オリエント急行

7月19日(日)午前中は晴れて暑く、午後になって曇り、時々小雨

 7月18日、19日放送のNHKラジオ「攻略!英語リスニング」は”Orient Express"(オリエント急行)を話題として取り上げた。

 1883年にパリとイスタンブールを結んで運行を開始、最初は全線が結ばれているわけではなく、途中で乗客は列車を降りて船で旅行を続けたりしていた。直通運転が始まったのは1889年になってからのことである。また当初はExpress d'Orientといい、1891年にOrient Expressと名前を改めたという。2009年に運転をやめたが、それは
Bargain flights and high-speed trains meant there wasn't really any need for it. (格安航空便や高速鉄道の出現で、需要がなくなってしまったんですね。)
からであると説明されていた。そういう事情もあるかもしれないが、中東情勢の不安も影響しているのではないかという気がする。

 オリエント急行を舞台にした有名なミステリー小説というとアガサ・クリスティの『オリエント急行殺人事件』(1934)であろう。番組では作者と書名しか紹介していなかった。イラクで起きた事件を解決したポアロは、列車を乗り継いでイスタンブールに出て、オリエント急行に乗り込む。彼は飛行機が嫌いなので、列車で英国に帰ろうとしているのである。が、冬なのになぜか列車は満員、雪で運行は遅延、そして、殺人事件が起きる。
 この作品は1974年にシドニー・ルメット監督、アルバート・フィニーのポアロで映画化され、翌年日本でも公開された。豪華キャストの映画化であった(イングリッド・バーグマンがこの作品でアカデミー助演女優賞を受賞したのはその一端である)が、どうもその当時の私はその豪華さを楽しむ精神的なゆとりがなくて、あまり面白いと思わなかったのを覚えている。それに、その頃はクリスティの作品をほとんど読んでいなかったのである。今、この映画を見たら、かなり違った感想を持つのではないだろうかと思う。

 Which Bond novel features the Orient Epress? (小説007シリーズで、オリエント急行が出てくる作品は?)
 That's right, Ian Fleming's From Russia with Love, both the movie and the book, feature the train. (そのとおり、イアン・フレミング作『ロシアから愛をこめて』で、映画でも原作でも、オリエント急行が出てきます。) 原作は1957年に発表され、1963年に映画化された(日本公開は1964年)。講師の柴原さんはこの映画を見ていないが、主題歌が好きだというようなことを話していた。私は原作も読んでいるし、映画の方は何度も見ている。原作ではボンドはソ連のスパイと戦うのだが、米ソの平和共存時代につくられた映画の方は架空の組織スペクターが相手になっている。映画の最初のほうのチェスの場面、最後の方のヴェニスのゴンドラの場面など記憶に残っている。それにショーン・コネリーのボンドと共演しているダニエラ・ビアンキは歴代のボンド・ガールの中で一番好きである。というよりも、最近の007映画は現実離れが進み過ぎて、ついていけなくなってきている。このあたりの作品が、私には一番なじみやすい。

 What famous 1897 gothic novel features the train? (この列車が登場する、1897年に書かれた有名な怪奇小説は何でしょうか?) Very good, Dracula. Dracula fells London for Varna by sea but his pursuers overtake him by using the Orient Express. (よくわかりましたね、『ドラキュラ』です。ドラキュラはロンドンから船に乗ってバルナに逃れますが、追っ手はオリエント急行を使って先回りするんです。) バルナ(ヴァルナ)はブルガリア東部の黒海に面する港町で、1949年から1956年まではスターリンといっていたそうである。確かに船に乗るよりも、列車で行く方が速い。そういえば、『ドラキュラ』の作者ブラム・ストーカーBram Stoker (1847-1912)は最近、読んだキャロル・ネルソン・ダグラスの小説『おやすみなさい、ホームズさん』に登場している。

 オリエント急行には乗ったことがないが、イスタンブールからパリということになると、いくつもの国境を超えるし、車窓の風景が何度か大きく変化するわけである。『オリエント急行殺人事件』の時代、『ロシアから愛をこめて』の時代、そしてその後の時代とユーゴスラヴィアの解体もあって、オリエント急行をめぐる地政学は大きく変化した。そういう変化を確認する旅行というのも面白いが、肝心の急行が運行をやめてしまったのは残念なことである。
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