日記抄(2月12日~18日)

2月18日(土)晴れ

 自分つくりのための読書とでもいおうか、月曜日・火曜日にはレーヴィットの『ヘーゲルからニーチェへ』、水曜日~金曜日には木庭一郎『ハイネとオルテガ』(自分の研究のための参考になる内容が記されている)、土曜日・日曜日には大野晋・丸谷才一『日本語で一番大事なもの』を読んでノートを作ることにしている。計画通りに進捗しているとはいいがたいのが問題である。この、読書が前回、書き洩らしたことと関連する:
 2月11日
 NHKラジオの「朗読の時間」で「芥川龍之介随筆集」を取り上げているのは既に書いたが、本日の放送分で「本所 深川」が終わって「澄江堂雑記」に入る。芥川の子ども時代の思い出の地の再訪録である「本所 深川」に比べて、いろいろなことを書き散らしている「澄江堂雑記」の方が面白くないのは、致し方のないことである。その「本所 深川」の最後のところで、昔住んでいたところを再訪した感想を芥川が家族のものに語る箇所があり、そこで、『方丈記』の一節が引用されている。家族のだれ一人として、『方丈記』を知らないというのが、教育史的な事実として興味深い。
 
 大野・丸谷『日本語で一番大事なもの』の中で、大野が次のような発言をしている:
「…昨年インドに行きましたとき、私の通訳として助けてくれたインドの若い女の人に、川の流れを見て、われわれは「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例(ためし)なし」というと、言ったんですね。また中国では「ゆくものはかくのごときか昼夜をおかず」と孔子が言ったという話をしたんです。そうしたら彼女曰く、「水は流れてゆくけれども、その本質において何の変りもない」と。これには私も驚きました。インドの人には、やはりサンスクリット的世界のとらえ方があって、時間によって物事が流動していくことを詠嘆しない、事の本質はなにかというようにだけ見るわけなんですね」(119ページ)。
 鴨長明が見ている水の流れは、小川だったかもしれないという説があり、孔子の感慨とは異質のものがあるのかもしれない。インドの若い女性の意見は、彼女だけのものであって、ほかのインド人が同じように考えているかどうかはわからない。また、「サンスクリット的」というレッテルの張り方が正しいとは思われない。とは言うものの、この話は考えさせられるねえ。

2月12日
 この日の当ブログで大隅和雄『中世の声』について取り上げたが、大隅さんは『平家物語』についてかなりの紙幅を割いて語っているけれども、その書き出しと『方丈記』の書き出しに通底するものがあるのではないかとは論じていない。実は、『太平記』と『徒然草』には、書き手の側では何とか話をまとめようとしているのだけれども、現実の方がまとまってくれないという共通点があり、それに比べると『平家』と『方丈記』はまだ現実の展開が著者にとってとらえやすいものであったのではないかと思っているのである。あるいは『太平記』+『徒然草』+『増鏡』と、『平家』+『方丈記』+『今鏡』という2対のトライアングルの比較をした方がいいのかもしれない。

 大隅さんの著書の中で、ヨーロッパの宗教改革と鎌倉新仏教についての対比の可能性について触れている箇所があるが、ヨーロッパの側から、あるいは日本とヨーロッパ以外の宗教史研究の中から、この問題について論じた例があるのであろうか。ヨーロッパの国々の中でも、宗教改革に類する動きがあった国もあるし、起きなかった国もある。中国や韓国で鎌倉の新仏教に類似した宗教的な動きはなかったのであろうか・・・という風に考えるべき問題はきわめて多い。

2月13日
 NHK「ラジオ英会話」の続き物語”The Secret Admirer"はいよいよ”Valentine's Day Dance"の日を迎える。クレアもヴェロニカもこの日を迎えて大いに興奮している。ヴェロニカが、クレアに言う:
Maybe your Prince Charming will be there. (あなたの夢の王子様がそこに来るかもしれないわ。)
 「プリンス・チャーミング」というのは、『白雪姫』の登場人物としてディズニーが創造した存在かと思っていたが、もっと古くからある言い回しのようである。

2月14日
 「ラジオ英会話」の”The Secret Admirer"の続き。Valentine's Day Danceに着ていくものがないがないというクレアに、ヴェロニカは手ごろな店を紹介する。その店で、クレアは彼女当てのValentine Messageが記されていたのと同じ便箋を見つける。店員によると、最近、若くてtall, dark and handsome (長身で色浅黒くハンサムで)という伝統的な美男3点セットの男性がこの便箋を買っていったという。うーん、私はこの3点セットのどれにも当てはまらないなぁ。

