狂った果実

 「日活映画100年の青春」シリーズの中で、川島雄三の『幕末太陽傳』に続けて、中平康の『狂った果実』を見ると、どうしても見劣りがしてしまう。その後の日活映画に対して与えた影響の大きさからいえば、『狂った果実』の方が大きいので、これは奇妙なことである。影響ということでいえば、『狂った果実』の「非行青春映画」としての雰囲気や、その舞台としてのぎらぎらと光る夏の海の描写など、その後長く日活映画の基調の1つとなったものである。

 もう一つ奇妙なことは、監督の中平康がこのあとに作った『フランキーの牛乳屋』のなかで、自作のパロディを試みていることである。映画には四つ橋大学だか、八橋大学だか忘れてしまったが、怪しげな小説を書く大学生が登場し、へたくそな太陽族小説を書いている。

 いったい、『狂った果実』の方が本気で作った映画なのか、『フランキーの牛乳屋』の方に監督の本音が出ているのか、どうもよくわからない。両方ともそれなりの達成度を感じさせる作品ではあるが、才能を分散させたことが、その後の中平の停滞の原因になったのかもしれないと思うと、もったいないという気分にさせられる。

 書いている私の方も、どうまとめてよいのか分からないような混乱が見た後に残る作品である。
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