日記抄(3月19日~25日)

3月25日(水)晴れ

 3月19日から本日の間に経験したこと、考えたことなど:
3月19日
 NHKラジオまいにちドイツ語応用編「黒猫イクラと不思議の森」にはマレーネ・ディートリッヒが登場し、”Lili Marleen"の歌の一節が歌われた。この歌はドイツ人作曲家ノルベルト・シュルツェが1938年に作曲し、第二次世界大戦中にドイツ軍が占領したユーゴスラヴィアのベルグラードの放送局から毎晩9時57分に流された。歌っていたのは当時の人気歌手ララ・アンデルセンであり、ドイツの兵士だけでなく、英国の兵士にも親しまれるようになった。ディートリッヒは連合国軍の前線の兵士たちの慰問に従事していたが、英国の兵士たちがこの歌を愛唱しているのを知って、自分の持ち歌の一つとした。

 ドイツの生んだ国際的な映画スターであり、歌手でもあったディートリッヒはドイツ出身であったが、反ナチスの立場をとり、1939年にアメリカ国籍を取得、積極的に前線での連合国兵士の慰問に当たっていたのである。彼女の出世作である『嘆きの天使』が京都のゲーテ・インスティトゥートで上映された際に見たことがある(もう40年以上昔の話である)が、解説に当たったドイツ人の関係者が「ディートリッヒは世界一きれいなおばあちゃんになりました」と締めくくられたのが今でも印象に残っている。

 桂米朝師匠死す。私が京都大学に在学していたころ、KBSゴールデン・リクエストという番組の司会をされていたことを懐かしく思い出す。落語家としても一流であったが、落語を越えての話芸の達人であった。
 太平洋戦争を挟む時期に知識層に落語の持つ魅力と意義を知らしめた正岡容の門下で、落語家になった2人のうちの1人(もう1人は都筑道夫の兄さんで若死にした鶯春亭梅橋。この人については都筑のほかに、桂小南による回想がある)。正岡容について、金子光晴が自分の本当の友人は正岡容と佐藤惣之助の2人だけだと書いていたと記憶する。どこかの古書展で正岡の書いた下手な河童の絵を見かけて幻滅したことがある。多分、酔っ払って書きなぐったものだろう。蓮華は泥土に咲く。蓮華をとり、泥土を取るなかれ。
 現在では大学の落語研究会などを経て、本職になる落語家は少なくないが、米朝師匠は正岡の影響のもと、旧制の専門学校を卒業後桂米團治に入門された。その分、話し方に人工的な部分があったような気がする。とはいえ戦後の上方落語の苦難の時期を松鶴、春団治、文枝とともに上方落語四本柱の1人として支えてきたことについては数多くの証言がある。
 いつのことであったか、名人といわれた8代目桂文楽師匠の口利きで、4代目桂三木助襲名(もともと桂三木助は上方の名跡である)の話があったが、米朝師匠が自分は師匠からいただいた名前を大きくしたいと断ったという逸話がある。そういうことは言いたくないが、黒門町の師匠の背後には安藤鶴夫がいたかもしれず、安藤鶴夫と正岡容は犬猿の仲であったことが影響したのであろうか。いや、黒門町の師匠は三代目三遊亭円馬の薫陶を受けた落語家であり、正岡が円馬の門人の1人であったことの方を重く見るべきであろうか。とにかく、米朝師匠が米朝という名跡を大きくしたことは否定できず、そうなったらなったで、後が大変だろうなあと思っている。

3月20日
 NHKラジオまいにちドイツ語「黒猫イクラと不思議の森」ではワイマール時代のドイツ映画とその代表的な映画監督であるフリッツ・ラングについて取り上げていた。富裕層と貧困層が極端に分離された未来社会を描く『メトロポリス』については触れられていたが、もう一つの代表作であるドクトル・マブゼのシリーズについて触れられていなかったのはどういうことであろうか。
 放送でも触れられていたようにユダヤ人であるラングはナチス時代にフランスを経て、アメリカにわたったのだが、そこで監督した作品については言及がなかった。戦後、ドイツに戻ったラングはまたマブゼ博士シリーズを製作している。その週年についての言及があってもよかったように思う。なお、ジャン=リュック・ゴダールの映画『軽蔑』にフリッツ・ラングが彼自身の役柄で出演していることも記憶されてよかろう。

3月21日
 どうも風邪をひいたらしく、墓参りに出かけられそうもない。
 NHKラジオ「攻略!英語リスニング」では英国の作家ジョージ・オーウェルについて取り上げた。彼が影響を受けたといわれるスウィフトの代表作『ガリヴァ―旅行記』についてもつい最近、この番組で取り上げていた。オーウェルの伝記と作品について解説した中で、彼がスペイン市民戦争に従軍したこと、その経験をもとに『カタロニア賛歌』を書いたことについては触れられていなかった。何から何まで紹介するのは難しいのかもしれないが、スペイン市民戦争が同時代の欧米の多くの人々の関心の焦点であった出来事だけに、省かれているのは残念である。

3月22日
 依然として風邪はよくならず。

3月23日
 NHKラジオ「ワンポイントニュースで英会話」は東京都が2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて都内の飲食店が日本語以外の言語を使用する顧客の要求に対応できるよう多言語のメニューの見本を作ったと報道していた。調べたところでは、英語、韓国語、中国語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語、タイ語、インドネシア語、ベトナム語、アラビア語で料理名が記載されているらしい。さらに言語を増やす必要もあるだろうし、料理の名前だけがわかればそれでいいというわけでもなく、イスラム教徒の場合など料理の材料(豚肉が入っているかどうかということなど)が気になることも多いと思うので、さらに改善工夫を重ねることが望まれる。これはあくまでそのための一歩と考えるべきであろう。

3月24日
 風邪がどうやらおさまってきたので、やっと墓詣りに出かけた。春のお彼岸は今日までのはずだが、お寺の方はもう店じまい?をしていた。

 墓参りを済ませて、神保町シアターで「横溝正史と謎解き映画の快楽」特集上映のうち、『三つ首塔』と『七つの顔』を見る。前者は金田一耕助、後者は多羅尾伴内が主人公であるが、ともに片岡千恵蔵主演。貫録十分ではあるが、十分すぎるかもしれない。後者は戦災を免れた京都市街地でロケーション撮影されたらしい場面が多く、そのことが目を引き、さらに自動車による追跡シーンなどはよく頑張っているなと思う。『三つ首塔』で遺産相続人になる中原ひとみ(中原早苗と野添ひとみという同じような名前の女優さんがいるので紛らわしい)の可憐さ、金田一探偵の助手を演じている高千穂ひづるの大人の女性の魅力、『七つの顔』の轟夕起子の美しさなども見どころである。轟というと、裕次郎・芦川いづみの『あいつと私』の裕次郎の母親役で、昔の恋人(裕次郎の実の父)である滝沢修が「君のお母さんはむかしは窈窕たる美女だった」というセリフが忘れられないのだが、その「窈窕たる美女」の面影が『七つの顔』には残されている。宝塚出身という片鱗を見せるべく、歌を歌うシーンが少なくないのだが、録音が悪いのが残念。

 NHKラジオ「入門ビジネス英語」の関谷英里子講師の担当分の放送が終わる。もっともこれは再放送である。これまでのところでは関谷さんの元気のいい話し方がなかなか魅力的であったが、新年度からは新しい講師の担当になるので、どんな放送になるだろうか。

3月24日
 NHKラジオまいにちドイツ語の入門編、フランス語、イタリア語のそれぞれ初級編の放送が一区切りを迎えた。それぞれの言語について初級から中級への前進をどのようにして実現していくかが課題となるところである。4月からはドイツ語を中断、フランス語に重点を置くことにしたい。その一方で、ラテン語の勉強を本格的に再開(これは参考書を使っての独習である)、息抜きとしてイタリア語を続けるほか、アラビア語も手掛けてみる(これで3度目かな)つもりである。新たにテレビ番組の視聴を心掛ける代わりに、全体として放送番組を視聴する時間は減らして、本を読んだり、インターネットを検索する時間を増やすつもりだが、果たしてどうなるだろうか。
 
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