FC2ブログ

ラブレー『ガルガンチュワ物語』(11)

8月9日(土/長崎「原爆の日」)晴れのち曇り、暑し。

 昔々、フランスの西の方を流れるヴィエンヌ川がロワール川に合流しようかという辺りの地方をグラングウジェという陽気で酒好きの王様が治めていた。この王様はガルガメルという妃との間に、ガルガンチュワという男子を儲けた。生まれたときに「おギャー、おぎゃー」ではなく「のみたーい! のみたーい! のみたーい!」と泣いたガルガンチュワは、生まれ落ちたときも大きな赤ん坊であったが、牛乳と葡萄酒を飲んですくすくと育ち、ますます立派な体躯の持主となった。
 ガルガンチュワの体が大きいだけでなく、なかなか賢い子どもであることを知ったグラングウジェは、詭弁学者を家庭教師にして学問を身につけさせようとするが、うまくいかず、新しい教育のやり方で教育し直すことを決心して、ガルガンチュワをパリに送り、ポノクラートという先生のもとで勉強させることにした。ポノクラートのもとでガルガンチュワは、一方では古典を、他方では自然科学と技術とを、実際的なやり方で楽しく学び、次第に賢く成長していった。
 さてお話かわって、グラングウジェの領地の隣にあるレルネという村に住む小麦煎餅売りたちが、町に煎餅を売りに出かける途中で、グラングウジェの領地の羊飼いたちが小麦煎餅を売ってくれというのを意地悪く拒絶しただけでなく、その中のマルケという男が、羊飼いの一人を打ち据えたために、羊飼いたちが反撃して、追い払うという事件が起きた。その際、小麦煎餅をちゃんと代価を払って買い入れたのであるが、小麦煎餅売りたちはそんなことは無視して、自分たちが商売の途中暴行を受けたということだけを、彼らの王様であるピクロコルに申し出た。これを聞いたピクロコル王は詳しい事情を調べもせずに、軍隊を招集し、グラングウジェの領地に侵入、略奪をほしいままにした。

第27章 スイイ-の一修道士が敵軍の略奪から修道院の葡萄園を救ったこと(スイイ-のひとりの修道士が、敵の略奪からブドウ畑を救う)
 ピクロコル王の軍勢は略奪を繰り返しながら、スイイーの村に近づいた。このスイイーというのは、すでに登場したシノンの近くに実在する村で、作者ラブレーが生まれたとされるラ・ドヴィニエール村の西南に位置しているそうである。村では黒死病が流行していたが、子の軍勢のなかの誰一人として、この病気にかかる者はいなかったというのは不思議である。
 スイイーの村には修道院があり、軍勢はこの修道院に襲いかかろうとしたが、修道院側は堅く門扉を閉ざしていたので、軍勢はそのブドウ園を襲って収穫を迎えていたブドウを争うとした。
 
 修道院では院長以下の面々がなすすべもなくおろおろしていたが、その中でジャン・デ・ザントムールという修道士がひとり、軍勢を追い払おうと立ち上がる。彼は「年は若く、元気は一杯、溌溂とし、陽気で、きわめて機転がきき、豪胆で、危難を恐れず、沈着果断、丈は高く、体は痩せ、耳まで裂かれたような大きな口事な鼻を具え」(135ページ)ていたが、ナナカマドの木の幹の芯で作られた槍のように長い十字架付きの棍棒を振り上げて、敵兵たちめがけて打ちかかった。怪力に物を言わせてあたるを幸いなぎ倒し、13,622人という多くの敵兵をあの世に送り込み、ブドウ園を守り抜いたのである。

 いよいよ、このシリーズで最大の人気役者のひとりであるジャン修道士が登場した。その陽気さと現実主義、怪力と剛勇とで物語を盛り上げることになる。ただ、修道士としては、やることがすこし荒っぽいのではないかと思わないでもない・・・。

第28章 ピクロコル王がラ・ローシュ・クレルモーを攻略したこと、ならびに開戦するにあたりグラングウジェは心残りを覚えて、なかなか腰をあげなかったこと(ピクロコル王、ラ・ロッシュ≂クレルモーを攻め落とす。グラングジエは戦端を開くことに悩み、ためらいを見せる)
 ピクロコル王の軍勢のうち、スイイーの修道院のブドウ畑を襲った一隊は、ジャン修道士の活躍により全滅してしまったが、それと別の方向に向かった本隊はラ・ローシュ・クレルモーの町に到着し、一泊した後、ここの城を攻略した。そして、この城に防御工事を施し、いざというときに避難場所として利用できるようにした。地理的に要害堅固な場所であったからである。

 さて、物語はピクロコル王の所からはなれて、ガルガンチュワとグラングウジェの方に戻る。ガルガンチュワはパリで勉学に励むとともに、体の鍛錬を怠らなかったのであるし、グラングウジェはその居城でのんびりとおとぎ話に興じたりしながら過ごしていた。
 そこへ、葡萄園の番をしていた羊飼いのひとりでピヨーというものが駈けつけて、レルネ王のピクロコルが、グラングウジェの領内で略奪を働き、領地を荒らした末に、ラ・ローシュ・クレルモー城に立てこもって、戦闘に備えているという次第を報告した。

 それを聞いて、グラングウジェはびっくりした。ピクロコルが領内に侵入してきた理由が皆目わからなかったからであり、平和主義者の彼は途方に暮れる。そこで、彼はあらゆる手立てを講じて平和を模索することとして、諮問会議を招集する。会議はピクロコル王のもとに使者を派遣して彼らの軍事行動の意図を尋ねること、また非常時であるので、ガルガンチュワに手紙を書いて国土の維持防衛のために帰国するよう促すことが決められた。グラングウジェもこれに賛同し、ガルガンチュワのもとに召使が手紙をもって向かったのである。

第29章 グラングウジェがガルガンチュワ宛にしたためた書簡の文面(グラングジエがガルガンチュアに書き送った手紙)
 手紙は、ピクロコル王が理不尽にもグラングウジェの領地に侵入し、その侵略行動の理由についてもはっきりしたことを述べないため、国土防衛のために戦わざるを得ない。被害を最小にとどめるために、帰国して自分を助けてほしい。勉学を妨げたくはないが、火急の時なので、よろしく協力してほしい旨が書き記されていた。
スポンサーサイト



コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

tangmianlaoren

Author:tangmianlaoren
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR