安藤幸代『ニューヨーク料理修行!』

3月2日(土)晴れ

 昨日、安藤幸代『ニューヨーク料理修行!』(幻冬舎文庫)を読んだ。サラダボウルに譬えられるアメリカの中で、多文化・多民族の性格が際立っているニューヨークの「ビーガン・べジタリアン」専門の料理学校に通い、卒業するまでの日々が記されている。(ビーガンveganは完全菜食主義、べジタテリアンvegetarianは菜食主義ということらしい。)

 アナウンサーとして宮里藍選手のアメリカ女子ゴルフツアーを密着取材を行い、日米を往復する生活を5年間送った安藤さんは、一念発起、「三十路ニューヨーク留学」を決行することになる。

 ニューヨークに到着、語学学校に入学、講師にバイリンガルになるのは無理だが、バイカルチュアルbiculturalにはなれると言われる(24ページ)。このことの意味を考えるうちに、語学学校から料理学校に進路変更を思いつく。そして見つけたのが上記の学校である。それもパブリッククラスではなく、シェフズ・トレーニングのコースを選ぶ。一般のレストランへの就職を目指す人、ビーガン&ベジタリアン・レストランに就職しようという人、プライベートシェフを目指す人など、経歴も方向も多様な人々が集まってくる。他の料理学校と違って圧倒的に女性が多い環境も気に入る。

 英語での意思疎通に苦労しながら授業に出席する。その一方でアパート探しに奔走する。英語だけでなく、メートル法ではなくヤード・ポンド法が使われることに戸惑ったりする。学校の外で経験するニューヨークの生活が部分的ながら具体的に描かれる。料理学校の課程を終えてインターンとして働いたフレンチベーカリーの従業員はフランス人とメキシコ人ばかり。「このベーカリーを見てもわかるように、“アメリカの飲食業界〟を支えているのは、外国人。特に、メキシコ人がとにかく多いのです。ニューヨークで有名な日本蕎麦屋さんでは、蕎麦打ち職人だってメキシコ人。しかもそれが、とっても美味しくて評判なのです。・・・メキシコ人は『とても真面目で器用』とレストラン業界で働く日本人の方がおっしゃっていましたが、私のインターン先に勤めるメキシカンも、まさにその通り」(230-213ページ)。

 料理学校の様子も、そこで学んでいった料理のレシピを添えて詳しく記されている。「それにしても、アメリカ人はつくづく“褒め上手な人達〟だと痛感します。/グループで一緒に課題の料理を仕上げると、だれかが必ず「We did great job!(私たち頑張ったわね!)」と、皆をねぎらうのです。材料の準備が速かった、掃除が早く終わった・・・・・・それがどんな小さなことであっても、です。」(129ページ)

 そして経験から引き出されたいくつかの教訓、例えば:「人生、頑張ることは大事。でも、時には、甘えることも大事。それこそが大事なコミュニケーションなのだと、ようやく気付くことができました。それからというもの、クラスメイトと学校帰りにお茶をしたり、一杯飲みに行ったりして、日米ガールズトークをするようになりました。そしてそれが、何よりの私の元気の源。/しかし世界のどの場所に行ってもガールズトークは万国共通。特に恋愛話はね。そして、その内容までもが本当に同じだってこと、よーく分かりました(笑)。」(117~118ページ)[「世界のどの場所」というのは結論が早すぎるかもしれない。]

 アナウンサーらしく、口語の魅力が生かされた語り口で、明るく、軽く、ニューヨークでの経験を再現している。ニューヨークの魅力を知りたくなる、この都市についてもっと別の本を読みたくなる書物である。
 
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

Author:tangmianlaoren
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR