語学放浪記(17)

10月22日(火)曇り

 学生としての経験からも、教師としての経験からも、大学の語学教育には問題が多いと思う。大学の授業で何コマかの外国語の時間を履修したからと言って語学力がどこまで上昇するかは疑問である。外国語が専門ではない学生の場合、これは仕方がないことであるとはいうものの、入学時の語学力をベンチマークとして、そこからどのように伸ばしていくかという目標の設定が求められるのではないか。もっともその目標の設定は個々の学生が自分ですればよいと言ってしまえばそれまでである。語学力を上昇させるためには語学専門の学校に通ったり、ラジオ・テレビの放送講座を聴いたり、補助教材を使ったり、授業以外の手段を利用する必要があるだろう。そうなると単にある言語を教えるというだけでなく、その言語の学習に取り組むための意欲をかきたてたり、学習機会を拡大・調整するためのヒントを与えるというようなことが大学での語学の授業の担当者に求められるのではないかと思う。また単に会話力を求めるのではなく、内容の充実した会話を展開する力を身につけさせるためには語学を他の授業の内容と関連付けて教えていく工夫も必要である。

 外国語の勉強について考えていることの1つは辞書の問題である。辞書というのは比較的高価な書籍であるので、特別な買い物になる。大学院時代の友人の1人がある高校の非常勤講師をしていて、教えていた生徒の1人がスポーツ選手の推薦枠を使って東京6大学の1つに進学が決まった。それで、「先生、ドイツ語の辞書はどれを使ったらいいのですか?」と質問してきたそうである。その友人はわたしと違ってドイツ語はよく勉強していて、何冊も本を読みこんでいたから、適切な回答をしたと思うが、この質問には大いに考えさせるような事柄が含まれている。現在では第2外国語=ドイツ語というようなことはなくなっているが、大学で第2外国語を履修しなければならないということ、さらに第2外国語学習の目標がはっきりしないことは問題ではないかと思う。もし1年間形式的に第2外国語を勉強するだけということであれば、むしろ辞書を使わせないような教え方をする方が好ましい。一生使いもしない辞書を買わせるのはどうかと思う。もしその言語を本格的に勉強したいと学生が思ったら、その時点で辞書を買って勉強すればよいのである。履修を決めた時点で辞書を買わせるというのは、語学関係の出版業者を儲けさせるだけのことになりかねない。

 現在のわたしの場合で見ると、英語とそれ以外の言語とでは辞書の利用頻度がかなり違っている。英和辞典は2種類以上、英英辞典も2種類以上、和英辞典も1種類持っていて、特に英和はほぼ毎日使っている。英和辞典との付き合いは中学生時代のコンサイス英和辞典から始まり、研究社のポケット英和辞典を経て、同じくリーダーズ英和辞典を使うようになり、紙のを3冊か4冊使いつぶし、電子辞典も使っていた時期がある。英英辞典になると1週間に1度くらいだろうか、和英になると最近はご無沙汰している。英文のメールを書くというような用事がないのである。辞書を使うのは、知らない単語や熟語が出てきた場合、知っている単語でも適切な訳語が決められない場合などであるが、だいたいの見当はついても念のために引いてみるという場合もあるので、辞書を使いつぶすことになるのである。

 英語以外の言語ということになると、辞書はほとんど使わない。仏和辞典は3種類持っているが、机の上、あるいは本棚に置きっぱなしになっている。机の上の辞典を週に1度開くか、開かないかという程度で、むしろ伊和辞典の方がよく使うくらいである。入門段階の言語の場合、自分で単語帳をつくって単語を覚えていく方が上達の助けになるのではないか。それなりに語学力が上達しないと、辞書は使いこなせない。中国語は学生時代に使っていた辞書をいまだに使っている。

 そういえば羅和辞典と和羅辞典をもっているが、これもほとんど使わない。羅英辞典の方がいざというときの役に立つような気もするが、ラテン語の場合まだ単語帳で済むレヴェルに留まっていると考えた方がよい。どうも嬉しがって使いもしない辞書を買ってしまうことが多かったように思う。そういうことはやめようと思いながらも、今、探しているのは英語の記事を読んでいるときに出てくる中国の固有名詞がわからないことがあるので、それがわかるようになるような中英辞典である。
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