語学放浪記(49)

4月19日(日)曇り、一時小雨

 NHKラジオ英会話の4月号テキストの裏表紙は桜美林大学の広告を掲載していて、そこでは「世界に通じる人になろう」というスローガンの下、「学べる言語 18ヶ国語」という語学教育の整備ぶりが宣伝されている。

 こういう文言を見るとその18はどのような言語かという興味がわいて、同大学のホームページで調べてみた:
英語、中国語、日本語、アラビア語、イタリア語、インドネシア語、カンボジア語、コリア語、スペイン語、タイ語、ドイツ語、ビルマ語、フランス語、ベトナム語、ポルトガル語、モンゴル語、ラテン語、ロシア語
ということである。日本語は外国からの留学生向けということのようである。

 『20ヶ国語ペラペラ』という本を書いた種田輝豊氏のような例から比べれば、18は少ない(日本語を除けば17になるからもっと少ない)とか、言語と主権国家とは一対一で対応しないので、「ヶ国語」という言い方には違和感があるとかいう文句を言えば、いくらでも言えるのだが、私が大学生だったころに比べれば、外国語の履修の選択の幅が広がっていることは確かであるし、我が国の地政学的な位置を考えてアジアの言語が重視されているのも妥当な選択ではないかと思われる。NHKの外国語教育番組におけるアジアの言語(といっても今のところ中国語とハングルに限られているが)の比重が大きくなっていることもこのことを裏付ける。 

 もちろん、選択の幅が広く設定されているといっても、そのすべてを学習しなければならないということではなく、大学時代を通じて英語と、あともう1つ以上の言語をしっかり習得すればよいということである。大学の広告には例として、「1年生の夏休み、中国で言葉と文化を知る」「2年生の夏休み、モンゴルの研修プログラムに参加して、環境問題について学ぶ」「3年生で半年間アメリカで英語漬けの日々を送る」「留学生のための日本語クラスで学習支援をし、異文化コミュニケーションを体験する」というような学生生活が描きだされているが、学生1人1人の経験と重なって必要な言語の学習が組織されることが望ましい。単に学習の機会が提供されているというだけでなく、教授・学習の内容や方法がどのように工夫されているか、これらの点が実際の大学教育でどのようになっているのかに興味がわく。

 世界には数千という言語があるので(といっても、重要な言語は100に満たないと思うが)、それぞれの大学が自分の大学の個性をどのようにアピールしていくかということとの関連で、アジアの言語を重視するとか、欧米の言語を重視するとか、それぞれの重点を定めていけばよいのではないかと思う。桜美林大学がアジアの言語を重視する方針をとっていることは(もちろん、欧米の主要言語についても学ぶ機会は確保されているのだが)、その意味で敬意が払われるべきである。

 ただアジアの言語といっても、ヒンディー語のような南アジアの言語が含まれていないし、ペルシア語や中央アジアの言語も地政学的に言って無視できないのではないかと思われる。今後の検討課題としてほしい。また、アジアの言語がきわめて多様で、さまざまな語族、語派に分類され、その分布の状態も複雑であり、書きことばを記すのに使われている文字だけをとっても、一筋縄でいかないことをアピールしていくことも必要であろう。さらにもっと重要なことは、ある言語が使われている範囲と国境線が一致するものではないという事実を認識することではないかと思う。現実に、日本国内にだって、さまざまな言語を話す人々のコミュニティーが存在するわけで、そういうことも大学における言語教育の試みの中に位置づけていく必要があるだろう。

 アジアの言語ということばかり書いてしまったが、実際のところ、英語の多様性ということも大学の語学教育の中でもっと配慮されてよいことではないかと思う。第二外国語について議論するよりも、アメリカの南部英語やオーストラリアの英語までも視野に入れて、英語1、英語2・・・というふうに多様な英語の授業を開設していくことも試みられてよいのではないか。そういう試みをしている例があったら教えていただきたいと思う。
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

tangmianlaoren

Author:tangmianlaoren
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR