日記抄(5月21日~27日)

5月27日(水)晴れ

 5月21日から本日までの間に経験したこと、考えたことから:
5月21日
 高瀬正仁『人物で語る数学入門』(岩波新書)は西欧近代の微分積分学の発見と数論の創造にかかわった数学者たち、デカルト、フェルマ、ライプニッツ、ベルヌーイ兄弟、オイラー、ラグランジュ、ガウスなどの数学者たちの生涯と心情を掘り下げることで、一人でも多くの人々に数学がわかる楽しみを共有させようと意図する書物であるが、ちょうどこのあたりの数学がわからないもので文科系の進路を選んだ私には、やはり歯が立たない内容ばかりである。まあ、多少わかった個所は、フェルマがおそらくは3世紀にアレクサンドリアで活動していたディオファントスという数学者の『数論』に行った書き込みが、近代の数論の萌芽となったと記されているところである。
 このディオファントスの生涯について詳しいことはほとんどわかっていないが、『ギリシア詞華集』のなかに次のような風刺詩が収められているという。
  ディオファントスは一生の六分の一を少年時代として過ごし、ひげは一生の十二分の一より後にのび、さらに七分の一が過ぎた後に結婚した。結婚して五年後に息子が生まれた。その息子は父の二分の一の長さの人生を生き、父は息子の死の四年後に亡くなった。
 この詩に歌われた人物と『数論』の著者が同一人物であるかどうかは不明だそうであるが、ディオファントスの年齢をxとして方程式を立てると
1/6x + 1/12x + 1/7x + 5 + 1/2x + 4= x
となってこれを解くと、ディオファントスは84歳まで生きたことになる。
 理科系の学校で教えていた時に、出席を記録するために配布しているカードにこの問題の解答を書くように指示したことがあるが、まじめに一次方程式を解こうとする学生はむしろ少数で、なにかうまい解答方法があるのではないかと考えている学生のほうが多かった。

5月22日
 NHKラジオ「まいにちイタリア語」応用編『描かれた24人の美女』は満を持した形でボッティチェッリの『ザクロの聖母』を登場させた。首を傾けたはかなげな聖母の表情はボッティチェッリが描く女性像に共通するものである。
 講師の池上英洋さんの解説によると、ボッティチェッリの有名な作品「ラ・プリマヴェーラ(春)」は草花や木々が詳しく描かれているために、ルネサンス時代のフィレンツェ周辺の植生を知るためによい資料としても役立っているそうである。この画家のあまり知られていない側面を教えられて得をしたような気分になった。

5月23日
 「楽しいスケッチ展」を見に行くために、JR根岸線石川町駅を利用したのだが、この近くにあるフェリス女学院に通う生徒たちが多く通るらしい道路が「リセンヌ小径」と名付けられているらしいことを知った。あちことで女子校の近くには乙女通りとか、乙女坂とか、口が悪いところでは大根坂とか名づけられている場所があるという話を聞くが、そういうのはあくまで非公式の呼び名であるべきである。それにフェリス女学院はアメリカ人が創立した学校なので、フランス風の呼び方をするのは余計におかしいと思う。

 私の知り合いのある女性がこのフェリス女学院の卒業生であるが、この学歴のためにあなたは秀才ですねとか、才媛ですねとかいわれて、自分はこの学校のなかでは成績が悪く、劣等感を抱いて過ごしていたことを思い出し、そういわれるたびにひどく傷ついているそうである。個人の様々な事情を斟酌しないで、出身校を根拠に勝手にレッテルを貼って人を傷つけていることは少なくないようである。

5月24日
 NHKラジオ「攻略!英語リスニング」は昨日、本日と画家のロートレックについて取り上げた。
But he still managed to immerse himself in life and his art, and create some of the most iconic images in Western art.
(それでもなお彼は、人生と芸術をたっぷり味わって、西洋美術の象徴ともいえる作品をいくつも生み出した。)
 むかし見た、『みじかくも美しく燃え』というスウェーデン映画で、ヒロインのエルヴィーラ・マディガン(ピア・デゲルマルク)が、駆け落ちの挙句に金がなくなって、ロートレックの描いた自分の肖像画を売ろうとして安く買いたたかれる場面をなぜか思い出した。

5月25日
 14:30から始まるフランス語の時間を聴こうと思っていたら、その直前に地震が起きて、番組が流れてしまった。来週、再放送があるが、病院に出かける時間と重なるので、この部分は聴くことができない。まあ、昨年放送された分の再放送だからいいか。ということで、なんとなく納得してしまっている。このところフランス語の学習が横ばい状態であるので、これは困ったことである。

5月26日
 NHKラジオ「入門ビジネス英語」の5月放送分は既に述べたようにインドネシアの旅行業者たちを相手に日本への観光客承知を呼び掛けるビジネスマンの活躍を描いていた。アジアでも英語の重要性が増していること、その際に各国の文化的な習慣を尊重することの重要性を説いていたのは正しいと思うが、アジア英語の特徴についても多少触れてくれた方がよかったのではないかという気がする。

5月27日
 NHKラジオ「実践ビジネス英語」の”Quote...Unquote"のコーナーで紹介されたコロンブスの言葉:
You can never cross the ocean until you have the courage to lose sight of the shore.
--Christopher Columbus (Italian explorer and navigator, c.1451-1506)
陸地を見失う勇気をもたなければ、海を渡ることは決してできない。
 子どものころに読んだ絵本で、コロンブスが地球は丸いから、東回りと同様に、西回りでも中国に到達できると考えたと知った。ところで、地球は丸いと考えることと、太陽の周りを地球が回っていると考えることは別のことである。ダンテの『神曲』についてこのブログで書いた際にも触れたが、ダンテは地球が丸いと考えていたが、その一方で地球の周りを太陽が回ると考えていた(200年ほど後のコロンブスも同様である)。と、すると、太陽は毎日ものすごいスピードで地球の周りをまわっていることになる。このことを含めて、天動説にはいろいろな理論的な無理がある。そこにコペルニクスの地動説が入り込む余地があったのだが、太陽の周りを地球が回っているという決定的な証拠がだせなかった(当時の天体観測の水準では無理だったのである)ために論争が長く続くことになった。 
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