2月15日
 「ラジオ英会話」の”The Secret Admirer"の続き。クレアとヴェロニカはダンスの会場に到着、クレアはアダムに声をかけられ、
May I have this dance? (この曲、踊っていただけますか?)
と申し込まれる。と、すぐにクレアの本命であるジョンが現われて、
You look absolutely stunning tonight. (今夜はハッとするほど素晴らしいね!)と彼女を褒めて、
Save the next one for me. (次の曲、僕にとっておいて。)と頼む。
 ジョンの役を遠山先生が演じているのがなんとなく、可笑しい。

2月16日
 『朝日』朝刊に「繰り返し学習 やっぱり有効」という記事が出ていた。問題は、いつ、どのように繰り返すかということのようである。

 「ラジオ英会話」の”The Secret Admirer"の続き。アダムと踊っていたクレアは、アダムがヴェロニカに恋い焦がれていているが告白できないのだといわれる。
I just can't get up the courage to ask her to dance. (勇気を出してダンスを申し込むことがどうしてもできないのです。)
Veronica would dance with you in a heartbeat. (あなたとなら、ヴェロニカはすぐさま踊るわ!)
クレアとジョンの方は、どうなるのであろうか?

 NHKラジオ「実践ビジネス英語」の”Quote...Unquote"のコーナーで紹介された言葉:
To invent, you need a good imagination and a pile of junk.
          ――Thomas A. Edison (U.S. inventor, 1847 -1931)
(発明するためには、優れた想像力とガラクタの山が必要だ。)
 失敗せずに、成功しようというのは虫が良すぎるという発言である。

 同じく「まいにちフランス語」応用編「ガストロノミー・フランセーズ 食を語り、愛を語る」は”Bistrot ou brasserie? (1)  La nouvelle cuisine française redéfinit les codes"(ビストロ、それともブラッスリー (1)規範を再定義する新しいフランス料理) という話題を取り上げた。ビストロは、飲み物を飲んだり、ちょっと気軽なものを食べたりするため、立ち寄る場所であり、ブラッスリーは手軽で家庭的な料理を出し、サービスもシンプルな店であるという。レストランは、特別な場所で、サービスは非の打ちどころのないもの、料理は手本となるほど立派なものでなくてはならないという。

2月17日
 「まいにちフランス語」は”Bistrot ou brasserie ? (2)"で、前回紹介した3種類の店の他に、1990年代以降、bistronomieと呼ばれる新しい種類の店が登場して、力関係を変えたという話になった。
Désormais, on peut goûter une cuisine savoureuse dans de petits établissements aux tarifs accessibles. (以来、小さな店で、手ごろな値段で、おいしい料理を食べることができる。) あなたもビストロノミーを試してみたら?と勧める内容であった。

2月18日
 パナホーム・ビューノプラザ大塚で開かれた「別府葉子シャンソンライブ2017」に出かける。ヴォーカル&ギターが別府さん、ピアノが鶴岡雅子さん、コントラバスが中村尚美さん、ヴァイオリンの会田桃子さんがゲストとして参加という顔ぶれは、昨年9月のコンサートと同じ。今回は会場がより小規模なので、観客との距離が近く、音楽とおしゃべりをより身近に楽しむことができた。「愛の讃歌」「百万本のバラ」などこれまでもコンサートで歌われてきたおなじみのシャンソンのほかに、中島みゆきさんの曲とか、別府さん自作の「バラ色のジュテーム」という新曲とか、私が学生時代に確か弘田三枝子さんが歌っていた「夢見るシャンソン人形」とかが歌われ、なかなか盛りだくさんな内容で、客席も大いに盛り上がった。
 最初に歌われた「白い恋人たち」を1970年代の歌と紹介していたが、正確には1968年のグルノーブル(冬季)オリンピックの記録映画の主題歌である(この頃は、夏と冬のオリンピックを同じ年に開催していた。冬がグルノーブルで夏がメキシコ・シティであった)。思い出を整理してみると、オリンピックの記録映画で私が見たことがあるのはこの作品だけである。市川崑監督による東京オリンピックの記録映画も、篠田正浩監督による札幌(冬季)オリンピックの記録映画も見ていない。
 別府さんも言っていたように、この映画の監督はクロード・ルルーシュで、『白い恋人たち』に取り組む一方で、ルルーシュは『ベトナムから遠く離れて』に参加したり、アメリカ資本で『パリのめぐり逢い』をとったりしていた(『パリのめぐり逢い』に出演していたキャンディス・バーゲンはトランプ大統領と同じころに、同じペンシルヴェニア大学に在学していたはずである)。そのあたりの事情を思い出してみると、結構面白い。映画を見た時のことを思い出し、セーヌ左岸派と『カイエ・デュ・シネマ』という戦後のフランス映画の2つの流れの中で、中立的であり、また観客が呼べる映画を作れる監督というとルルーシュとジャック・ドミーくらいしかいなかったのかななどと考えたりもした。(ジャック・ドミーがつくった記録映画『ロワール川の木靴づくり』はものすごく、いい映画であった。『ローラ』よりも、『シェルブールの雨傘』よりも、この作品の方が好きである。もし、ドミーがグルノーブル・オリンピックの記録映画を作っていたら、どんな作品になっただろうかなどと考えるのも楽しい。年をとった分、思い出すこと、考えることは多くなっているのである。) 
 今回、歌われた「バラ色の人生」はオードリー・ヘップバーンとゲーリー・クーパー(とモーリス・シュヴァリエ)が共演した『昼下がりの情事』を思い出させるし、そうした選曲に映画好きの別府さんの個性が反映しているのかなとも思った。

