霧笛が俺を呼んでいる

12月28日(金)

 シネマ・ジャックで「日活映画100年の青春【横浜編】」から山崎徳次郎監督の1960年作品『霧笛が俺を呼んでいる』を見る。熊井啓による脚本はキャロル・リードの『第三の男』を下敷きにしているように思われる。船の故障で予定より長く横浜に寄港することになった船員が、親友の機関士が自殺したと知り、彼の恋人や妹に出逢ってその死因に疑問を抱くうちに、様々な奇怪な事件が起きる。分かってきたのは、彼がまだ生きていて、麻薬取引にかかわっているということである。
 『第三の男』で言えば、ジョセフ・コットンにあたる船員を赤木圭一郎、オーソン・ウェルズの機関士を葉山良二、アリダ・ヴァッリの役どころを芦川いづみ、この作品独自の役どころである機関士の妹を吉永小百合が演じている(クレジットに「新人」と記されていた)。
 主人公はあくまで友情を大事にしようとするのだが、麻薬の弊害を告発する資料を刑事から渡されて気持ちを変える。社会正義に目覚める主人公ではあるが、最後まで友情は残る。
 同じ年に作られただけでなく、横浜でロケを行い、麻薬取引が扱われているという点が共通する石井輝男の『黒線地帯』(新東宝)も今年見た映画であるが、石井のセミ・ドキュメンタリー風の構成やクローズ・アップを多用する画面、どぎつい風俗を追いかける描写に比べると、こちらは映像面についてみると伝統的な作り方をしている。『黒線地帯』が報道に従事する2人の男の友情と競争を描いているのに対し、こちらはもっと複雑な友情を取り上げていることも注目してよい。
 赤木圭一郎が歌っている主題歌の作詞が水木かおる、作曲が藤原秀行という西田佐知子さんの『アカシアの雨のやむ時』を初めとする多くのヒット曲を生みだしたコンビであるのが何となくうれしかった。音楽とラスト・シーンの違いがこの作品に独立した価値を生み出しているように思う。
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