暖簾

「追悼 女優・山田五十鈴アンコール」の中での上映であるが、むしろメガフォンを取る川島雄三についての興味から見た。川島が日活から東京映画に移籍して2作目であるが、東京映画ではなく、宝塚映画で製作している。山崎豊子が自分の生家をモデルにして書いた長編小説の映画化。明治末期に淡路島から出てきた主人公が同郷のよしみで昆布屋の主人に拾われ、丁稚、手代、番頭を経て暖簾分けにより独立、台風による被害や戦災、息子の戦死などの不幸を乗り越えて店を拡大していく過程を、後半はあまり期待していなかった二男の活躍に焦点を当てながら描いている。本来ならば2部作くらいにすべき内容であるが、そうなるとどこで区切るかが難しかったのかもしれない。
 主人公とその二男を森繁が一人二役で演じ、丁稚時代からずっと仲がよかった女中のお松を乙羽信子が演じている。暖簾分けにより独立してお松と夫婦になる心づもりであったのが、主人の姪にあたるお千代と結婚するように言われる。このお千代を演じているのが山田五十鈴である。勝気で頭の良いお千代との夫婦は結果的に成功であったと言いたいようである。その他、配役で面白かったのがお松の娘を扇千景が演じていたことで、主人役の中村鴈治郎の嫁になる直前の出演だったはずだから、映画と現実が皮肉な関係をもっているわけである。
 同時代の風俗を映像に残し続けた川島はその結果として自分で考えていた以上の仕事を遺したように思われる。大阪については多くを語るほど知っているわけではないが、この時期、まだ戦前の大阪の名残りをとどめる場所は残っていたのであろう。前半にはそういう懐かしさが感じられる(別にその時代を知っているわけではない)。それよりも、この映画の中で新しい動きを代表する場所として描かれている大阪駅周辺の風景がさらに一変していることに気づく。現代の映画はどのように大阪を描こうとするのであろうか。
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