日記抄(2月5日~11日)

2月11日(土)晴れのち曇り

 前回、書き落としていたのだが、1月27日にフランスの女優で、日仏合作の『二十四時間の情事(広島、わが愛)』、『栄光への5000キロ』に出演されていたエマニュエル・リヴァさんが亡くなられた。89歳。代表作『テレーズ・デスケルー』は日本では劇場公開されなかった(テレビでは何度か放映されたそうである)、関西日仏学館のフランス映画上映で見たことがある(サミー・フレーが出演していた)。そのほかの出演作では『先生』(主演のジャック・ブレルの夫人役)、『華麗なるアリバイ』、『愛 アムール』(米アカデミー主演女優賞にノミネートされた)を見ている。謹んでご冥福をお祈りしたい。

 土曜日の深夜、NHKの「朗読の時間」をまとめて放送しているのを時々聞いているが、現在は「芥川龍之介随筆集」を取り上げていて、聴きながら、彼の江戸趣味についていろいろと考えている。特に「本所 深川」は江戸の面影と、彼の少年時代の思い出とが、関東大震災によって失われたことについての思いがこもっていて、痛々しい。

2月5日
 前日に行われたJリーグDAZNニューイヤーカップ宮崎ラウンドで、横浜FCは鹿島アントラーズに1-0で勝利した。1点はイバ選手のゴールによるものである。両チームともまだ調整の段階で、実力通りの結果とは言えそうもないが、それでも勝ったことは気持ちがいいし、今シーズンは期待できそうである。

 『朝日』の朝刊に、地方の私立大学が公立に転換する事例が増えているという記事が出ていた。無計画に大学設置を推進した行政の姿勢も問題だが、できてしまったものは仕方がないということも言える。今後は、大学の転換・統合もさることながら、国・公・私立大学間の連携を密にして、できるだけ計画的に人材育成に取り組むことが必要であろう。

2月6日
 NHK「ラジオ英会話」は今秋から2月号テキスト掲載の”The Secret Admirer"(ひそかな崇拝者)の放送に入る。Valentine's Dayにちなむ内容である。病院の受付で働くクレアは、デスク上にValentine messageが置かれているのを見つける。これは、押韻した短い詩が記されているのが一般的で、匿名で贈られることが多いのだそうである。このメッセージも匿名だったので、友人の看護師ヴェロニカと誰がこれを書いたのかと話し合う。ヴェロニカが、クレアが勤務を始めてからずっと思い焦がれている同じ病院の医師ではないかというと、クレアはDon't broadast it to the world! (世界に向けて放送しないで!)とユーモアを込めた表現で自粛を求める。

2月7日
 「ラジオ英会話」の”The Secret Admirer"の続き: クレアとヴェロニカが話していると、クレアのもとに赤いバラの花束が届く。ヴェロニカが言う: The plot thickens! (話が込み入ってきた!)

2月8日
 「ラジオ英会話」の続き。2人が話していると、「容疑者」の1人である会計士のアダムがやってきて、クレアに
I heard you got a love letter from a doctor. (医師からラブレターをもらったとか)と話しかける。誰がそんな噂を立ててのかというクレアに向かって
Beats me. Word gets around fast. (さあ。噂は直ぐに広まるものです。)とアダムが答える。話がどんどん大げさになってきているのにクレアは驚く。

 同じくNHKラジオ「実践ビジネス英語」は今週から”Boomerangers on the Rise" (ブーメラン社員増殖中)というビニェットに入った。”boomeranger"とは一度辞めた会社に戻ってきたブーメラン〔再入社〕社員のことを言う。アメリカの会社は、一度辞めた社員は再雇用しないのが一般的であったが、最近では変化がみられるという。Close to 30 percent of Amerian workers say they've boomeranged at least once. (アメリカでは、働いている人の30パーセント近くが、少なく遠1度は元の勤務先に舞い戻ったことがあるといっているのです。)
 大学院の博士課程に進学するつもりで辞めた会社から、パートタイムでいいから戻ってこいと言われたことがある。断ったのだが、今、考えると、承諾した方がよかったかもしれない。

 この番組の”Quote...Unquote"のコーナーで紹介された言葉:
Plenty of people wish to become devout, but no one wishes to be humble.
      ――François de La Rochefoucauld
( French author of maxims and memoirs, 1613-80)
(多くの人が敬虔な人間になりたがるが、謙虚な人間には誰もなりたがらない。)
これはまだキリスト教の影響力が強かった17世紀のフランスの話である。「敬虔な(devout)」と「謙虚な(humnle)」とは日本語ではよく似た響きを持つが、英語では全く違う響きになる。フランス語ではどうだろうか。
 昔、ロベルト・ロッセリーニがTV放映用に作った映画『ルイXⅣ世の執権』を見たことがあるが、最後の方でヴェルサイユに宮殿を築いたルイXⅣ世が、ラ・ロシュフコーの箴言集の中の太陽と死とはじっと見つめることができないという言葉に出会って感慨にふけるという場面があったと記憶する(記憶違いがあるかもしれない)。ラ・ロシュフコーはルイXⅣ世の若いころに宰相として権力をふるったマザランに対する反乱(フロンドの乱)に参加した人物なのである。

2月9日
 「実践ビジネス英語」は「ブーメラン社員増殖中」の2回目。アメリカでは
No-rehire policies are becoming less common these days. (再雇用はしないという方針は、最近は以前ほど一般的ではなくなっている。) という。むしろ
No.1 isue in the human resource field these days is employy retention. (このところ人事分野で一番の課題は、従業員をつなぎとめることだ。)という。

 ”Quote...Unquote"のコーナーで紹介された言葉:
Poverty of goods is easily cured; poverty of soul, impossible.
      ――Michel Eyquem de Montaigne
         (French philosopher and essayist, 1533-92)
(物質的な貧困は簡単に解決できる。精神の貧困は決して解決できない。)
現代の社会では、物質的な貧困がなかなか解決できなくなっている。

 NHKラジオ「まいにちフランス語」応用編「ガストロノミー・フランセーズ、食を語り、愛を語る」は”Chocolats, éclairs...(1) Un cadeau sucré, un amour de douceur"(チョコレート、エクレア… 甘い贈り物、甘美な愛)という話題を取り上げている。今回はチョコレートについて、
Les bons ingrédients contenus dans un chocolat éveillent les sens, mais aussi l'esprit. (チョコレートに含まれる良い材料は、五感と、そして精神を覚醒させる。) という。
 チョコレートをめぐる歴史や社会経済的な問題について触れてもいいとも思うのだが、この番組にそれを望むのは無理かもしれない。

2月10日
 『文藝春秋』3月特別号の広告で、「東大は学力入試をなくせ」という対談の見出しが目についた。学力以外に、どのような入学者選抜の方法が適切であると対談者が考えているかは、興味のある問題である。

 「実践ビジネス英語」は「ブーメラン社員増殖中」の3回目。結婚、子どもの誕生、家族の死などのlife event (人生の出来事)によって仕事を辞めた人が、状況が解決すれば元の仕事に戻りたいと思うのは当然のことだろうという。同じことは日本にも当てはまりそうだ。

