日記抄(1月15日~21日)

1月21日(水)曇り後、雨時々小雪、寒い

 1月15日から本日の間に、経験したこと、考えたことなど:
1月15日
 NHKラジオまいにちドイツ語応用編「黒猫イクラと不思議の森」の第27回は、バイエルン王国、ヴィッテルスバッハ家の国王ルートヴィヒⅡ世を取り上げた。若いころからリヒャルト・ヴァーグナーに心酔していた国王は、自分のまわりにヴァーグナーのオペラの世界を再現することを夢みて、その実現に精力を傾け、惜しみなく全財産を注ぎ込んだ。「メルヘン王」(Märchenkönig)と呼ばれる彼であるが、1878年に世界初の発電所を作らせるなど、革新的な技術にも目を向けていたという。その発電機を作ったのは、有名な発明家のヴェルナー・フォン・ジーメンスであった。

1月16日
 渋谷のイメージフォーラムでジャン=リュック・ゴダール監督の『アルファヴィル』とともに上映されていた、フランソワ・トリュフォー監督の『華氏451』を見る時間的な余裕がなかったのは残念である(一時期、ジュリー・クリスティーが好きだったこともある)が、この映画の原作であるレイ・ブラッドベリの小説には多少の思い出がある。
 アメリカから日本に研修旅行にやって来た学校の先生のグループの案内(の手伝い)のようなことをしていた時に、そのうちの一人の年配の女性教師が、自分はハイスクールでSFを教えているといったので、びっくりしたことを覚えている。後で知ったのだが、アメリカにはハイスクールでSFを教える先生の団体があるらしい。彼女は、昨年は授業で『華氏451度』を読んだといっていた。
 『華氏451度』はブラッドベリが1951年に書いた短編小説”Fireman"を1953年に長編に書きなおしたもので、他の小説と合わせて出版された後に、1954年に『プレイボーイ』誌に連載された。この間の事情について、彼自身がカリフォルニア工科大学の卒業式に来賓として招かれたときの記念講演で話しているのを読んだことがある。興味のある方は探してみてください。

1月17日
 NHKラジオの「攻略!英語リスニング」で取り上げた話題は「グレタ・ガルボ」であった。グレタ・ガルボ(Greta Garbo, 1905-1990)はサイレント時代から活躍したスウェーデン出身の映画女優で、番組では取り上げなかったが、ドイツ経由でハリウッドに進出した。彼女の出演作についていろいろと語られたのだが、ドイツ時代の『喜びなき街』については触れられなかったので、番組中で言及された作品で私が見たのは最後から2番目の出演作である『ニノチカ』だけで、これは確かに傑作なのだが、彼女の出演作では珍しい喜劇ということで、私にはこの女優について語る資格はなさそうだと思って聞いていた次第である。彼女は1941年に36歳の若さで引退したのだが、その後なんと1990年まで生きていた。
 番組とは関係のない話になるが、中華人民共和国成立間もない時期の上海における人間模様を描いた周而復の長編小説『上海の朝』の登場人物の一人の女性がガルボの映画が好きだという設定になっていて、こんなところでも彼女の人気が世界的なものであったことを知ることができる。

1月18日
 「攻略!英語リスニング」で「以下の英文を暗誦してみましょう」として提示されたガルボについて語る文:
She is the ultimate screen icon, the epitome of silver-screen glamour, the pinnacle of Hollywood's golden age.
(まさに究極の映画スターで、銀幕の魅惑と呼べる人であり、ハリウッド黄金時代の絶頂といえる。)

1月19日
 NHKまいにちドイツ語入門編「きっと新しい私に出会える”おとなな女”のひとり旅」は、今週から舞台を北ドイツのハノーファーに移した。講師の白井さんはこの市で4年間勉強されたそうである。二―ダーザクセン州の州都であり、観光地というよりも産業とサービス業の中心地ではあるが、豊かな歴史的な伝統と自然もこの市の魅力となっているという。日本ではハノーヴァーという英語式の呼び方の方が一般的ではないかと思うのだが、これは英国の現在の王室がハノーファーに本拠を置くドイツの諸侯の出身であるからである。

1月20日
 アガサ・クリスティーの中編小説『ポアロとグリーンショアの阿房宮』(早川書房:クリスティー文庫)を読み終える。彼女が1954年に地元の教会のチャリティーのために書き下ろした作品であるが、いろいろな事情で発表されないまま、1956年に長編小説『死者のあやまち』に書きなおされて発表された。したがって、両作品を読み比べてみると、クリスティーの創作上のさまざまな工夫の跡をたどることができるはずだが、こちらはそれほど熱心な読者ではないので、『死者のあやまち』のあらすじを思い出しながら、それでも楽しく読み終えることができた。物語の舞台となるデヴォンシャーのグリーンショア邸は、実はクリスティー自身の別邸グリーンウェイがモデルになっていて、違うのは「阿房宮」だけであるという。「阿房宮」と訳されているのはfollyで、「大金をかけた無用の大建築」という意味である。作品を読んでいて、それが大建築だという印象を受けないのは、どういうことだろうか。それでもクリスティーの故郷でもあるデヴォンシャーには一度だけだが出かけたことがあり、英国で訪問した地方の中で最も忘れがたい地方の1つであることも私にとってのこの作品の魅力となっている。

1月21日
 NHKラジオ「実践ビジネス英語」は”Reading in the Digital Age"(デジタル時代に読む)というビニェットが始まった。e-reader (電子書籍リーダー)、タブレット、ノート型コンピューターなどによる読書が普及した結果、読書習慣が大きく変化したという話題から、登場人物の一人が、
My reading ha become terribly fragmentary -- even superficial. More and more, we read in pieces.
(ひどく断片的な読み方、表面的とすらいえる読み方をするようになりました。私たちは細切れに読むことがますます多くなっています。)
という。本当にそうなのか、改めて自分と自分の周囲の読書をめぐる経験について検討してみる必要がありそうだと思った。

 作家の陳舜臣さんが亡くなられた。『景徳鎮からの贈り物』は好きな短編小説集である。ご冥福を心からお祈りしたい。

 訃報といえば、小学校時代の同級生の夫君から寒中見舞いが届いて、同級生が昨年末に亡くなっていたことを知った。年賀状を頂いたので、返事を出したのだが、どういう事情であったのか、投函後に亡くなられたらしい。いつ、身近な人々のなかのだれかの訃報が届いても不思議ではない年齢に達してはいるのだが、その自覚なしに日常生活に追われている。ともあれ心からご冥福をお祈りしたいと思う。
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