FC2ブログ

日記抄(8月13日~19日)

8月19日(日)晴れ、午後になって雲が多くなってきた。三ツ沢グランド付近からうっすらとではあるが、富士山を遠望できた。

 8月13日から本日までの間に経験したこと、考えたこと、これまでの記事の補遺・訂正等:

8月8日
 津川雅彦さんが亡くなったので、溝口健二監督の映画に出演したことがある男優はあとだれが残っているのだろうかと書いたが、どうもみな亡くなられたようである。私が調べたところで、溝口作品の出演者で現存しているのは次の方々である:
 月丘千秋さん(1947 『女優須磨子の恋』)
 久我美子さん(1950 『雪夫人絵図』;1954 『噂の女』:1955 『新・平家物語』)
 浜田百合子さん(1950 『雪夫人絵図』)
 京マチ子さん(1953 『雨月物語』;1955 『楊貴妃』)
 若尾文子さん(1953 『祇園囃子』;1956 『赤線地帯』)
 香川京子さん(1954 『山椒大夫」;1954 『近松物語』)
 小園蓉子さん(1954 『山椒大夫』)
 町田博子さん(1956 『赤線地帯』)
 久我さん、京さん、香川さんは小津安二郎作品、黒澤明作品にも出演している。月丘さん、小園さんは、それぞれ出演作品を見ているが、小さな役での出演である(とはいうものの、小園さんは小津安二郎作品にも出演している)。あと、『赤線地帯』に出演していた川上康子さんが消息不明になっていて、存命中かもしれないことを付け加えておく。

 この日のNHKラジオ第二放送『世界へ発信 ニュースで英語術』は、”Old tradition, young blood"として、各地で開催されている夏祭りに地元の人々が参加しなくなった一方で、地元以外からの参加者、それも若者の参加が目立ってきているというニュースを報道していた。その中で祭の主催者であるlocal communitiesを「地方自治体」と訳していたが、これは「地域社会」と訳すべきであろう。地方自治体は地域社会の中の一機関であって、地域社会にはその他多くの組織や団体が存在していると考えるべきである。最近の「阿波踊り」をめぐる徳島市と実行委員会の対立などを考えればわかることである。

8月13日
 マージェリー・アリンガム『ホワイトコテージの殺人』(創元推理文庫)を読み終える。1920年代初頭の秋の夕方、ケント州の小さな村をドライブしていたジェリーは一人の若い娘(ノーラ)に出会った。彼女を住まいであるホワイトコテージまで送った直後、殺人事件が起きる。被害者は、ホワイトコテージの隣にある灰色の建物=砂丘亭の主ロジャー・ウィリアム・クリステンセンである。ジェリーは、スコットランドヤードの主任警部である父親のW・Tとともに捜査するが、関係者には動機はあるが、決定的な証拠がつかめない…。
 アリンガム(1904‐66)は名探偵アルバート・キャンピオンが活躍する作品群で知られ、アガサ・クリスティ(1890‐1976)、ドロシー・セイヤーズ(1893‐1957)、ナイオ・マーシュ(1895-1982) とともにミステリの黄金時代に活躍した女流作家(Queens of Crime)に数えられる。この作品は彼女が23歳の時に書かれたというから恐れ入る。
 翻訳者(猪俣美江子)はホワイトコテージを「白亜荘」と訳しているが、cottageというのは、部屋がいくつもある立派な住宅ではあるが、その中で比較的簡素な住まいを指して言う言葉で、オースティンの『分別と多感』の主人公一家が親類を頼って移り住む家が思い出される。

8月14日
 『朝日』の朝刊に作家のV・S・ナイポールさんが死去(11日)されたという記事が出ていた。1932年にインド系移民の3代目としてトリニダード・トバゴに生まれ、英国に留学、第三世界の混乱や矛盾を描き出す小説やノンフィクションを発表し、1971年にはブッカー賞、2001年にはノーベル文学賞を受賞された。岩波現代選書の1冊として刊行されていた『インド――傷ついた文明』(India: A Wounded Civilization, 1977)は買って持っていた記憶があるのだが、読み終えたかどうかは定かではない。インドの社会と政治の矛盾について書いた内容についての断片的な記憶だけが残っている。毀誉褒貶の激しい作家だったようで、また作品を読み直してみようと思っている。

 『日経』朝刊の文化欄に、「街の御神木に根付く伝承」という文章を開発や整備で社殿を失い、そのまま都市の中に取り残されて立っている巨木の写真を撮り続けている山村善太郎さんが書いていた。山村さんは最近では「石神さん」の撮影にも取り組んでいるそうで、岩手県の県名の起こりである盛岡市の三ツ石神社の「鬼の手形」の写真が掲載されていたりして興味深かった。悪いことをして取り押さえられた鬼が、もう二度と悪事は働きませんと約束して岩に手形をおしたという伝説は、子どもの頃に読んだことがある。

8月15日
 終戦記念日。
 『朝日』の社説は「戦後73年とアジア」という見出しで「未来へ向け記憶を紡ぐ」ことを呼び掛け、『日経』の社説は「歴史を知り日本の針路に生かそう」と鈴木貫太郎の終戦工作、戦争放棄の発案者をめぐる諸説など、改めて歴史を掘り起こすことの重要性を説いている。

 開会式に先駆けて試合が始まっているジャカルタ・アジア大会のサッカー第一次予選で、日本のU21チームは、ネパールに1-0で勝利した。もっと点差が開いてもいいような気もするのだが、ネパールも結構強いということだろうか。ネパール人の知り合いがいないわけでもないので、その辺は複雑な気分である。

 『朝日』のコラム『ラジオアングル』は、「音楽生かす珠玉の選曲」という見出しで、ニッポン放送の番組「小林克也Music Machine Go! Go!」(土曜、朝8時)を取り上げている。ある日の放送で、シベリアに流刑にされたドストエフスキーの物語につなげて、ジョニ・ミッチェルの「青春の光と影」が流された。「私たちにはジュディ・コリンズの方が記憶にあるが、彼女の声にはどこか明るさがある。ジョニ・ミッチェルの陰影のある歌い方の方がドストエフスキーにはなじむ。この選択には納得だ。小林さんの選曲への美意識なのだろう。」という。「私たち」という言い方が気になるのだが、私もジュディ・コリンズのCDをもっている(昔はLPをもっていた)。 「青春の光と影」(Both Sides Now)はジョニ・ミッチェルが作詞作曲した歌で、その才能を見出したコリンズが彼女のアルバムの中にこの歌を収めたことから、有名になったということのようだ。この歌はホール・バートレットが1968年に監督した映画Changes (1969年に『青春の光と影』という題名で日本公開)の中で使われていて、歌っているのはジュディ・コリンズである。映画の細部は忘れているが、歌は記憶に残っている。

8月16日
 『日経』朝刊の「ZOOM インフラ」というコーナーで、韓国のソウルと仁川を結ぶ高速鉄道が4年で廃線になるという記事が出ていた。私が韓国に出かけたときは、まだ高速鉄道はなくて、バスで往復したことを思い出す。アジア諸国の中には高速鉄道の計画が進められているところもあるが、他の交通機関との関係を調整しながら慎重に進める必要があるということであろう。(日本も例外ではない。)

 松山巌『須賀敦子の方へ』(新潮文庫)を読み終える。須賀が1953年にフランスに留学するまでの半生を、イタリアから帰国後の彼女の言動をめぐる思い出を交えてたどっている。聖心女子大の1期生である彼女の同期生が、中村(緒方)貞子、渡辺和子、カトリック学生連盟での仲間が有吉佐和子、武者小路公秀(この組織の京都での中心人物だったのが後に長崎市長になった本島等だそうだが、須賀との関係はなかっただろう)ということで、彼女が国境を越える生涯を送ったことも理解できる。有吉のほか、庄野潤三や、遠藤周作の小説『おバカさん』のモデルと言われるネラン神父との交流など、須賀は「第三の新人」世代なのだが、文学者としての出発はかなり遅かったということになるだろう。

8月17日
 『朝日』朝刊に出ていた『週刊現代』9月1日号の広告は横浜が大地震に襲われたらどうなるかという特集記事を紹介している。私の見聞から言えば、横浜は埋立地が多いということを知らない人が多いのがまず問題である。また丘陵地は多いが、宅地造成のために掘り崩しているところが少なくないし、丘陵といってもそれほど高くないというのも気になるところである。横浜駅西口の商店街などでは定期的に避難訓練を行っているが、いざという時の心構えは常に持っている方がよさそうだ。

 アジア大会のサッカー、第一次予選D組で日本はパキスタンを4‐0で破る。大分調子が出てきた。女子はタイに2‐0で勝利した。

8月18日
 島田裕巳『神社崩壊』(新潮新書)を読み終える。富岡八幡宮で起きた殺人事件をはじめとする神道界の不祥事や、その背景をなす問題点について包括的に述べた書物であり、宗教と国家の関係や、神社本庁との結びつきの強い政治・言論団体の動きなどにも触れている。

 ニッパツ三ツ沢球技場でJ2横浜FC対カマタマーレ讃岐の対戦を観戦する。試合に先立って、チーム創立20周年を記念して、奥寺会長やリトワルスキー元監督など、チームのOBからなる横浜FCレジェンドとサッカー経験のある芸能人からなる横浜FCフレンズとの前座マッチが行われ、3-3でめでたく引き分けた。かつて横浜フリューゲルスで天皇杯決勝の決勝点を挙げた渡辺一平さんがオウンゴールでフレンズに1点を献上したりしたのは、年を取ってからだが言うことを聞かなくなったためであろう。
 横浜FCは序盤から優位に立って試合をすすめたが、讃岐の堅い守りに阻まれ得点できず、さらにときどきカウンターでゴールを脅かされていたが、後半の序盤で、イバ選手がFKのチャンスを作り、レアンドロドミンゲス選手が絶妙のシュートを決めて1点先行、さらに中盤になってゴール前でのもみあいから渡辺一仁選手がゴールを決めて(Jリーグ10年、247試合目での初ゴールだそうである)突き放した。外国人選手の活躍の目立った試合だったが、渡辺選手のゴールがこのさきの試合ぶりに期待をもたせた。

8月19日
 『日経』に連載されていた宮川匡司「ゴヤのまなざし」はスペインの画家の生涯と作品を概観するものだが、今回で完結。ゴヤが晩年の素描帖にコンテで描いていたというAun aprendo (私は今も学んでいるぞ)という絵が誠に力強く感じられる。

 同じく『日経』の「遊遊漢字学」で阿辻哲次さんが、春秋時代の宋の襄公の故事を引き合いに出して、「無用の情や過剰な親切心を発揮し、そのことで逆に自分が大きな被害を受けることを…『宋襄の仁』と呼ぶ。学校の道徳でも現実の社会にはめったにない『美談』や『美徳』を教えるより、『宋襄の仁』の故事を教えるほうがよほど人生の役に立つ」と書いているが、現在の学校の道徳の授業というのは、そういう「美談」を教えるやり方はしないのがふつうである・・・というより、道徳という教科は廃止したほうがいいのではないかという問題の方が本質を突くものであろう。
 
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

tangmianlaoren

Author:tangmianlaoren
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR