守った。
 プレナスなでしこリーグ1部で、ノジマステラ神奈川相模原が日テレベレーザと0-0で引き分けた。引き分けとはいえ、勝利に等しいような試合結果である(試合内容は知らない)。ノジマステラはカナダ人のGKが目立っているが、選手全員の力でこの結果を勝ち取ったということであろう。

5月8日
 宝塚の娘役から映画界入りして活躍した月丘夢路さんが亡くなった。「佳人薄命」という昔の中国の詩人の言葉を裏切って95歳の長寿であった。高峰秀子さんより1歳年長だったのだが、『二十四の瞳』では教え子(が成人した)役を演じた(『ジャイアンツ』でキャロル・ベーカーが自分より1歳年下のエリザベス・テイラーの娘の役を演じているのを思い出す)。これも美貌のなせる技であろう。出演作では川島雄三の『あしたくる人』の印象が強い(京都の場面が多いからかもしれない)。広島の出身で、自主製作映画『ひろしま』に五社協定を破り、出演料なしで出演したことでも知られる。宝塚の先輩で被爆死した園井恵子(『無法松の一生』の吉岡夫人役で知られる)と共演したことがあって、その時のことなど語っている資料があれば入手したいと思っている。ご冥福を祈る。

5月9日
 足立恒雄『無限の果てに何があるか 現代数学の世界』(角川ソフィア文庫)、吉田健一『酒談義』(中公文庫)を読み終える。足立の書物の中で、「無限」についてのパスカルの発言を批判している部分が興味深かった。パスカルという人は、数学者、自然科学者としては優れた才能を示した人だったようだが、キリスト教護教家としてはどうもお粗末ではなかったかという気がしてならない。

5月10日
 『朝日』に連載されている作家の北方謙三さんの想いで話の中に、新宿ゴールデン街にあった内藤陳の「深夜+1」という酒場のことが出てきて興味深かった。内藤が死んだので、この店もなくなったはずだが、確かなぎら健壱さんの酒場探訪記の中にこの店のことが紹介されていた。むかし、日劇ミュージック・ホールに時々出かけた時期があって、幕間に出演していた内藤を見たことを思い出す。

5月11日
 『朝日』の朝刊に、高等教育の無償化を実現するための「教育国債」の発行という議論に財政審議会で反対意見が続出したという記事が出ていた。その理由の1つは「高等教育は個人の利益になる面が多く、国の借金で賄うのは反対」というものであった。吉川徹『学歴分断社会』(ちくま新書)によると、今の日本社会では、大学卒業者が漸増してきたために、大卒者と非大卒者の学歴分断線がますますはっきりと社会の前面に出てきているという。つまり、高等教育を受けるかどうかは、個々人の幸福にかかわるというよりも、社会全体の経済をどのように発展させるかとか、社会統合をどのように実現していくかというより大きな視野からとらえるべきではないかと思う。だからと言って、むやみに国の借金を増やすべきではないことも確かではあるが…。
 同じ新聞に田中秀明さんが幼児教育をめぐる「こども保険」構想について「格差と不公平」を拡大させるという批判論を書いていて、この2つを合わせて読み、考える必要がありそうである。

5月12日
 黒川創『鷗外と漱石のあいだ 日本語の文学が生まれる場所』(河出書房)を読み終える。たぶん、一昨年に買って、途中まで読んでそのままにしていた本である。日本語による近代文学の成立について、単に日本だけでなく、中国(本土と台湾)、朝鮮における近代文学の成立まで視野に入れて論じた書物である。この本については、また機会を改めて取り上げることにしたい。
 石崎徹さんのブログを見ていたら、私の『虞美人草』に関連して、ご自身の『虞美人草』についての意見が記されていた。黒川さんの本を読んで、『虞美人草』執筆前後の日本の社会の様相が私の頭の中に十分に入っていたとは言えないことを感じたので、『虞美人草』について次に取り上げる際には、石崎さんの読み方についての意見、また私が読み落としてきたことについての補足なども記していくつもりである。

5月13日
 神保町シアターで『おふくろ』(1955、日活、久松静児監督)を見る。田中千禾夫の戯曲の映画化で、井手敏郎が脚本を書いている(田中の夫人で同じく劇作家であった田中澄江は映画の脚本も手掛けていたのだが、この映画化には加わっていないようである)。戦争で夫を失った母親(望月優子)は2人の子どもを懸命に育ててきたのだが、大学生の兄(木村功)の就職の話はなかなか進まず、高校生の妹(左幸子)もわがまま放題に生きている。家族3人、それぞれ心の中で将来のために良かれと考えていることがあるのだが、それがうまく伝わらないし、また伝えようともしないようである。兄の友人の役で、まだ頬を膨らませる前の宍戸錠がでているのがうれしい。まだ若かった左幸子も新鮮に思われた。

 すずらん通りの檜画廊で保坂優子作品展「テーブルに着くことから始めよう」を見る。この作家の作品展はかなり前に1度見て、その後何度も案内をもらったのだが出かけることができずにいた。人間と動物、あるいは自然が会話を交わすというような幻想的な主題を、かなり克明な描法で描いたエッチングとガラス絵が展示されていて興味深かった。

 「かばち」さんのブログを見ていると、現在、横浜駅周辺を探索中のようで、普段歩き回っている人間とは別の目からの発見があるだろうと楽しみにして読んでいるところである。 

日記抄(4月30日~5月6日)

5月6日(土)晴れ

 4月30日から本日までの間に経験したこと、考えたこと、前回書き洩らしたことなど:
4月23日
 NHK『ラジオ英会話』のテキストに連載されているColin Joyce, "Japanglophilia"は、4月号では”The Lesser-Known British Calendar, part1"(あまりよく知られていない英国の暦、第1部)として日本人があまりよく知らないであろう英国の年間行事のいくつかを取り上げている。その中でこの4月23日はSt George's (Not a Bank Holi-)Day in April (4月の聖ジョージの(法定休日ではない)日)として紹介されている。聖ジョージはイングランドの守護聖人であり、(サッカーの応援などで見かけることのある白地に赤い十字架の)イングランドの旗は聖ジョージの十字架であり、英国全体の旗であるユニオン・ジャックの一部でもある。英国にはジョージという名の王様が6人いたし、ウイリアム王子の息子の名もジョージである。アイルランドの守護聖人である聖パトリックの日(3月17日)、スコットランドの守護聖人である聖アンドルーの日(11月30日)はそれぞれ法定休日であり、ウェールズの守護聖人である聖デヴィッドの日(3月1日)は法定休日ではないが、多くの人々がウェールズの象徴であるラッパスイセン(daffodil)あるいはリーキ(leek)の花のバッジをつけてお祝いをする。それに引き換え聖ジョージの日にイングランドの人々は何もしないとジョイスさんは書いている。

4月25日
 NHK『ラジオ英会話』の時間では「間投詞」について取り上げたが、その中に
Ouch. This eggplant has thorns. (いたた。このナス、棘がありますね)
という例文が出てきた。それで思い出したのは、明治時代のベストセラー『食道楽』の著者村井弦斎の家庭農園を新渡戸稲造が米国人を連れて見学に来たことがあって、通訳の学生が茄子を英語でどういうのか知らずにblack tomatoと訳したので、新渡戸が大笑いしたと、弦斎の娘の米子が書き留めていたことである。新渡戸が学生に通訳をさせて、経験を積ませようとしていたという点が教育者としての一面をうかがわせるのだが、学生の方が頼りなさ過ぎたという話である。なお、この話を読んで、慌てて和英辞典で茄子のことを何というのか調べた記憶がある。(この番組5月2日に再放送された。)

4月29日
 横浜FCはアウェーでロアッソ熊本を4-1で破る。イバ選手がPKに失敗したものの、ハットトリックを達成したそうだ。

4月30日
 神保町シアターで「映画監督成瀬巳喜男初期傑作選」の特集上映から『噂の娘』を見る。東京の老舗酒店が没落していく過程をその店の2人の性格が対照的な娘の行動を追いながら描いていく。没落の背景がもう少し詳しく描きこまれてもよかったかなという気がしたが、酒樽から栓を抜いて酒を出し、升で測って売る商売の様子など当時の暮らしの姿をとらえた映像は興味深かった。キンシ正宗なんて酒樽があって、このところご無沙汰しているが、また見つけて飲んでみようかと思ったりした(近ごろは日本酒というと菊正宗を飲むことが多いのである)。

 井上達夫『自由の秩序――リベラリズムの法哲学講義』(岩波現代文庫)を読み終える。自由というのは何でも勝手にしていいということではなくて、一定の枠というか秩序を設けて、その中での自由を考えていく必要がある、ということで、現代の政治状況を念頭に置きながらこの問題を考えた仮想講義録である。どちらかというと、古典的な自由の議論の方に関心があるのだが、現代の問題を考えていくことも必要だと思って興味深く読んだ。バーリンの消極的自由と積極的自由についての説明は役に立ったが、この両者をはっきり区別することは実際には難しいだろうという気もする。

