群ようこ『おやじネコは縞模様』

12月12日(金)曇り、時々晴れ間が覗いていた。

 12月11日、群ようこ「おやじネコは縞模様」(文春文庫)を読み終える。

 著者が飼っているメスネコのしいちゃんを追いかけて、マンションの最上階までやって来て、居心地がいいものだから時々顔を出すようになった外ネコ(というよりも野良ネコといった方がピッタリの風貌の)オスネコのしまちゃん。不器量で愛想が悪く、大食漢であるが、なぜか憎めないこのネコに、近所の猫好きたちはそれぞれ勝手な名前をつけて餌をやり、そのおかげで太っているのだが、そのくせ喧嘩は弱く、ほかのオスネコにやられて満身創痍でしょぼんとしていることがある。

 動物好きで知られる著者は、このしまちゃんを始め、自分の飼いネコであるしいちゃん、友人たちの飼いネコなど、ネコをはじめとして、イヌ、サル、げっ歯類などの動物について自分の体験をもとに様々な感想を書き散らしている。ネコの話題が多いのは、ネコを飼った経験が多いからであり、とくにネコが好きというよりも、行きがかり上そうなったのだと著者は語っている。ネコに比べてイヌの方が品種が多いので、飼い主はそれなりの愛着があって飼うことを選ぶのではないかともいう。
「ネコの場合は、里親捜しで出会ったり、もちろんペットショップで購入する人もいるが、偶然の出会いがあって、やむにやまれず飼う人も多い。わたしも実家にいるときネコはいたが、そのときもネコを飼いたいと思っていたわけでもなく、ずるずるとそうなった。私の飼いネコ「しい」との出会いもそうだった。」(164ページ) それにしてもしまちゃんにやるキャットフードの量が多くて、インターネット通販のゴールド会員になったという話など大いに笑わせられる。「ネコ好きにはどこかおおざっぱというか、アバウトなところがあるのだ」(同上)というのにはまったく同感である。そうかと思うと、夏が過ぎてもまだ元気で、どこからともなく著者を襲ってくる蚊との壮絶な戦いの次第も記されている。

 人間もペットも高齢化が進み、それだけに両者の関係は複雑化している。著者はおそらくは自分の老いも念頭に置きながら、動物たちの老いを語る。外ネコのしまちゃんが病気になり、姿を消すところの描写は淡々としているが、気にかけている著者とその友人の気持ちはよく伝わってくる。しまちゃんだけでなく、いつもその食べ散らかした餌をたべにやって来たムクドリのつがい、さらにその食べ残しをたべにやって来たスズメのつがいについても著者の目が向けられている。いなくなったしまちゃんのたましいが戻ってきたのではないかと思われるときには、なぜかムクドリ夫婦、スズメ夫婦の姿が見えるという。「秋のお彼岸の時には、しまちゃんとともに、また二組の夫婦が遊びに来てくれないかと、ささやかに願っているのである」(196ページ)という結びにはしんみりさせられる。

 実は今日、郵便局で犬を抱っこして順番を待っている女性をみかけた。それでチェーホフの短編小説と違って、飼い主の方にはまったく関心はなく、イヌと視線を合わせながら、群さんがイヌを見ていると飼い主との関係についていろいろと想像できると書いていたことを思いだしていた。飼い主の膝の上でおとなしくしている犬は、まずまず関係良好なのであろう。ネコの方は見ていても、飼い主との関係はわからないと群さんは言うのだが、ネコの場合でも関係を物語るような何かはやはりあるのではないかという気がしている。もちろん、群さんも書いているように、ネコの(ほかの動物も)性格は一匹一匹違ってそれぞれの個性がある。他と比べてどうかということはないはずである。とはいうものの、自分の家にネコがいるとどうしても自分の個性がどんなふうにネコに反映しているのか、そんなことを考えたくなるのである。
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