2月11日
 NHKラジオ「攻略!英語リスニング」は”Ernest Hemingway"という話題を取り上げた。彼の作品として『日はまた昇る』、『武器よさらば』、『老人と海』、『移動祝祭日』が触れられているのだが、なぜか『誰がために鐘は鳴る』が出てこない。実は、ヘミングウェーの作品はまるで読んでいなくて、ゲイリー・クーパーとイングリッド・バーグマンが主演した『誰がために鐘は鳴る』を見ているだけなのである(若いころに3度も見た)。テキストでは、彼が第二次世界大戦中のパリやスペインでジャーナリストとしての経験を積んだと述べられているのだが、第一次世界大戦と第二次世界大戦の間の時期という方が正しいのではないか。
 

日記抄(1月29日~2月4日)

2月4日(土)晴れ

 1月29日から本日までの間に経験したこと、考えたことなど:
1月29日
 柳田国男『故郷七十年』(講談社学術文庫)を読み終える。『神戸新聞』が昭和33年(1958)に創刊60年を迎えたのを記念する形で、故郷である兵庫県(播州)の田原村辻川(現在の福崎町辻川)を離れて70年を数え、80歳を超えていた柳田が同紙に連載した回想記である。辻川のこと、辻川を離れてからしばらく預けられた長兄の暮らす茨城県布川町(現在の利根町)、家族と先祖(実家である松岡家と養子先の柳田家)、国木田独歩や田山花袋ら友人のこと、影響を受けることがあった森鷗外や新渡戸稲造のこと、官界に入ってからのこと、民俗学研究に携わってからのことなど、様々な思い出が語られているが、解説で佐谷眞木人さんが書いているように、語られていないことにも目を向けることが必要であろう。特に印象に残っているのは、樋口一葉に会いに出かけなかったこと、島崎藤村と疎遠になった事情を書いている箇所である。いずれ、機会を見つけて、詳しく論評するつもりである。

1月30日
 NHK「ラジオ英会話」は講師の遠山顕先生が病気休養中のため、以前に放送したものを再編集して放送しているが、今週は”Grammar for Better Conversation" (もっと話したくなる英会話文法)の一部として、「完了形を使うためのヒント」が放送される。完了形とは関係なく、本日の放送の最初に話された:
 I don't think so. はI think not.とも言えます。これは、昔の言い方の名残です。昔は、I like him not.とかShe loves your dog not. といった否定の仕方もありました(近年、このnotを文の最後に持ってくるパターンが若い層を中心にはやっているのは興味深いことです)。
という話が興味深かった。会話経験の豊富な遠山先生はそういう例に出会ったのだろうが、私は出会ったことがない。

1月31日
 『週刊朝日』2月10日号の広告の見出しに「『在野精神』『学問の独立』が泣く 官僚の天下り 隠蔽工作に従う『私学の雄』 『狡猾』文科省と早稲田の『堕落』」という文字が連ねられていた。「学の独立、進取の気性」という『都の西北』の歌詞を思い出してほしい。

2月1日
 NHKラジオ「実践ビジネス英語」の”Quote...Unquote"のコーナーで紹介された言葉:
An investment in knowledge always pays the best interest.
  ――Benjamin Franklin
     (U.S. statesman,diplomat, inventor and scientist, 1706 -90)
(知識への投資には、常に最高の利息がつく。)
 このような考えに基づいて、フランクリンは今日アイヴィー・リーガーズに数えられるペンシルヴェニア大学の創設者の1人となったのだが、反知性主義を掲げる現大統領のドナルド・トランプがこの大学の卒業生であるのはまことに皮肉なめぐりあわせである。

2月2日
 昨日に続き、『実践ビジネス英語』の”Quote...Unquote"のコーナーから:
Nothing ever comes to one, that is worth having, except as a result of hard work. (from Up from Slavery)
    --Booker T. Washington
      (Afriacn-American educator, author and orator, 1856 - 1915)
(懸命な努力の結果として以外に、手に入れる価値のあるものは決して得られない。)

 同じくNHKラジオ『まいにちフランス語』応用編「ガストロノミー・フランセーズ 食を語り、愛を語る」(Gastronomie française, parler de cuisine, parler d'amour)は”Terrasses et pique-nique (1) Le besoin d'une respiration bienfaisante"(テラスとピクニック(1) 恵みの息抜きは必要)という内容を放送した。フランスのカフェやレストランのテラスについて、
Pas de terasse, et la ville devient un gigantesque bureau. (テラスがなければ、都市は巨大なオフィスになってしまう。)
という。息抜きの場としてのテラスがフランスの労働者にとって必要だと述べている。

2月3日
 「まいにちフランス語」は”Terrasses et pique-nique"の2回目。フランス人にとって貴重な、よい天気を楽しむもう1つの方法がピクニックに出かけることだという。
La vie est belle quand on est tous ensemble! (皆で過ごす、人生のすばらしい時間!)
ジャン・ルノワールの『ピクニック』という映画を20代のころに見て感動した記憶がある。昨年、横浜のシネマ・ジャック&ベティで上映されたらしいのだが、見逃してしまって残念である。(ウィリアム・インジの戯曲を映画化したアメリカ映画『ピクニック』も名作ではある。ウィリアム・ホールデン、キム・ノヴァクが主演であったが、それ以上に脇役がよかった。後に『まごころを君に』(『アルジャーノンに花束を』)でアカデミー主演男優賞を取るクリフ・ロバートソンが出演していることも見落としてはならない。)

2月4日
 NHKラジオ「攻略! 英語リスニング」は”Longevity"(寿命)という話題を取り上げた。
It was an accepted part of life in 1900 that a child could expect to live to age 50, on average. (1900年の時点では、生まれた子どもが死ぬまでは平均50年というのが、一般的な認識だった。)
But in Japan, the average life expectancy is now just over 83 years. (ところが日本では、平均寿命は今や83歳をちょっと超える。)それどころか、もっと長い気になるかもしれないという話が続く。
 子どものころ、自分が70歳以上の年寄になるなどと想像もできなかった。なってみると、もっと長生きしたいと思っている。

 プラトン『パイドロス』(岩波文庫)を読み終える。面白かった。もっと、若いころに、この書物の面白さが分かっていれば、人生は変わっていただろう――などと思う。いつか、機会を見つけて論評するつもりである。

2017年の2017を目指して(1)

1月31日(火)晴れ

 1月は、ずっと横浜で過ごしたが、東京にも出かけた。都県でいうと、神奈川県と東京都、市区町村についてみると、横浜市、川崎市、千代田区、渋谷区、港区、品川区、新宿区に足跡を記している。
 東急と東京メトロ、JR東日本を利用し、東横線、目黒線、半蔵門線、南北線、副都心線、山手線に乗っている。乗り降りした駅は横浜、武蔵小杉、渋谷、神保町、白金台、目黒、新宿、新宿三丁目である。
 横浜市営バス、川崎市営バス、東急バスを利用し、横浜市営バスの34,35,36,50,87,202、川崎市営バスの「杉44」、東急バスの「溝02」に乗っている。乗り降りした停留所は9か所である。〔45〕

 この原稿を含めて31件の記事を書き、内訳は読書が8、日記が6、未分類、『太平記』、ダンテ『神曲』がそれぞれ4、映画と詩がそれぞれ2、推理小説が1ということである。6件のコメント、717拍の拍手、1件の拍手コメントを頂いた。〔38〕
 「☆オリジナルの高校数学の問題を掲載していきます☆」の問題を1問解いている。なかなか取り組む時間が取れないが、1月に1問でもいいから解いて行きたいと考えている。

 紀伊国屋の横浜店と新宿本店で14冊の本を購入している。読んだ本は10冊で内訳は:
亀田俊和『南朝の真実 忠臣という幻想』、椎名誠『あやしい探検隊 焚火酔虎伝』、樺山紘一『地中海』、椎名誠『ナマコもいつか月を見る』、ジュリー・ベリー『聖エセルドレダ女学院の殺人』、瀬川史朗『科学報道の真相――ジャーナリズムとマスメディア共同体』、森銑三『思いだすことども』、斎藤兆史『英語襲来と日本人――今なお続く苦悶と狂乱』、柳田国男『故郷七十年』、アキ・ロバーツ 竹内洋『アメリカの大学の裏側 「世界最高水準」は危機にあるのか』
ということである。かなり多様な内容になってはいるが、質の点でまだ改善の余地がありそうだ。〔12〕

 NHK「ラジオ英会話」を17回、「攻略英語リスニング」を8回、「実践ビジネス英語」を9回、「まいにちフランス語」を初級編11回、応用編6回の17回、「まいにちイタリア語」を初級編11回、応用編6回の17回聴いている。「入門ビジネス英語」は4月~9冊の再放送分であり、「ワンポイント・ニュースで英会話」もほぼ毎回聞いているが、再放送がかなりあるので数に入れていない。「英会話タイム・トライアル」「エンジョイ・シンプル・イングリッシュ」も同様である。〔68〕

 神保町シアターで2本、シネマヴェーラ渋谷で2本の映画を見た。『非常線の女』(小津安二郎監督のサイレント時代の作品、ピアノ演奏付きでの上映)、『簪』、『江戸の暴れん坊』、『貸間あり』という内訳で、昨年の同じ時期に比べても新しい映画を見ることが減っているのが問題である。ぼちぼちと新作にも足を運ぶことにしよう。〔6〕

 ニッパツ三ツ沢スタジアムと、等々力総合陸上競技場で第95回全国高校サッカー選手権の2回戦2試合、準々決勝2試合を観戦した。〔6〕

 A4のノート2冊、A5のノート1冊、0.5ミリのボールペン芯3本、0.4ミリのボールペン芯2本を使い切った。

 富士山を見ることができたのが10日(見たのだけれども、ノートに書き洩らした日もあったかもしれない)、酒類を口にしなかったのが5日ということである。

 さて、2月はどういうことになるか。

日記抄(1月22日~28日)

1月28日(土)晴れ

 1月22日から本日までの間に経験したこと、考えたことなど:
1月22日
 久しぶりに理髪店に出かけ、髪を短く切ってもらう。白髪が少なくなった一方で、頭の禿げもあらわになった。店の人と、東日本では蕎麦、西日本ではうどんというのは必ずしも当たらず、西日本でもそば、西日本でもうどんが名産になっている地方があるというような話をしていた。

 翌日の新聞で読んだのだが、この日、安倍首相がTOHOシネマズ六本木で、映画『沈黙――サイレンス』を見たとのことである。自宅のある渋谷区ではなく、六本木の映画館で映画を見たのは、首相が六本木が好きだからであろう。そういえば、年末年始も六本木のホテルで過ごしたことが報じられていた。
 首相が映画を見たり、展覧会に出かけたりすると、「首相動静」の一端として報じられるのだが、どんな本を読んでいるかとか、どんなテレビ番組を見ているかは、ほとんど報じられない。さらに言えば、『沈黙――サイレンス』を見て、どんな感想をもったのかも聞いてみたい気がする。この映画はまだ見ていないのだが、何とか機会を見つけて見ようと思っている。そのあたりのことは、スギノイチさんのブログ『狂い咲きシネマロード』の『沈黙』評へのコメントに書いておいたので、そちらの方をご覧ください。

1月23日
 東京の病院に出かけ、診察が終わった後で渋谷の紀伊国屋の本店を覗いてみる。

 横浜市の教育長が、市内の学校で起きた福島の原発事故の被災者に対するいじめをいじめと認めがたいという発言をしたことについて、発言を取り消すように申し入れがあったというニュースを見た。いじめとはどういうことを言うのかについての教育長ご本人のはっきりした認識を示させることの方が先決ではないかと思う。そこで表明された考えが、あまりにも教育界の常識とかけ離れたものであれば、辞任していただくよりほかない。

1月24日
 俳優の松方弘樹さんが亡くなった。1969年ごろだったか、大阪でコマーシャル・フィルムの制作の仕事の手伝いをしていて、撮影されたフィルムの入った缶を抱えて京都の現像所に出かけたことが何度もあった。それで、よくタクシーに乗ったのだが、ある時、運転手さんが、昔近衛重四郎さんをよく乗せたものだという思い出話をしてくれたことがあった。子息である松方さんがまだ子どもで、一緒についていたというような話であった。松方さんと結婚していた仁科亜希子(明子)さんについては、もう少し面白い思い出があるのだが、それはまたの機会にしておこう。

1月25日
 『朝日』の朝刊に川端康成の邸宅から、川端と交流があったり、彼が収集したりした文学者たちの書画が大量に発見されたという記事が出ていた。記事を読んでいて、山口瞳の一家が鎌倉に住んでいた時期に、山口の母親が川端康成と仲良くしていたという話をなぜか思い出した。

 NHKラジオ「実践ビジネス英語」の”Quote...Unquote"のコーナーで紹介された言葉:
All generalizations are dangerous, even this one.
             ――Alexandre Dumas (French writer, 1802-70)
(どんな一般化も危険である。このように一般化することも。)
手元にあるThe Penguin Dictionary of Quotationsではこの言葉は『三銃士』『モンテ・クリスト伯』(巌窟王)の作者である父親ではなくて、『椿姫』の作者であるAlexandre Dumas fils (1824-95)のものであると記されている。
 ジュール・ヴェルヌの長編小説『アドリア海の復讐』はデュマの『モンテ・クリスト伯』の翻案なのだが、この小説を送られた息子の方のデュマのお礼の手紙が、この種の手紙の書き方の例として、一読に値する。

