地下鉄

7月7日(月)雨が降ったりやんだり

 NHKラジオまいにちフランス語の時間で、地下鉄の切符売り場で観光客が係の職員にむかって
Pour aller à la tour Eiffel, c'est qulle ligne? (エッフェル塔に行くのには、どの線に乗ればよいのでしょうか?)などと質問する場面が取り上げられ、番組中の余談として、パリには14の地下鉄路線があって、観光には便利であるという話が出てきた。ただ、東京とか、ロンドンとか、ニューヨークのような他の都市と比べてどうなのかという方向に話が進まなかったので、その点がちょっと残念であった。

 かくいう私、地下鉄には多少のなじみがあって、国内では東京メトロと、都営のほか、札幌、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡、海外ではソウル、ロンドンの地下鉄に乗っている。リヴァプールにも地下を走る鉄道があるのだが、地下鉄の内に入っていないようである。パリに出かけたことはあるが、地下鉄に乗っていない。バンコクにも出かけたことがあるのだが、そのころはまだ地下鉄が開通していなかった。国内では仙台と広島の地下鉄には乗っていない。

 パリの地下鉄が数え方によって違うとはいうものの、14路線というのは他の都市に比べて多い。東京はメトロが9路線、と映画4路線で、東急の二子玉川線を地下鉄に加えれば同数になる。ニューヨークは数え方によるが、24系統、34路線というからもっとすごい。世界最古の伝統をもつロンドンの地下鉄は11路線で、ほかの都市に比べると車両が小さい。英国人は体が大きいので、車内は窮屈に感じられる。それでも1日乗車券を使ってロンドンの地下鉄をあちこち乗り回したのは懐かしい思い出であるが、今ではオイスター・カードにとってかわられた。

 パリの地下鉄といえば、レイモン・クノーの小説をルイ・マルが映画化した『地下鉄のザジ』は好きな作品の1つで、3回ほど見ている。母親とともに地方で暮らしている少女ザジがパリにやってくる。彼女は地下鉄に乗ることを楽しみにしているのだが、あいにく地下鉄はストライキで動いていない。最後に、彼女がパリを去るときに、ストライキは終わって地下鉄に乗ることができたのだが、彼女は眠りこけていて、地下鉄がどういうものか経験できずじまいに終わる。

 映画の最初の方でザジは地下鉄が地上を走っていることを知って失望するが、フランス語で地下鉄はメトロであり、「都市」という意味は含まれていても、「地下」という意味はない。少し前まで東急東横線の渋谷駅は東急デパートの2階に相当する高架線上にあり、東京メトロの銀座線の渋谷駅はさらにその上にあった。こちらは今でもそうである。作家の竹内真さんがあるとき、地方から出てきたらしいおばあさんに、地下鉄に乗るにはどうすればよいのか聞かれたので、あそこの階段を昇ればいいですよと答えたところ、「田舎者だと思ってバカにするな! 地下鉄が地下を走っているくらい私でも知っている!」とすごまれたという話を書いている。しかし、地下鉄が地下を走らない場合が少なくないことを知っていないといけないのである。(この話では、『地下鉄』と一般的な質問になっているところが気になる。そのころ、渋谷駅で利用できる地下鉄は銀座線だけだったのであろうか?)

 ヨーロッパの都市で比較的地下鉄網が整備されていないのはローマだそうである。映画『フェリーニのローマ』の中で、地下鉄の工事をしていたら、ローマ時代の遺跡に行き当たり、しかもそれが外気に触れて一気に破壊されていく様子が描かれていた。その一方、イングランドのニューカッスルはcarry coals to Newcastle(ニューカッスルに石炭を運ぶ=余計なことをする)という成句があるほど炭鉱として知られた都市であるが、地下鉄が走っていて、あるいは昔の坑道が利用されているのではないかと思ったりする。地下鉄は近代の産物のようでいて、それぞれの都市の歴史的な単純とは言えない過去を反映しているのである。
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

Author:tangmianlaoren
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR