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日記抄(8月27日~9月2日)

9月2日(日)雨、台風21号接近中、こちらにやってくるのは水曜日頃になるか? 被害が少ないことを願う。

 8月27日から本日までに経験したこと、考えたこと、以前の記事の補遺・訂正その他:
8月27日
 『日経』朝刊の連載記事「絵画を彩る額縁 十選」で、ロンドンのナショナル・ギャラリーにあるレオナルド・ダ・ヴィンチの『岩窟の聖母』が紹介されていた。ロンドンに初めて出かけたときに、一足先にこの美術館でこの絵を見た友人にぜひ、見ておきなさいと言われてみたのだが、確かにそれだけの価値のある絵だと思った。この絵を見てしまうと、館内の他の絵がかすんでしまって、レンブラントにしろ、他の誰にしろ(レンブラントはまだ名前を憶えていたが、他の画家は思い出せない)、その価値が実感できないというくらいとびぬけた感動を与えてくれる作品である。

 NHKラジオ『まいにちフランス語』で、フランスの海外県であるインド洋上のレユニオン島で話されているクレオール語のことが話題として取り上げられた。
Le créole réunionnais a maitenant le statut de langue régionale officielle.
(今、レユニオン島のクレオール語は公的な地域語と位置づけられています。)
クレオール語は、フランス語に様々な言語が混ざり合って生まれた言語であり、
C'est une langue protéiforme; il n'existe pas de transcription officielle.
(多種多様な形がある言語で、正式な書き方がありません。)
 正書法があるからいいというものではなくて、私は大学の第二外国語でドイツ語を履修したが、その時代とドイツ語の正書法が変わってしまったから、戸惑うことがある(不勉強を棚に上げている‼)

8月28日
 米メディアによると、劇作家のニール・サイモンさんが26日にニューヨークの病院で、肺炎による合併症で死去された。91歳。
 作品が映画化されたり、自ら映画脚本を手掛けたりされたが、その中で私は次の映画作品を見ている。
1963 ナイスガイ・ニューヨーク
1967 裸足で散歩
1968 おかしな二人
1969 スイート・チャリティー(原作) もっともこれはフェデリコ・フェリーニの映画『カビリアの夜』の翻案である。
1970 おかしな夫婦
1972 ふたり自身

 『ちびまる子ちゃん」で知られる漫画家のさくらもも子さんが、15日、乳がんのため亡くなられていることが分かった。53歳。〔その後、いろいろな追悼文が書かれていた中で、8月30日付の『朝日』朝刊で中森明夫さんが「平成の終わり感じる象徴」と述べているのが目を引いた。まる子ちゃんの世界は昭和時代の話で、それを平成になって回想しているという枠組みであるが、その枠組みが今やなくなろうとしているのである。〕

 功成り名遂げた感じのニール・サイモンさんと、まだまだこれからやりたいこともあったであろうさくらさんでは死の意味が違うという気がするが、お二人のご冥福をお祈りしたい。

8月29日
 『日経』に「早大生と歩んだソバ屋」である三朝庵が今年、112年の歴史にひっそりと幕を下ろしたといういきさつを、4代目の女将である加藤峯子さんが書き記している。井伏鱒二の話など興味深かったが、学生運動がまだ華やかに展開されていたころ、革マル派がおいていった竹竿が子どものおしめを干すのにちょうどいいと思っていたら、警察の人がみんな持って行ってしまったという話には井伏から学んだのではないかというユーモアが感じられる。早稲田大学漫画研究会時代の東海林さだおさんが酔っ払ってひっくり返っていたというのはこの店のことではないかと思う。この店の前を通ったことはあるが、中に入る機会がないままに店の方がやめてしまったのは残念である。

 『まいにちフランス語』のレユニオン島の話の続き。この島にはピトン・デ・ネージュ(3069メートル)と、ピトン・ドゥ・ラ・フルネーズ(標高海抜2631メートル)という2つの火山があり、ピトン・ドゥ・ラ・フルネーズは世界でも有数の活火山の一つだという。それで日本からも多くの火山学者、地震学者がこの島を訪れているそうだ。それで調べてみたところ、その中の一人が地震学者の安芸敬一(1930‐2005)で、土木工学者だった安芸皎一(1902‐85)の子息である。実は愚妹が、子どもの頃にピアノを習っていた先生の(一番年長の)相弟子が、敬一氏の姉妹であった。世の中、思いがけないところでつながっているという例である。 

 歯医者で割れてしまった歯を抜いた。血液をサラサラにする薬を服用しているので抜歯のために入院したという記事を読んでいたから心配したのだが、大丈夫ですよということで抜いたのである。とは言うものの、やはり薬が効いたのか、なかなか血が止まらなかった。

8月30日
 『日経』朝刊のコラム「大機小機」に「『格差』が生む利己主義」という論稿が掲載されていたのが興味深かった。社会が全般的にみれば豊かになっても、その中で貧富の格差が拡大すると、利己主義が蔓延するという研究があるそうだ。この研究を引用した後で、書き手は言う:「今年の内閣府『国民生活に関する世論調査』によると、日本国民の74.1%が現在の生活に不満を持っていない。日本では所得格差がまだ顕著ではないことの反映であろう。/格差こそが諸悪の根源なのだ。」 調査をする際には、そこで使われている言葉を吟味する必要がある。同じ言葉を違う言葉で受け取っている例が少なくないからである。ということで、この『国民生活に関する世論調査』をめぐっても、いろいろな意見があるようだが、それよりも、この調査の回答率が気になっているのである。ということで調べてみたら、63.2パーセントであった。回答しなかった36.8パーセントが、現在の自分の暮らしに満足しているとはいいがたい。それから、これは面接調査なので、調査員に面と向かって、自分の今の生活に不満があるとは言いにくいところがあることも付け加えておく必要がある(私だって、調査にこられたら、どう回答するかはわからない)。
 8月12日付「日記抄」の中で、同じ『日経』に掲載されている「遊遊漢字学」の「倉廩実つればすなわち礼節を知り、衣食足ればすなわち栄辱を知る」という『管子』牧民篇のことばを取り上げたが、現代人の心理は、春秋時代に比べれば複雑になっているということであろうか。