1月26日
 『朝日』の「天声人語」に安倍首相が「云々」を「でんでん」と読んだという話が出ていた。麻生さんが「未曾有」を「ミゾウユウ」と読んだことに騒いだマスコミが、この件については口を閉ざしているように見えるのはどういうことだろうか。

 「実践ビジネス英語」の話題は”Food Market Trends" (食品市場の動向)で、アメリカの食品業界が自社製品の販売戦略を健康志向に、むやみに商品を売ろうとすることから、節度を持った消費を奨励する方向に変わろうとしていることを取り上げている。一方、「まいにちフランス語」応用編では”Des sushis à la menquez? (1) Les Français adorent la cuisine du monde"(メルゲーズのスシ? (1) 世界の料理を楽しむフランス人)ではフランス人が世界のさまざまな料理をフランス料理の中に吸収していることが論じられていて、アメリカとフランスの食文化の関心事の違いが表れているようにも思われる。

1月27日
 「まいにちフランス語」応用編は「メルゲーズのスシ?」の2回目で、マグレブ料理のクスクスや日本のすしがフランス料理に溶け込み、今やメルゲーズの巻きずしがあるほどになっているという。メルゲーズというのはスパイスのたっぷり入ったソーセージなのだそうだ。
 クスクスといえば、イタリアに留学していたことのある大学時代の同僚の先生が、北アフリカからの留学生と仲良くなってよく食べたという話をしていた。だから、イタリアでも食べられているのではないかと思う。
 マグレブLe Maghrebというのは北アフリカの西の方、チュニジア、アルジェリア、モロッコのあたりを指す(モーリタニアを含む場合もあるようだ)。イスラーム世界の西の果てで、「アラビアン・ナイト」ではしばしば魔法使いの住む地方として描かれている。ロンドンのユニヴァーシティ・カレッジの近くにマグレブ書店という本屋があって、その名の通り、マグレブ諸国に関する本を集めた専門書店なのだが、ここの主人と仲が良くなって、足しげく通ったことを思い出す。

 『朝日』の朝刊で池上彰さんがアメリカのトランプ新大統領の就任演説と、各紙によるその翻訳について論評しているのがなかなか面白かった。トランプ氏の「使う英語がアメリカの小学生レベルで、英語が苦手な人にも理解が容易」、「大統領の就任演説としては格調に著しく欠けますが、英語の教材にはなりそうです」などと辛らつなコメントを加えている。

 森銑三『思い出すことども』(中公文庫)を読み終える。1972年に完結した『森銑三著作集』の「月報」に連載した「思ひ出すことども」を改めて本にまとめて1975年に出版したものを、1990年に文庫本にしたものである。森銑三(1895-1985)は近世の学者・文人の伝記を多く執筆した人で、本の探し方、読み方など、参考になる記事が多い。なお、この書物の中に何度も出てくる井上通泰は医師で歌人でもあった人で、柳田国男の次兄である。(柳田のことも出てくるが、柳田の『故郷七十年』には森のことは出てこない。両者の興味関心の違いがこんなところにも出ている。)

1月28日
 斎藤兆史『英語襲来と日本人 今なお続く苦悶と狂乱』(中公文庫)を読み終える。この本については、機会を改めて取り上げるつもりである。

 NHKラジオ「攻略!英語リスニング」では”Primo Levi"を話題として取り上げた。
He was an Italian Jew, born in Turin, and graduated from the University of Turin in chemistry. (彼はイタリア系ユダヤ人で、トリノに生まれ、トリノ大学で化学を修めた。)
ムッソリーニのファシスト政権が反ユダヤ的な政策をとり、彼の家族が迫害されるようになって、1940年代初めに反ファシストグループに加わったが、逮捕され、結局はポーランドにあるアウシュビッツ強制収容所に送られてしまう。1945年1月にソ連軍がアウシュビッツを解放して、自由の身になったのだが、彼とともに12両の貨車に詰め込まれて送られてきた650人のうち、生還したのはわずか3人であったという。
 その後、彼は自分の体験を書き記すようになる。but it really is his autobiographiccal work that stands the test of time -- a testament to the human spirit in the most horrific of situations (しかし、時の試練に打ち勝って後世に残っているのは彼の自伝的な作品である――きわめて恐ろしい状況に置かれた人間の精神の証として。) 
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