5月1日
 メーデーで横浜市内でも労働者の隊列が行進しているのを見かけた。日本ではMay DayとLabor Dayとを混同する人が少なくなく、4月に「メーデー」を繰り上げて実施するという労働団体もあるようだが、メーデーは5月1日のことで、英国ではこの日、5月の女王(May Queen)を選んで、花輪の冠をかぶせ、メイポール(maypole)という柱を立ててその周りで踊るという習わしである。現在の英国では5月の第1月曜がLabor Dayとして法定休日になっているそうである。なお、アメリカのLabor Dayは9月の第1月曜日で、そのいかにも夏の終わりという雰囲気は、映画化もされたウィリアム・インジの舞台劇『ピクニック』に描かれていた。

5月2日
 大相撲の元横綱佐田の山で、引退後は年寄出羽海、その後は湊川として相撲協会の運営や後進の育成に当たられた市川晋松さんが4月27日に亡くなられていたことが明らかになった。79歳。ご冥福をお祈りします。

5月3日
 ニッパツ三ツ沢球技場でJ2第11節横浜FC対愛媛FCの対戦を観戦した。前半18分に横浜がコーナーキックから西河選手が頭で決めて先制点を奪い、38分にはイバ選手が右足でゴールを決めて2点をリードして折り返し、後半にも永田選手、大久保選手がゴールを決めて、2点を奪って4-0で勝利した。それぞれ別の選手がゴールを決めて4得点を挙げたこと、特に4点目はイバ選手が交代した後での得点であったことなど、収穫は大きい。また、若いGKの高岡選手を盛り立てて、無失点で終わった守備についても見るべきものがあったと思う。

5月4日
 今週のNHKの語学番組は先週の再放送であり、その中で「まいにちイタリア語」(応用編)「描かれた24人の美女」は2015年の4月~6月の再放送で、何度も聴いてきた訳であるが、マザッチョ<楽園追放>(Masaccio,Cacciata dall'Eden)についてはなぜか書き洩らしてきたので、書き留めておく。
Generalmente l'onore di essere chiamato "primo pittore rinascimentale" va a Masacccio. (一般的に、「最初のルネサンス画家」と呼ばれる名誉は、マザッチョに冠せられます。)
 27歳という若さで死んだために、残された作品は少なく、知名度はそれほど高くないが、フィレンツェのサンタ・マリア・デル・カルミネ教会ブランカッチ礼拝堂の壁画である「楽園追放」はエデンの園を追放されたアダムとエヴァが嘆き悲しみながら歩む姿を描き、その「正しい人体把握」、「奥行きのある空間性」、「激しい感情表現」という3要素によって、ルネサンスの新しい絵画の道を開いた作品と言われる。彼に続くボッティチェッリやレオナルド、ラファエッロやミケランジェロらの画家たちは、ブランカッチ礼拝堂にこの絵を見て、模写するために一人残らず通ったという。このため、その『美術家列伝』の中でヴァザーリは礼拝堂を「世界的な学校」(scuola del mondo)と呼んでいるほどである。
 ブランカッチ礼拝堂にはマザッチョのこの絵の真向かいに、マゾリーノ・ダ・パニカーレの<原罪のアダムとエヴァ>という壁画が描かれている。マゾリーノはマザッチョの師と見なされていた時代もあったが、現在ではマザッチョよりやや年長だが対等な協働制作者であったと考えられているそうである。私が子どもの頃に読んだ西洋史の本では、マゾリーノとマザッチョの絵が並べられていて、先生のマゾリーノの絵にくらべて、弟子であるマザッチョの絵は感情表現が激しくなっていると記されていたのを記憶している。もう60年位昔に読んだ本のことを覚えているくらいに、この両者の違いは際立っているのだが、引き立て役にされてしまったマゾリーノがなんとなく気の毒に思われないでもない。

5月5日
 元NHKのアナウンサーでスポーツ番組の報道で活躍された土門正夫さんが5月2日に亡くなられていたことがわかった。87歳。横浜市のご出身で、神奈川工業のOBだそうである。1960年のローマから1984年のロサンジェルスまで計7回の夏季オリンピックの放送を担当された。特にバレーボールの中継担当者として知られ、1964年の東京オリンピックの際に女子バレーボールでの「東洋の魔女」と呼ばれた日本チームの優勝場面を実況されたことが有名である。私などはそれよりも、高校野球の実況放送でなじみ深い方であった。ご本人は1984年のロサンジェルス・オリンピックの女子マラソンで、スイスのアンデルセン選手がふらふらになってゴールした場面のラジオ放送が一番印象に残っていると言われていたそうである。そういえば、この放送を私も聞いていた。ご冥福をお祈りする。

5月6日
 ニッパツ三ツ沢球技場でプレナスなでしこリーグ第2部第7節ニッパツ横浜FCシーガルズ対オルカ鴨川FCの対戦を観戦する。前半8分に横浜が右からのクロスに対応した吉田選手のヘディングで1点を先制したが、38分に鴨川がセット・プレーからゴールを決めて追いつき、結局1-1で引き分けた。鴨川が両サイドに展開して試合を進めようとしていたのに対し、横浜が何を狙っているのか、もう一つ見えなかったのが気になるところである。

2017年の2017を目指して(4)

4月30日(日)晴れ、気温上昇

 4月に入ったが、依然として行動半径は東京都と神奈川県(それも横浜市と川崎市)を出ていない。今年になって新しく足を踏み入れた道府県、市区町村はなく、1都1県、2市6町村に足跡を記しただけにとどまっている。
 新たに利用した鉄道会社と路線はないが、桜木町駅と関内駅を利用した。
 バス会社も新たに利用したところはないが、市営<39>、東急<市63>、神奈川中央<横11>、相鉄<浜11>の4路線を新たに利用、また新たに乗り降りした停留所が6か所ある。〔69+12=81〕

 この記事を含めてブログの記事を30編書いた。内訳は未分類が2、日記が6、読書が7、『太平記』が4、ダンテ『神曲』が4、歴史・地理が0、外国語が2、映画、寺社が0、詩が3、推理小説が2ということである。それぞれの1月からの累計は未分類が9、日記が22、読書が36、太平記が16、神曲が17、歴史・地理が3、外国語が4、映画が2、寺社が0、詩が6、推理小説が5、合計で120ということになる。戴いたコメント、拍手コメントはなく、拍手は692拍いただいた。1月からの合計はコメントが18件、拍手が2615拍、拍手コメントが3件ということである。〔111+30=141〕

 本を14冊購入し、10冊読み終えた。読み終えた本を列挙すると:
森茂暁『足利尊氏』、宮崎市定『水滸伝』、ロビン・スティーヴンス「英国少女探偵の事件簿① お嬢さま学校にはふさわしくない死体』、望月麻衣『京都寺町三条のホームズ⑦ 贋作師と声なき依頼』、川島真『中国のフロンティア』、望月麻衣『京都寺町のホームズ(6.5) ホームズと歩く京都』、ジョン・ガスパード『秘密だらけの危険なトリック』、野崎昭弘『詭弁論理学 改版』、井上達夫『自由の秩序――リベラリズムの法哲学講義』、吉見俊哉『大予言 「歴史の尺度」が示す未来』
ということである。新たに本を買った本屋はなく2軒のまま、1月からの読んだ本の累計は36冊である。〔28+10=38〕
 5月に研究会で発表するつもりで、J.S.ミル『自由論』とそれに関連する本を読んでいる。ジェイン・オースティンの『エマ』についてこのブログで紹介し終えて、まだ紹介していない作品は短編を除けば(長編は全部読んだが、短編は読み残している)、『高慢と偏見』だけになった。しばらくオースティン以外の作家の作品を読もうかと思って、ハーディーの『緑の木陰』を読み始めたのだが、阿部知二の翻訳が古すぎて、難渋している。

 『ラジオ英会話』を20回、『入門ビジネス英語』を8回、新たに始まった『高校生から始める現代英語』を8回、『実践ビジネス英語』を12回聴いている。このほか『攻略!英語リスニング』(4月2日で放送終了)を2回聴いている。1月からの累計は、『ラジオ英会話』が80回、『入門ビジネス英語』が8回、『高校生から始める現代英語』が8回、『実践ビジネス英語』が48回、『攻略!英語リスニング』が26回である。これらのほかに、『短期集中!3か月英会話』、『英会話タイムトライアル』、『エンジョイ・シンプル・イングリッシュ』、『ワンポイント・ニュースで英会話』の時間も聴いているが、勘定には入れていない。勘定に入れていないと書いたが、『英会話タイムトライアル』はなかなか聴きごたえがあって、楽しみにしている。
 『まいにちフランス語』を入門編12回、応用編8回、合計20回、『まいにちイタリア語』を入門編12回、応用編8回、合計20回聴いた。4月からまた『レベルアップ中国語』を聞き始め、20回聴いた。1月からの通算は『まいにちフランス語』入門編が12回、初級編が24回、応用編が36回、『まいにちイタリア語』は入門編が12回、初級編が23回、応用編が36回、『レベルアップ中国語』が20回ということである。フランス語は応用編、イタリア語は入門・初級編に力を入れて聴くつもりにしている。〔239+110=349〕

 映画は4月30日になってあちこち走り回り、結局神保町シアターの成瀬巳喜男特集の『噂の娘』を見ただけで終わった。月末に1本だけ見たというのは2月に続いて今年になって2度目である。1月からの見た映画の累計は8本、出かけた映画館は3館である。5月はもう少し映画を見ることにしよう。〔10+1=11〕

 プレナスなでしこリーグ2部の第2節(ニッパツ横浜FCシーガルズ1-1愛媛レディーズ)、第4節(ニッパツ横浜FCシーガルズ1-0)、第5節(横浜FCシーガルズ0-4ASハリマ)、第6節(日体大フィールズ横浜3-1ニッパツ横浜FCシーガルズ)の4試合、J2の第7節(横浜FC2-0京都サンガ)、第9節(横浜FC4-0ジェフ千葉)の6試合を観戦した。また日産フィールド小机に始めて出かけた。1月からの観戦した試合の合計は13試合、球技場は3か所ということになった。〔9+7=16〕

 4月10日にハドソン・テラスさんの第2回「楽しいスケッチ展」を見に出かけた。見に出かけた展覧会の数は2回、そのために足を運んだギャラリーも2か所である。
 ブログ関係では、このほか、2月に別府葉子さんのコンサートを聞きに出かけている。
 また「☆オリジナルの高校数学の問題を掲載していきます☆」の問題を2問解いたので、1月からの累計は3回ということになる。成績優秀者に名を連ねるところまではいきそうもないが、楽しみながらやっていこうと思っている。

 A4のノートを2冊、A5のノートを2冊、0.5ミリのボールペン芯を2本、0.4ミリのボールペン芯を1本使いきった。

 4月に入ってからかすかにではあるが富士山を1度見た。(1月からの合計は12日ということである。) アルコール類を口にしなかったのが、4日で、1月からの通算では22日ということになる。
 5月にはどんな事柄が待っていて、どんな数字が表れるか、それはその時のお楽しみということにしておく。 

日記抄(4月23日~29日)

4月29日(土)晴れ、風強し。

 4月23日から本日までの間に経験したこと、考えたことなど:
4月23日
 日産小机フィールドに、プレナスなでしこリーグ第2部第5節、横浜FCシーガルズ対ASはりまの試合を見に出かける。0-4でASはりまに敗れる。前日の横浜FC対ジェフ千葉の試合の裏返しのスコアになった。GKがあまり考えずに前に出ると、大量失点を招きやすいというのが両試合に共通した教訓のように思われる。
 観戦後、東急バス市03で新横浜駅に出て、地下鉄で横浜に戻る。

4月24日
 NHK「ラジオ英会話」はは「スペシャル・ウィーク」の放送の第1日で、”Old News Is New Again"(古きニュースで新しきを知る」として、”Japan ranks 111th in world gender equality"(男女平等ランキング、日本は世界111位)と、”Britain introduces its first plastic banknotes" (イギリス 初の「プラスチック紙幣」導入)の2つのニュースを取り上げた。前者は世界経済フォーラムによる世界各国の男女格差に関する調査報告の2016年版の紹介である。
Of 144 countries, Iceland ranked the most gender-equal in the world for an 8th straight year. ((対象となった)144か国のうち、男女平等が最も進んでいるとして、8年連続でアイスランドが1位になりました。)
 大江健三郎さんがノーベル文学賞を受賞する以前に、私がよく使ったジョークの1つが、日本とアイスランドはノーベル文学賞受賞者とミス・ユニバースが1人ずつ出ているという点が共通しているというものであった。この2つの分野では、最近は日本の方がリードしている。

4月25日
 NHKラジオ「まいにちフランス語」の「文化コーナー」で取り上げられた話題:
 2002年にフランスの通貨はフランからユーロになった。それまで使われていたフランの場合«franc≫という語は子音字で始まっているので、リエゾンする必要がなかった。ユーロ«euro» の場合は母音字で始まっているので、リエゾンをしなければならないはずだが、実際にはそうならない場合がある。ユーロは最近フランス語になった単語なので、リエゾンが定着しない。なかなか一筋案話ではいかない問題だという。

