オー! ファーザー

6月20日(金)晴れ

 昨日、観た映画2本のうちのもう1本。上映時間が限定されていてこの順序になったのだが、これでよかったのではないかと思う。

 先に見た映画、『ぼくたちの家族』は我々の経験の範囲の中でありそうな物語が展開する。子どもたちが成長して親元から離れていくこと、年老いた夫婦のどちらかが病気で倒れること、そういう時に誰を頼るべきかということなど、身近な問題である。誰もがサラ金から借金をしているとは言えないが、住宅ローンの返済はより身近な経験である。それに比べるとこの映画、『オー! ファーザー』は変わっている。主人公の高校生には4人の父親がいる。賭博師、元ホスト(現在は専業主夫ということらしい)、体育の教師、大学の先生で、主人公の母親がこの4人と同時に付き合っているときに妊娠し、誰が父親かわからないまま共同生活を続けているというおよそありえない設定から物語は始まる。しかも、物語を通じて母親は間接的にしか登場せず、姿を現すことはない。

 母親が働いており、他にも稼ぎ手がいるし、住人も多いので、主人公たちは比較的大きな家に住んでいる。とはいうもののあまりにも変わっているので、友人を家に連れてくるということはほとんどなかった。ところがそういう主人公に興味をもつ同じクラスの女子生徒がいて、一方的に自分は彼女であると言い出し、物語が動き始める。クラスには1人、不登校の生徒がいて、その生徒の暮らすマンションに2人で様子を見に出かける。

 彼らの住む地方都市にはボスがいて、新たにゲームセンターを始める。その開場に賭博師の父親たちと出かけた際に、主人公は別の来客のものである鞄のすり替え、持ち去りの現場を目撃し、犯人を追跡する。途中で他の事件に巻き込まれて追跡しきれないのだが、この事件が進行中の知事選挙と関連しているのではないかという疑いが生まれる。主人公たちの暮らす家に空き巣が入って荒らされたり、何かと怪しげな事件が連続する。

 いろいろな事件が起きて、それらがだんだん奇怪な事件との関連を明らかにしていく。事件の展開が奇怪である一方で、一見唐突に出てくるエピソードが後で起きる事件の伏線となっていることがあるので、油断大敵である。主人公は4人の父親たちの助けを借りて、事件の核心に迫っていく。女子高生と、幼馴染の友人とが事件の進行にいろいろな形で絡む。

 4人の父親というのが男性と父親の必ずしも好ましいとは言えない属性を体現していることは容易に推測できる。我々の日常的な経験の範囲を超えた事件の展開であるが、登場人物の性格は誇張されているとはいえ、むしろ身近なものではないか。賭博師の勝負度胸、ホストの女性に対するやさしさ、体育教師の喧嘩の強さ、大学教師の知識、それぞれがそれだけでは必ずしも好ましいとは言えないが、その4つが組み合わさるととんでもない力を発揮する。現実にはあり得ない物語であるが、あってもいいだろう、その方が楽しいだろうと思われる作品に仕上がっている。ラスト・シーン近くにちょっと考えさせる場面があるので、その個所も見落とさないようにしてほしい。
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