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ジェイン・オースティン『高慢と偏見』(19)

11月17日(日)晴れ

 前回(11月10日掲載の18回)で、第1巻23章が幕を閉じて3巻からなるこの小説の第1巻が終り、物語は第2巻に入る。しかし、時間の流れも舞台も大きく変化するわけではない。このため、多くの翻訳では第2巻第1章などとせずに、そのまま第24章としていることが多いようである。
 ロンドンの北・ハー(ト)フォードシャーにあるロングボーンの地主であるベネット氏にはジェイン、エリザベス(エライザ、リジー)、メアリー、キャサリン(キティー)、リディアの5人の娘があった。ベネット家では相続方式として限嗣相続、それも男系を採用していたので、一家の土地や財産は遠縁にあたるコリンズという人物が継承することになっていた。それで、娘たちのうちの1人でも、裕福な紳士に嫁ぐことが、ベネット夫人の念願であった。
 ロングボーンの近くのネザーランドの邸を借りたビングリーという青年紳士は、ジェインに思いを寄せ、教区牧師の地位を得て生活が安定したコリンズはベネット家との和解のしるしとして、エリザベスを妻としようと考え、彼女に求婚するが、尊大さと卑屈さが入り混じったコリンズの性格を好きになれないエリザベスはこの申し出を断る。コリンズはなんと、ベネット家の隣に住むルーカス家の長女であるシャーロットに求婚し、シャーロットはそれを受け入れる。ベネット家の人々は様々な反応を示すが、自分の家と財産とがコリンズとシャーロットに相続されることを考えて、ベネット夫人は気が休まることがなかった。またビングリーの一家はベネット家に挨拶を告げずに、ロンドンへと去っていった。ビングリーの友人で、彼以上の大富豪だというダーシーは、舞踏会でダーシ―は、ある舞踏会でエリザベスと最悪の出会いをしたことから、彼女は彼に偏見を持ち続けているが、ダーシーの方では瞳が美しく、茶目っ気のあるこの女性に魅力を感じ始めている。それに気づかないエリザベスは、ダーシーの幼いころからの知り合いだというウィッカムという国民軍の士官と知り合い、仲良くなりはじめている。(以上第1巻23章までのあらすじ)

 ジェインが長いこと待ちわびていたミス・ビングリー(キャロライン、ビングリーの妹)からの手紙が届き、ビングリー一家がこの冬(社交シーズンである)はロンドンに滞在することが記されていた。それにあてつけがましく、ビングリーとダーシーがいよいよ仲良くなり、ビングリーはダーシーの家に泊まっているうえに、彼の妹とビングリー姉妹も親交を深めているので、ビングリーとミス・ダーシーとの結婚は大いにありうることだ、ミス・ダーシーのような素晴らしい女性はほかにいないなどと書かれていた。ミス・ビングリーはダーシーとの結婚を望んでいるので、まず兄をミス・ダーシーと結婚させようと策をめぐらしている様子である。
 ジェインはこの手紙を読んで、自分のビングリーに対する思いは片思いだったと思いこもうとするが、エリザベスにはビングリーが本当に好きなのはジェインだとしか思えなかった。ビングリーは周囲の人々に操られているだけなのだと思ったのである。そういってジェインを慰めようとしたが、ジェインの心はなかなか晴れなかった。無神経なベネット夫人はビングリーのことでたびたび愚痴をこぼし、それがジェインの心をいっそう傷つけていることに気づかなかった。

 エリザベスは姉が誰のことも悪く受け取ろうとせずに、みないい人だと受け取りたがる、天使のような(really angelic)人だと初めて分かったと姉に打ち明ける。彼女は姉に比べて物事をはっきり見るので、世の中に善人は少ないと考えている、長所も分別も見かけだけでは信頼できない、最近もそういう見掛け倒しの例に2つほどであったと付け加える。特にシャーロットの結婚の一件はわけがわからないという。
 それに対しジェインは、シャーロットにもコリンズにもそれなりの長所があることを説いて、エリザベスを納得させようとするが、エリザベスは「ミスター・コリンズは自惚の強い、もったいぶった、度量の狭い、愚かな男よ」(大島訳、239ページ)と反論する。そんな男性と結婚する女性の気持ちが知れないというのである。
 ジェインは、エリザベスの二人に対する言い方は厳しすぎるとたしなめる。「女自身の虚栄心」(大島訳、240ページ、原文、
It is very often not but own vanity that deceives us. Penguin Modern Classics版、134ページ、わたしたちを騙すのが私たち自身の虚栄心だってことはよくあることだわ)と、あくまで謙虚である。
 エリザベスは負けていない。「男が女にそう思わせるのよ。」ビングリーを陰で操っている人々が、2人の仲を裂かせようとしているのだと主張し続ける。 
 
 ベネット夫人は真相を深く考えようとせず、ビングリーがロンドンに去って戻ってこないことがな篤できない様子である。それに対しベネット氏はジェインはどうやら失恋したらしいが、おまえはどうなのかとエリザベスを揶揄ったりする。ウィッカムと恋仲になって振られてみてはどうかというが、エリザベスはあまり本気になった様子を見せない。〔それにしても、いくら自分のお気に入りの娘だからといって、こういう皮肉を言うのは、いい趣味とは思われない。〕
 ウィッカムはベネット家に出入りしては、ダーシーの悪口を言い、ベネット家の人々はそれに付き合ってダーシーの悪口を言ったが、ジェインだけは何かダーシーの方にも事情があるのだと考えて、その仲間には加わらなかった。(以上第2巻第1章=24章)

 コリンズは結婚の準備と整えると、自分の教区のあるケントへと旅立っていった。
 2日後の月曜ぎ、ベネット夫人の弟のガードナー氏がベネット家を訪問した。
 ガーディナー氏はロンドンのシティに住む裕福な商人で、ベネット夫人よりも段違いにすぐれた人物であった。またその夫人も聡明で、気品があり、姪たち、とくにジェインとエリザベスから慕われていた。
 ベネット夫人は、義理の妹に向かってここを先途と、彼女の日ごろの鬱憤をぶちまけた。ジェインの方は仕方ないにしても、エリザベスがこんな良縁を断ったのは許せないというのである。ガーディナー夫人はジェインとエリザベスからの手紙でおおよそのことを知っていたので、この話題には深入りを避けたが、エリザベスと2人になると、ジェインの恋がうまく行かなかったのを残念がる。そして気分転換のためにジェインをロンドンの自分の家に連れていくことを提案する。ジェインはロンドンへ行くことを承諾する。

 ガーディナー夫妻の滞在中、ベネット家にもしばしば近くのメリトンの町に駐在している部隊の士官たちが客として呼ばれてきたが、その席でエリザベスとウィッカムとが親しげに話している様子にガーディナー夫人は気づいた。また、ガーディナー夫人は結婚前にダービーシャーに住んでいたことがあり、ウィッカムがこの州の出身であったこと、ダーシーの父親と知り合いであったことなどで大いに話が弾んだが、しかし彼女はなにかこの人物に警戒すべきものを感じていた。(以上第2巻第2章=25章まで)
 
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