8月31日
 『朝日』の朝刊に法務省が日本語学校の設置を厳格化するという記事が出ていた。日本語学校は、学校と名がついているが、法務省の管轄下にある(それがいいことかどうかは議論の余地がある)。留学を名目とした就労目的の来日を防ぐための措置だそうだが、法務省管轄下の「学校」に入ることが「留学」と言えるのかどうかも考えてみる必要があるだろう。建前論を空回りさせるよりも、実態調査をまず先行させる方がいいと思うのだが、今の法務大臣はそんなことを考えるような人物ではなさそうだ。

 歯医者で抜歯したあとの消毒をした。

 阿藤玲『お節介な放課後 御出学園帰宅部の献身』(創元推理文庫)を読み終える。機会があれば、少なくとも次の2つの点について詳しく論じてみたい。①人間一人一人の中で「流れている時間」の速さは違う。②親と子どもの趣味は一致しないことがある。親は自分の趣味を子どもにも継承してもらいたいと思っているが、子どもは必ずしもそうではない。

 久保田竜子『英語教育幻想』(ちくま新書)を読み終える。日本の英語教育の中にしみこんでいる様々な幻想を、社会言語学的な知見をもとに一つ一つ論駁している。言っていることはごもっともなのだが、他人の研究の受け売りの部分が少なくないために、説得力が乏しいところがある。この本についても機会があれば、このブログで取り上げてみたい。

9月1日
 1923(大正12)年のこの日、小学校2年生だった私の父は、関東大震災に遭遇した。始業式が終わって、学校から帰宅した後のことだったそうだ。それで、あまりはっきりした内容ではなかったし、こちらもはっきり記憶していないが、震災の話は聞いた記憶がある。
 そういう話の中で、私の遠い親戚の誰かが、東北弁を韓国語と間違えられて、危うく殺されかけたという話があった。大震災後の朝鮮人虐殺は、「後世の歴史家がひもとく」までもなく、歴史的な事実であり、とばっちりを食って危ない目にあった日本人も少なくなかったし、俳優の千田是也(1904‐1994)などはその経験を自分の芸名にしたのである。さらに言えば、無政府主義者の大杉栄や、労働運動家の平沢計七が虐殺されたことも忘れてはならない。
 だからこの出来事は、あったかなかったかという歴史的な問題ではなくて、なぜこの出来事が起きたかという社会心理的な問題なのである。「関東大震災の混乱を経験した」ことから「対策を立てる前に、本質を知り、科学的に究明されねばならぬ」と論じた清水幾太郎の『流言蜚語』(ちくま学芸文庫)などの書物から学ぶべきところは大きいと書いている、本日の『朝日』の「災害と風評:平時に潜んでいた偏見や差別」は眼を通すべき文章である。

 午前11時から、保土ヶ谷サッカー場でなでしこリーグ2部:横浜FCシーガルズ対ちふれエルフェンさいたまの試合を見た。双方に守備の乱れがあって、それに乗じた点の取り合いとなったが、2-3でちふれに軍配が上がった。シーガルズは中央線を強化する必要がありそうだ。
 その後、いったん帰宅して、坂口安吾の『不連続殺人事件』を読んでいた。普通なら、ブログの原稿を書くのだけれども、疲れて気力がわかなかったのである。
 それでも、サッカーの試合を見るということになると、話は別で、18時から今度は三ツ沢球技場でJ2の横浜FCと京都サンガの対戦を観戦した。前半、横浜が1点を先行、後半同点に追いつかれたが、2得点を重ねて3-1で勝利した。各場面でのレアンドロドミンゲス選手の的確なプレーと、北爪選手の好走が光った試合であった。
 ハーフタイムに行われる観客サービスのフリ丸バズーカの景品のTシャツが手に入った。長いこと球技場に通っていると、こんなこともある。
 ひどく疲れて、ブログの原稿を書くのがやっとで、皆さんのブログを訪問することがかなわなかった。あしからず。

9月2日
 『日経』の朝刊に四方田犬彦さんが1970年代後半(昭和50年代前半)のまだソウルに地下鉄が開通していなかった頃のバスの思い出を書いていた。四方田さんは日本語学校の先生をしていたのである。バスの中で乗客たちがお互いに親切にすべしと、譲り合い助け合っていたのは、朝鮮戦争の際に慌てて避難した時の思い出が残っていたからであろうという。10年ほど前に私はソウルの地下鉄に乗ったが、一人分以上の席を占有したり、足を組んだり投げ出したりする乗客はいなかった。それで私は、これは儒教の影響かなと思ったのだが、四方田さんは別の意見をもつかもしれない。つまり、私はトクヴィルやウェーバーのように、人間の行為を体系的な思想と結びつけて説明しようとする傾向があるが、四方田さんの場合はもっと具体的な経験と結びつけて説明しようとしているということらしい(どちらが正しいというものではないと思う)。 
 

 
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