ウィルキー・コリンズ『月長石』(13)

10月24日(木)曇り、時々雨。台風27号と28号が日本列島に接近中でいろいろと不安である。

 10月21日(月)、横浜駅西口有隣堂で月長石の標本を購入する。既に2点もっているのだが、店頭に並べられているのを見るとほしくなってしまう。困ったことだ。

 ウィルキー・コリンズのこの小説の中心となっている月長石は黄色いダイアモンドであって、今回私が買ったのは、別の種類の石である。月長石(Moonstone)というのは月の満ち欠けによってその輝きが変わると信じられ、インドの寺院で月の神の像の額に飾られていた。その後、イスラム教徒の手に落ちたが、3人のヒンズー教徒の僧が常にこの宝石のゆくえを見まもってきたと語られている。なお、コリンズは別の種類の石について「月の影響を受けると考えられるが、宝石としては品格の劣る半透明の石」(semi-transparent stone of the inferior order of gems, supposed to be affected by the lunar influence)(中村能三訳、創元推理文庫、9ページ、Penguin Popular Classics, p.11)と述べている。

 インドの宮殿から強奪者であるハーンカッスル大佐の手で英国に持ち込まれた月長石は、彼の死後姪にあたるヴェリンダー家の令嬢レイチェルの18歳の誕生祝いとして贈られるが、誕生祝いの翌朝、その行方が分からなくなる。難航する捜査を解決するために、ロンドンからカッフ部長刑事が招かれる。彼の捜索の中でこの邸の下働きの女中で前科のあるロザンナ・スピアマンの挙動がおかしいことが明らかになる。カッフ部長刑事は彼女が邸の中の誰かの意を受けて動いているのではないかと推理する。そして推理の裏付けのために近くの町であるフリジングホールに出かける。留守中、レイチェルの従兄で彼女への求婚者、月長石を邸に持ち込んだフランクリンに、ロザンナが何か話しかけようとするが、フランクリンは(彼女が自分に関心を抱いていたとしても)彼女に関心はないと聞えよがしにいうという一幕がある。

 月長石が紛失した経緯を語っているのはこの邸の執事であるベタレッジであるが、戻ってきたカッフは彼に向ってフリジングホールでの調査結果を語る。フランクリンが宝石を邸に持ち込む前後から邸の近辺をうろうろしていた3人のインド人は逮捕されていたが、今回の事件とは無関係であることが分かり、間もなく釈放されることになる。しかし、彼らは宝石を取り戻すために、その行方を捜し続けるだろうとカッフは予言する。彼の調べたところではロザンナは町でナイトガウン用の生地を買い求めた。おそらく汚れのついた自分のガウンと取り換えるつもりなのだろうが、だとするともとのガウンを焼き捨てずにどこかに隠したという行動の説明がつかない。いずれにしても、彼女が何かを隠した「ふるえる砂」のありかを突き止めなければならない。

 レイチェルは伯母であるエーブルホワイト夫人のもとに旅立とうとする。カッフは引き止めるが彼女の決意は固い。そこで、彼女の馬車に見張り役を乗せることにする。彼はまた地元の警官のジョイスにロザンナを見はるように言いつけていたのだが、ジョイスは彼女を見失っていた。そこでカッフはヴェリンダー家の召使たちを集めて、ロザンナを最後に見かけたのがだれであるかを調べる。台所女中のナンシーが、ロザンナが海岸の漁村であるコブズホールに手紙を出そうとしていたのを見かけたのが最後の目撃例であることがわかる。カッフは手紙の中にロザンナがどこに何を隠したかの謎を解くカギが書かれているかもしれないという。

 ロザンナが行方不明になった噂は召使たちのあいだでも話題になっていて、彼らは彼らなりに行方を調べて、近所に住むある少年がロザンナが海岸指して走っていたのにすれ違ったという情報を得ていた。カッフはロザンナの靴を寄越してくれというメッセージを伝えるが、ベタレッジはあとで自分がもっていくと答えて、その通りカッフのあとを追う。カッフはロザンナの足跡を見つけていたが、彼女は何かを隠したふるえる砂の場所にたどりつく前に不慮の事故に遭った様子で、姿を消していた。ベタレッジはロザンナが自ら命を絶ったと思い、近くにいた漁師も彼の発言を支持する。カッフとともに屋敷の前まで戻ってきたベタレッジは使いに出てきた馬丁からロザンナの書置きを渡されて泣き出す。

 邸の中はすっかり混乱していて、ヴェリンダー夫人はカッフに向かってこの騒ぎの責任は彼にある、解任すると言い放つ。カッフはベタレッジとその娘でレイチェルの小間使いのペネロープを呼んであらためてロザンナの事件についての意見を聞く。30分がたって、ベタレッジがヴェリンダー夫人のもとに向かおうとすると、邸を出るつもりになっているフランクリンにであう。カッフはヴェリンダー夫人とお互いに落ち着いて話し合うことを提案する。はたして2人は何を語りあうことになるのだろうか。

 レイチェルには従兄であるゴドフリー・エーブルホワイトと、同じくフランクリン・ブレークの2人が求婚している。レイチェルはフランクリンと部屋のペンキを塗ったりして睦まじく過ごし、いったんゴドフリーからの申し出を拒絶したのだが、宝石の紛失を境にして、フランクリンには冷たい視線を向けるようになる。そして、ロンドンのエーブルホワイト家に向かった。宝石とともにレイチェルの結婚相手がだれになるかも物語の焦点の1つとなっている。
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