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日記抄(1月29日~2月4日)

2月4日(日)晴れ

 1月29日から本日までの間に経験したこと、考えたことなど:
1月29日
 東映で時代劇を中心に多くの映画を監督された沢島忠さんが亡くなられた。私は時代劇はあまり好きではないので、その作品に接したことがほとんどないのが残念である。ご冥福をお祈りする。
 【2月1日の『日経』に沢島さんの作品を「ヌーベルバーグ時代劇」と評価する記事が出ていたが、ヌーヴェル・ヴァーグという言葉を安易に使うことには賛成できない。ただ、1950年代の終わりから1960年代にかけて、日本映画の多くの監督・脚本家たちが新しい傾向の作品を生み出そうと努力していたことは記憶しておいてよいのではないかと思う。】
 『朝日』朝刊の「語る――人生の贈りもの」は椎名誠さんの談話を連載しているが、今回は高校時代に柔道部に属していたことをめぐる思い出が語られていた。
 『日経』の草笛光子さんによる『私の履歴書』は第28回で、日々の暮らしの信条として「元気が一番、楽するな」ということと、母堂と草笛さんをつなぐ「赤い絹糸」の思い出などが勝たれていた。

1月30日
 『日経』が「外国人材と拓く」という日本の経済的な競争力を高めるために外国人材の活用を推進しようとする連載記事を始めた。財界にはこのままだと「いずれ誰も来ない国に」なるという危機感が募っているようである。
 『朝日』の椎名誠さんの連続インタビューは、青年時代のアパートでの共同生活の思い出が語られていた。その時代から権力を笠に着た押しつけが嫌いであったという。椎名さんは私より1年年長だが、大学時代の私の周辺では下宿文化を大いに楽しんでいる仲間が多かったことを思い出す。
 『日経』の草笛光子さんの『私の履歴書』は、舞台に出演し続けるために体作りが大事だと、週1回は2時間トレーニングをしてきたという話であった。
 同じく『日経』のコラム「文化往来」に松本清張の膨大な作品に登場する鉄道や地図を克明にたどった、赤塚隆二『清張鉄道1万3500キロ』(文芸春秋)が紹介されていた。

1月31日
 家に帰るのが少し遅くなって、皆既月食進行中の月を少しだけ見ることができた。

 「外国人材と拓く」の2回目。日本語の普及が国益を増進するという主張。日本企業側は外国人労働者に高い語学力を求めがちであるが、ハードルをもっと下げてもいいのではないかという。
 これは実は、日本人の外国語学習にも言えることで、日本人のすべてが日本語と英語のバイリンガルになるなどという目標が政策として掲げられているのは問題である。もっと現実的な目標を設定する必要がある。
 「国の思いが見えてこない」というが、政策形成者の中での意思統一がとれていないのではないか。

 『日経』の文化欄に「「広辞苑の父」平凡が身上」という記事を、新村出の孫である新村恭さんが書いていた。東大で上田万年(円地文子の父でもある)に学び、言語分野で広い業績を上げた一方で、高峰秀子の大ファンであったという。そういえば、高峰さんは「広辞苑」を愛用していたことで知られる。両者が会う場面はあったのだろうか、などと考えてしまう。
 神保町シアターで根強い人気を示している高峰秀子であるが、私の場合、彼女の若いころのはつらつとした印象を残す作品をあまり見ていないのが残念である。
 椎名誠さんの連続インタビューは息子さんと、息子さんを取り上げた小説の話題。書かれたご本人の反応など。
 草笛光子さんの『私の履歴書』は最終回、これからも舞台に挑戦していきたいという意気込みをもって締めくくられていた。

2月1日
 『日経』の「外国人材をひらく」は回目で、「世界が職場」というのはいまや「当たり前」であるという。さらに指揮者に様々な提言を求めているが、「優秀な実習生 定住認めよ」という毛受敏治さんの意見が一番現実的に思われた。
 椎名誠さんの「語る――人生の贈り物」は第9回。私小説は嘘を書けない両刃の剣であるという話。椎名さんの書いたものが伝統的な私小説の流れに沿ったものだとは思われないのだが・・・。
 NHKラジオ『実践ビジネス英語』の”Quote...Unquote"のコーナーで紹介された言葉:
One soweth and another reapth is a verity that applies to evil as well as good.
        ―― George Elliot
(1人が種を蒔き、別の人が刈り取るというのは、悪にも善にも当てはまる真理である。)
 これはOne must reap what one has sown.とかYou reap what you sow. とかいうことわざを変形させたもので、もとのことわざが物事の原因を作った人がその責任も負うべきだといっているのに対して、原因と結果が別の人間に及ぶということがありがちだと述べているわけである。エリオットはsoweth, reapethとわざと古びた言い方をしているが、何か意味が込められているのであろうか。
 ジョージ・エリオットは19世紀の前半に活躍した英国の女流作家で、男性の名前で作品を発表した。野上弥生子が夏目漱石に小説を書きたいのだが、どんな勉強をすればよいのかと質問したところ、漱石がエリオットとジェーン・オースティンとシャーロット・ブロンテの小説を読むように言ったという話があるが、オースティンもブロンテもやはり男性の名前で作品を発表したのである。ただ、現在では後の2人は仮の名前は忘れられている。

