語学放浪記(16)

10月12日(土)晴れ

 就職する前後にかなり一生懸命取り組んでいたのが、タイプライターである。はじめは友人のお下がりの手動タイプライターを使っていたのが、就職して学校の予算が使えるようになると、電動タイプライターを使うようになった。インタナショナルというのか、英語以外の言語にも使える種類のタイプライターを買って、練習を兼ねて授業用、あるいは研究会や学会発表用にいろいろなプリントを作成したものである。

 さて語学はというと、英国に留学しようという望みがあり、就職してテープレコーダーが使えるようになった利点を生かして、語学教材を買って練習したりした。勉強方法の多様化を図ったのであるが、単に語学の勉強をするというのではなくて、もっと自分が具体的に何を学びたいのかを英語で表現できるようにする努力が必要であったと今になって思う。つまり自分はこれこれのことに興味があって、その研究については○○大学の△△教授か、□□大学の◆◆博士の指導を受けたいと思っているというようなことがしっかりと説明できないとだめだということである。そういうはっきりした見通しを立てられないままに英国とアイルランドへの留学のための試験を何度か受けたが、成功しなかった。それでも何となく英語の勉強は一生続けなければならないだろうという覚悟が座りはじめた。

 英語に加えて、前回も書いたように、スペイン語の勉強を続けていた。約20年近くラジオのスペイン語講座を聴き続けた。最初のうちは、入門編と応用編の放送があり、初心者の場合入門編だけを聴いていればよいのに、応用編まで聞いて、なんだか難しいなと思っていたりした。両者の区別がつくようになり、それなりに一生懸命に勉強したはずだが、一向に上達したという実感がわかない、それはラジオの番組を聴く他に、別の努力をしなければならないからだと気づいて、参考書や辞書を買うようになったが、それでもまだ目立って上達を見せなかった。勉強法の問題もあるが、目標が不明確で、熱意が欠けていたということであろう。

 長年勉強したおかげでスペイン語が上達したとはいえないが、スペインとスペイン語圏の文化と歴史に詳しくなった。スペイン語圏の文学者の作品には親しむようになった。カミロ・ホセ・セーラの『ラ・アルカリアの旅』などは日本語訳と英語訳の両方を読んだ(スペイン語の本も購入したのだが、読んでいない)。市ヶ谷のマナンティアル書店に出かけて、店でスペイン人が話しているスペイン語がラジオの講座で話されているスペイン語とそっくり同じだったのにびっくりした(当たり前のようで当たり前ではない)ことを思い出す。

 その他にフランス語の勉強を再開した。こちらもラジオの講座を聴くことが中心であったが、文化的な面白さに引き込まれた。地道な努力に欠けるところが多かったので、あまり上達はしなかった。しなかったというよりも、しないままに現在にいたっているというのが正確であろう(現在も勉強中だからである)。

 1992年にバルセロナでオリンピックが開かれるということも手伝ったのだろうが、カタルニャ語に興味をもって参考書を何冊も買い込んだことも思い出す。現在でもカタルニャには興味があるが、勉強しようとまでは思わない。ただ、本を買って読むだけのことであればすぐにできるが、その内容を自分のものにして、新しい言語を身につけるのは別のことである。
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