今津孝次郎『教師が育つ条件』

12月6日(木)
 今津孝次郎『教師が育つ条件』を読み終える。
 まず<教員>ではなく<教師>といういい方を選んでいること。<教師>では教える専門的職業とか授業場面での指導者という側面に、<教員>では学校組織の一員という側面に力点が置かれていると言う。また<教師>は理念的で価値的なニュアンスで使われることが多いのに対して、<教員>は現実の実態を指して使われる。(はじめにⅺ~ⅻページ)

 また、<育つ>という言葉を使って、教師の問題を形成的にとらえようとしていること。教師が子どもを育てる(手伝いをする)だけではなくて、教師も周囲の人々によって育てられる、自分の仕事への取り組みによって成長するのであるという視点が示されている。

 教師のさまざまな声を受け止めながら、この書物は教師の質や教員政策の仕組みと方向性などの問題に取り組もうとしている。主な論点は以下のようなものではないかと思う。

 一方で教師の仕事が忙しくなり、他方で保護者の教師への信頼が薄らぎ、教育への不満が累積している。免許制度を中心に教師をめぐる制度の改革が推進されてきたが、十分に実態を反映し、現状の改革に役立つものではない。

 教師の資質・能力には多様な側面があるが、多様性を生かしながら、個々の教師のソーシャル・スキルを高めていくような配慮が必要である。

 教師の形成は生涯を通じての過程であり、生涯学習の観点が必要である。そのために開かれた学校環境づくりが欠かせない。

 生徒が育ち、保護者が育ち、教師が育つという循環の中で教師が育つ仕組みを作っていくことが必要である。

 教員に対する査定ではなく、教師を育てる評価の視点が重要である。

 教師を一人称でとらえる(つまり自分自身が教師だと思っている)か、二人称でとらえるか(学校の生徒であったり、教師教育に携わっていたりする)か、三人称で他者としてとらえるかという分類をすれば、この書物は二人称の、しかも学校の先生に対してきわめて共感的な立場から書かれた書物だということができる。多くの点で納得のいく観察や意見が示されているが、それをどのように具体化し、現実化するか、そのためにも多くの読者によって読まれるべき書物である。
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