 同じく『まいにちスペイン語』応用編は「スペイン文学を味わう」『裁判所長夫人』(La Regenta)の第7回。
Con toda el alma había creído Ana que iba a volverse loca. (アナは自分が全くおかしくなってしまうのではないかと真剣に思いつめた。) 町の他の女たちと同じように誘惑されればそれに応じて生きようと考え始める。そしてベガリャーナ侯爵邸で、アナはアルバロ・メシーアの誘惑に堕ちる。

2月2日
 『日経』の「外国人材と拓く」は第4回(最終回)。新宿区の住民の8人に1人が外国人であるなどの現実を踏まえ、「多様性こそ活力の起爆剤」であると結んでいる。
 NHKラジオ『まいにちフランス語』で1613年に伊達政宗が送り出した支倉常長の率いる使節団が、バルセロナからローマに向かう途中、悪天候のためにフランスに立ち寄ることになったが、これが日本人がフランスに足跡を記した最初であると語られた。
Tsunenaga Hasekura, premier Japonais en France.
 『まいにちスペイン語』は『裁判所長夫人』の第8回(最終回)。アナはドン・アルバロとの密会を続けるが、夫のドン・ビクトルの知るところとなる。ドン・ビクトルはアルバロトの決闘で死に、アナは非難の的になる。・・・
 大学時代に聴講した野上素一先生の「イタリア文学史」の授業で、19世紀の後半から20世紀の初めのイタリアではよく決闘が行われたという話を聞いたことを思い出す。フローベールの『感情教育』でも(これから出てくることになるが)、フレデリックが決闘する場面がある。このあたり、国によってそれぞれ違う事情がありそうで、調べてみると面白いかもしれない。
 『日経』に広告が出ていたZAITENという雑誌の3月号によると、『週刊文春』『週刊新潮』はともに「実売5割の惨状」なのだそうだ。私も普段、広告見出しだけで満足して、銀行などにおいてあるのを読むことがあるという程度である。

2月3日
 『朝日』の『天声人語』欄で冬季オリンピックの開催地である平昌(ピョンチャン)と江原(カンウォン)道について取り上げていたのが興味深かった。この地の名物はスケトウダラだそうで、タラ鍋が好んで食べられるようである。日本のタラちりとどう違うのか気になるところではある。江原道の住民気質はカムジャバウィ』(ジャガイモ岩)に譬えられるという。「経済が急速に発展した韓国だが、北朝鮮と接する江原道は成長から取り残されてきた」ということとどのように関連するのかも気になる。
 『朝日』の地方欄に出ていた、金沢文庫で開催中の「運慶展」の記事が面白かった。

 本郷和人『壬申の乱と関ヶ原の戦い――なぜ同じ場所で戦われたのか』(祥伝社新書)を読む。人身野良(672)、関ヶ原の戦い(1600)に加え、暦応元・延元3年(1338)に西上しようとする北畠顕家軍とこれを阻もうとする幕府軍が衝突した青野ヶ原の戦いも関が原での戦闘であったと考えられる。日本の歴史を動かした3つの重要な戦いが同じ場所で起きているのはなぜか。「青野ヶ原の戦い」の後の北畠顕家の行動は『太平記』でも謎めいた箇所で、それを読み解く(実は顕家は前進を阻まれたのだ)ことができるというだけでも、読む価値のある書物である。
 また「常識的に考察するならば、関ヶ原の戦いが万人単位の戦いであれば、青野ヶ原の戦いは両軍とも一ケタずつ少ない千人単位、壬申の乱はさらに一ケタ少ない百人単位の戦いだったのではないか」(40ページ)という考察は貴重。関が原の戦いの際に家康が陣を敷いた桃配山は壬申の乱の際に天武天皇が士卒に桃を配ったことでその名があるといういわれも、なるほどと思わせるわけである。
 さらに椎名誠『単細胞にも意地がある なまこのからえばり』(集英社文庫)を読む。椎名さんが政治家にはなりたくないというのは正解であろうと思う。ある時、地元の市長に立候補を要請されて、辞退したという話を読んだことがある。市長になるには自分勝手すぎるということを自覚しているということであろう。

2月4日
 『朝日』の子ども向けの欄で平昌について「スキー場が多く、そば、牛肉で有名だよ」と紹介しているのが、前日の『天声人語』の記事と落差があると、気になった。韓国の経済発展から取り残されてきた地であるくらいの認識は子どもに伝えてもよいのではないかと思う。
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