4月26日
 NHKラジオ「実践ビジネス英語」は”Job Interviews" (就職の面接)の4回目。前回、日本から派遣されてきている社員が
one thing that I vividly remember from my group interview in Japan is that we all had to describe what we thought our greatest ewaknesses were. (日本で受けたグループ・インタビューで1つ鮮明に覚えていることがあります。自分の最大の短所は何だと思うかを、応募者全員が説明しなければならなかったことです。) これに対しアメリカ人の新入社員が、この問いに対する最悪の答えは”My only weakness is that I work too hard." (私の唯一の短所は働きすぎることだ)だと思うと応じる。面接担当者は、応募者の誠実さと自己認識について大まかに理解する必要があるわけだから、率直に自分の短所について語り、また改善の努力をしていることも言い添えるといいのである。日本から来ている社員が
I'm told that in American job interviews, it's common for candidates to be asked where they see themselves in five years' time. (聞いているところによると、アメリカでの就職の面接では普通、5年後に自分はどこにいるかと、応募者は尋ねられるそうです。)というと、新入社員はもちろん、その質問はされたと言い、この質問の真意は「どれぐらいの間我が社にいるつもりですか。あなたには、時間と労力をかけて養成するだけの価値がありますか」ということだと付け足す。将来への志と、現実的なキャリア目標があるのかどうかが問題なのだというのである。

4月27日
 「実践ビジネス英語」の会話の続き。日本では、あなたの友人はあなたをどのように見ていますかという質問がよくされているが、アメリカでは
It's more common to be asked how your current boss and coworkers see you. (現在の上司や同僚はあなたを見ているか、と聞かれる方が普通です)
という。日米での違いはあるが、個人的な問題には立ち入らないほうが望ましいのは同様である。

 野崎昭弘『詭弁論理学 改版』(中公新書)を読み終える。なかなか面白かった。

4月28日
 『朝日』の朝刊に新設の都立小中高一貫校で、中学段階から第2外国語を必修の授業として開設するという記事が出ていた。どんな言語をどのくらいの時間をかけて、どのような方法で教えるのか、詳しいことはわからないが、履修しないことも含めて、かなり幅のある選択の余地を設ける方がよいと思う(したがって必修化には反対である)。英語がろくにできない学習者に対して、第2外国語を学習させても混乱が大きくなるだけなので、その点にも配慮すべきである。できれば、インド=ヨーロッパ語族に属さないアジアの言語、中国語か韓国語、アラビア語を(東南アジアの諸言語でもいいけれども)学ばせた方がよいと思う。できるだけ、本人の希望とやる気を尊重して、いやなものを押し付けることはやめた方がいいというのが私の意見である。

 NHKラジオ「まいにちフランス語」応用編「インタビューで広がるフランス語の世界」の中で、あるフランス人青年が平均で2か月に1回は旅行する。というのは、いろいろなところに友達がいるからだといい、
c'est un peu l diaspora, les étudiants: tout le mond part étudier a droite à gauche en Europe.(学生はちょっとディアスポラみたいなものです。みんな、ヨーロッパのあちらこちらに勉強しに行くのですから。)
と言っていたのが印象に残った。ディアスポラは、バビロン捕囚後、ユダヤ人がパレスチナ以外の地に離散したこと、あるいはその結果生じたユダヤ人コミュニティーを指す語であったが、さらに転じて、「民族、人々の離散」という意味でも用いるそうである。
 18世紀ごろからスコットランド人や、アイルランド人はアメリカやオーストラリアなどに散らばっていったが、ある英国人の学者とその話をしていて、私がdiasporaと言ったら、それはmovementというべきだと言われたことを思い出す。
 ヨーロッパには1987年に創設された「エラスムス」という留学制度があり、30か国が参加している。ヨーロッパの各国を旅しながら、知的な交友と対話を展開したルネサンス時代の知識人エラスムスの名にちなんだものである。

4月29日
 日産小机フィールドで2017プレナスなでしこリーグ2部第6節、日体大FIELDS横浜対横浜FCシーガルズの試合を観戦した。シーガルズが先制点を奪ったが、その後はほとんどボールを日体大に支配され、前半に逆転を許すと、後半にも追加点を奪われてⅠ-3で敗れた。体力、技、チームワーク、いろいろな点で日体大が勝っていた。負けたのは仕方がないが、負け方がよくないのが気になるところである。 
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