日記抄(6月4日~10日)

6月10日(火)曇り

 6月4日から今日までの間に経験したり、考えたりしたことから:
6月4日
 用事があって本郷郵便局に出かけ、その帰りに東京大学の前を歩きながら、杉浦茂の漫画の中に登場したギャグを思い出していた。<たんめん老人>という名乗りの由来が杉浦茂の漫画に登場する<焼きそば老人>にヒントを得ているという程度に、私は杉浦が好きなのである。
 正義のヒーローの手で、悪いことをするために作っていた発明品を壊されてしょげかえる悪役の科学者に向かってその子分の1人が言う:
 また、新しい機械を作ればいいじゃないですか。ボクが手伝います。
 もう1人の子分がお前に手伝えるのか?と聞くと
 こう見えても、ボクは東大の…
 えっ、東大を卒業したの?
 前を通ったことがあるんだぞ。
 変なの‼

 杉浦は田河水泡に弟子入りする前には洋画家を志しており、1930年に「夏の帝大」(帝大=現在の東大)という作品で第11回の帝国美術院展覧会(現在の日本美術展覧会)の洋画部門で入選しているそうである。「前を通る」どころか「中に入って絵を描いた」ことがあるのだが、子ども向けには「前を通った」というほうがわかりやすいだろう。

6月5日
 NHKラジオまいにちイタリア語応用編「イタリア:24の物語」ではナポリを取り上げた。そのすばらしさから「ナポリを見て詩ね!」(Vedi Napoli e poi muori!)といわれている一方で、この都市の無秩序さのゆえに「ナポリを見ると死ぬ」(Se vedi Napoli, muori!)という冗談も囁かれてきたという。

6月6日
 70年前のこの日(1944年6月6日)に連合国軍がノルマンディー上陸作戦を成功させた。NHKBSプレミアムではこの一部始終をドキュメンタリー風に再現した『史上最大の作戦』(The Longest Day, 1962)を放映した。多数の出演者を豪華に並べているが、それぞれの個性があまり引き立っていない。その意味ではルネ・クレマンの『パリは燃えているか』の方がまだ出来がよかったと思った。作戦の成功を描く映画であるにもかかわらず、観ていて「戦争は嫌だ」という気分が強くなる。
 この映画を意識して、イタリアでは『地上最笑の作戦』(Il Giorno Piu Corto, 1962)という映画が作られた。「最も長い日」に対抗して、こちらは「最も短い日」と題され、第一次世界大戦を舞台にした喜劇映画である。テレビで部分的に見ただけだが、こちらの方が面白かったという記憶がある。出演者の1人であるヴィルナ・リージが一番きれいなころの映画だという意味でも、もう一度見てみたいと思っている。

6月7日
 サッカーのW杯に向けての日本代表とザンビアとの対戦を途中からTVで見ていた。点の取り合いになったが、最後に大久保選手がゴールを決めて4-3で勝利。

6月8日
 シネマヴェーラ渋谷で野村芳太郎監督の作品を見るついでにチラシを集める。6月24日~9月7日まで東京国立近代美術館フィルムセンターで増村保造監督の作品の特集上映が行われる。上映作品のうち『陸軍中野学校』「『好色一代男』『華岡清洲の妻』は角川シネマ新宿で開催される(市川)雷蔵祭でも上映される。

 岩波文庫の丸山眞男『政治の世界 他十篇』を読み始める。「(政治学の)祖先であるプラトンやアリストテレスの政治学の背景にはギリシャ民主政の絢爛たる展開があり」、「イタリーにルネッサンスの華が咲きこぼれたとき、そのさきがけをなしたフィレンツェ自由都市のあのはつらつとした雰囲気の中で、マキアヴェリの『君主論』や『ディスコルシ』が現われて近代的政治学の礎をきずいた」(16ページ)というように、政治的自由と民主主義が政治学の発展の土台となっていると論じる文章は美しいが、性急に丸呑みするわけにはいかない。プラトンやアリストテレス、マキアヴェリが直面した現実をもう少し詳しく掘り下げてみる必要があるのではないかと思った。

6月9日
 林隆三さんが亡くなられていたことが分かった。代表作の1つ『竹山ひとり旅』(1975)はその年のベスト・ワンに選んだ、印象に強く残る作品である。個人的には林さんよりも乙羽信子の演じている母親の方の記憶が強いのだが、いずれにしてもご冥福をお祈りしたい。

 NHKBSプレミアムで小林旭主演の『赤い夕陽の渡り鳥』(斎藤武市監督)を見る。『渡り鳥』シリーズ第4作、第2作である『ギターを持った渡り鳥』を5月26日に同じ時間帯の放映で見ている。『ギター』の舞台が函館であったのに対して、こちらは福島が舞台である。西部劇風のストーリー、小林旭、浅丘ルリ子、宍戸錠というトリオは不動。悪役が経営するクラブ?のままを演じているのが『ギター』では渡辺美佐子、『赤い夕陽』では楠侑子で、この2人は同じ劇団(新人会)に属していた時期がある。18世紀ドイツの劇作家レッシングの代表作『ミンナ・フォン・バルンヘルム』を日本で初めて上演した際に、ヒロインの恋する貴族令嬢ミンナを演じたのが楠、その侍女のフランツィスカを演じたのが渡辺であった。なお、ミンナの恋の相手である士官のテルハイムの従僕ユストを演じていたのが小沢昭一であったと記憶する(舞台を見たわけではなく、岩波文庫の『ミンナ・フォン・バルンヘルム』の解説に初演の際の出演者が記されていたのである)。

6月10日
 日本テレビの朝の番組『PON!』で澤穂希選手がスペイン語を勉強中だということが紹介されていた。ちょっとしゃべってみてくださいといわれても遠慮していたので、まだまだ始めたばかりということではないかと思う。
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