『シェフ~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~』と『007 スカイフォール』

1月17日(木)晴れ

 109シネマズMM横浜で『シェフ~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~』、『007 スカイフォール』を見る。

 前者はパリを主要な舞台とするフランス映画、後者はイスタンブール、ロンドン、上海、マカオ、またロンドンに戻って、さらにはスコットランドへと舞台が移動する無国籍と言えばそれまでだが、英国のパインウッド・スタジオを中心に製作された映画である。前者はフランス料理、後者はテロリストとの戦いに取り組む諜報活動が主な題材であり、一見、共通点を見出すのは難しいようであるが、ともに伝統的なやり方をできるだけ守ろうとする保守的な考えの持ち主と、情報技術の発展に代表される新しい時代の動きとの出会いを描いている。古い世代には経験があるが、体力の衰えは否定できない。新しい世代は時代の流れに乗っているが、経験が不足している。新旧の対立とともに(これも新しい動きでの一つではあるが)、フランスも英国ももはや白人だけの国とはいえず、多文化化していることも自明のこととして描かれている。このような共通する要素を見つけては楽しんでいた。

 映画は視聴覚に訴える表現形式であるから、料理のように味覚、さらに嗅覚と触覚にも関係する領域の表現は難しい。料理を賞味する人々の演技だけでは伝えきれないものがある。だからどうしても料理にかかわる人間関係の描写に重きが置かれることになる。『シェフ』の主な舞台裏は、人間関係ということになり、年長の世代の三ツ星レストランのシェフは娘との親子関係を、シェフ志望の若者は妊娠中のパートナーとの関係を抱えている。物語には、その一方で様々な経歴・能力の持ち主を集めて降りかかる難問を解決してゆく特命物の性格もある。そういう人間模様がいろいろと組み合わされて映画を作り上げているとはいうものの、それぞれがそれほど丁寧に描かれていないのが映画の魅力をそいでいるともいえる。新旧の対立ということで見ると、なかなか物語が結末に至らないところにフランス社会の現実の反映を見るべきであろう。全体として楽しんでみることができたのは、フランス料理にはあまり縁がないとはいうものの、食べることが好きだからである。主人公2人が日本人に化けて他のレストランを偵察に出かける場面がおかしいが、日本人としては釈然としないものを感じないわけにはいかない。どうもフランス映画には日本人をコミック・リリーフとして使う傾向があるように思うのだが、これは私の僻みであろうか。

 このところ、『007』とはご無沙汰していたので、『スカイフォール』が近年にはない傑作であるという評価を確認するだけの材料がない。ただ、2作品を見比べてみると、映画としての出来はともかく、こちらの方には作り手の個性が感じられないことは確かである。それでも面白ければよいという見方もあるだろうし、そのあたりは最終的には見る側一人ひとりの問題である。集団製作による映画と、個性の表現としての映画という見方をすれば、『007』が集団製作の性格の強い映画の1つの極致であることは改めて言うまでもなかろう。ロケ地の選定などは行き届いているように思われる。実際のところ、悪役のシルヴァーの本拠地となっているのがわが日本の軍艦島であることに気づき、それをクレジットで確かめたのが一番うれしかった。

 
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