秘剣ウルミ バスコ・ダ・ガマに挑んだ男

6月27日(金)曇り

 NHKBSプレミアムでインド映画(秘剣ウルミ バスコ・ダ・ガマに挑んだ男』(Urumi: The Warriors who Wanted to Kill Vasco da Gama, 2011、サントーシュ・シヴァン監督)を見た。2011年の第12回NHKアジア・フィルム・フェスティバルで上映され、その後BSでは放送されたが、劇場では公開されていない。16世紀のインド南部を舞台として、西側から海を渡ってきてインドを武力で支配しようとするポルトガルと、それに対するインドの人々の抵抗を描いた作品である。欧米の歴史書の中には日本は1451年にポルトガル人によって発見されたなどと書いてあるものがあり、そこまで極端な見方は取り入れなかったものの、我が国における「世界史」にはどうも欧米からの視角に傾く傾向がある。インド人によってつくられ、インド人の抵抗を描いているということがこの作品の特色であり、色々と考えさせるところがあった。

 映画は現代のインドの都市に住む青年が、先祖から受け継いだ土地を売れば大金が入ると持ち掛けられるところから始まる。故郷の村の学校の敷地は、彼の先祖が貸したもので、貸借期限が切れれば自分のものになる、鉱山として開発する価値のある資源の眠る土地だという。ところが村の学校を訪問してみると、鉱山の開発は環境破壊につながるので考え直せといわれ、さらに土地の人々から彼の先祖がもっていた秘剣ウルミを渡されて、先祖の物語を聞かされる。

 喜望峰からインド洋を渡って南インドに到着したポルトガルの冒険家ヴァスコ・ダ・ガマはこの土地で胡椒をはじめとするヨーロッパで高価に売れる香辛料が産出されていることに目をつけ、自分たちの支配を広げようとする。ポルトガル人に父母を殺された青年ケールは復讐を誓ってウルミという剣を造り、各地を放浪して武芸の腕を磨き、兵法を学ぶ。ポルトガル人体は海岸に砦をきずき、現地の藩王たちを脅し、村々に絞首台を設置して民衆からの収奪を繰り返している。ケールは同志を募り、ポルトガル人に対する戦いを企てる…。

 インド映画らしく、物語の進行の合間合間で歌と踊りが入る一方で、人間関係が複雑でよくわからないところが出てくる(もともとの作品から40分に相当するフィルムがカットされているとの話である)が、インドの剣が他の文化の中での剣と造りも使い方も全く違うことを知っただけでも見るだけの価値があった(この作品の舞台は南インドであり、亜大陸の他の部分ではまた別の剣が使われていたのかもしれない)。映画の終わり近く、ガマは記憶され、それに抵抗したケールは忘れられたというセリフが印象に残る。それでも、植民地支配について改めて考え直すきっかけになるだけの内容をもつ映画である。

 シヴァン監督が撮影も担当しているということで、かなり凝った画面構成がみられ、原野や泥沼も踊りの舞台にしてしまう生命力と映像の美しさには感心してしまった。インド映画に詳しい人が見ると感想は別なのだろうが、ショタジット・ライの作品を覗くとほとんどインド映画を見ていないので、ただただ圧倒されたというのが正直なところである。歴史物語を聞いた主人公が現代の問題にどのような決断を下すかは、観てのお楽しみで、もっと大きなスクリーンで見ていたいと思っているところである。
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 初めて訪問しました。よろしくお願い致します。いつも訪問ありがとうございます。
 この映画面白そうですね。歴史が好きで、歴史に題材をとった映画も好きです。インド映画はほとんど観ていませんが、オランダ・ベルギー旅行の往復の時に、何本か観て、その多様性とスマートさに驚きました。インド映画恐るべしと。まあインドは映画大国ですから当然かもしれませんが。
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