時の断片――藤圭子さんの訃報を聞いて――

8月22日(木)曇り

 時の断片
 ――藤圭子さんの訃報を聞いて――

一瞬、人生の時計を巻き戻して
おっかなびっくりもう一度戻ってみたい時代
雑踏の流れの中で
浮き沈みしながら
春夏秋冬を 過ごした日々

横目で大通りをゆくデモ隊を眺めたりもしながら、
トラックで荷物を運んだり
問屋街を歩きまわったりしていた

そういう日々のそういう街に
彼女の歌が流れていた。
歌に気分を重ねながら
仕事を続けられたのは、
若かったからだけではない。

気分の振動を感じながら
職場へと行ったり来たりして、
書店の店員や
喫茶店のウェイトレスに
ちょっと面影が似ている娘がいると
噂しあったりした。
そんな思い出は、
いつでも詳しく描きだせると思っていたが、

なぜか、突然、
時計は壊れてしまった。
藤圭子さんは過去でもあり、
未来でもあるどこかに去っていった。
想い出への往復の道のりの、
故障に戸惑う同世代人たちを残して。
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