ひばりのお嬢さん社長

5月20日(月)雨

 シネマ・ベティで『ひばりのお嬢さん社長』、『愛、アムール』、その後109シネマズMM横浜で『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』を見る。『お嬢さん社長』はシネマ・ジャック&ベティが月例で行っている上映会『ひばりチャンネル』の第39回である。美空ひばりの作品を特集上映するというのは横浜の名画座ならではの企画である。それにこの映画が製作された1953(昭和28)年ごろ、ひばりは横浜市内の『ひばり御殿』に住んでいた。小学校の遠足にバスで出かけると、ガイドさんが右手に見えますのが、ひばり御殿ですとアナウンスしたものである。とはいえ、10:15という早い時間の上映開始であるにもかかわらず私が見に出かけたのは、この作品のメガフォンをとっているのが川島雄三だからである。

 ジャック&ベティに出かけるのには京浜急行で行くと黄金町が最寄り駅であるが、日ノ出町から歩くことにしている(どうもセコイ話だが、このほうが電車代を少し得する)。日ノ出町駅で降りたところ、駅前で何か撮影をしている、よくあるぶらり散歩の類の撮影ではない様子であったが、そのまま通り過ぎたので、どんな番組かは分からないままである。

 上映に先立って美空ひばりさんを愛する横浜市民の会の会長である鶴田さんのあいさつがある。5月29日の美空ひばりさんの76回目の誕生日に先立つ、28日の生誕前夜祭(歌と踊りの祭典で映画は上映されない)の宣伝や、次回の上映について触れた後、ひばりさんの古い作品を探して上映してくれる支配人に拍手をという締めくくりにこの映画館を取り巻く暖かい空気を感じることができた。実際、このあとに見た2本の映画よりも、この作品の方が観客が多かったというところが凄い。

 祖父が製菓会社のワンマン社長というひばりは、金もちの令嬢らしく遊び暮らしている。社長の息子であった彼女の父が、浅草のレビューのスターと恋に落ちてできた子どもがひばりであり、父母が亡くなって祖父に育てられているという設定。だから本人は歌が大好きで、歌手になろうとしている。ところが祖父が病気でそのただ一人の血族であるひばりがまだハイティーンであるのに社長ということになってしまう。

 祖父から引き続き仕事を続ける社長秘書や浅草で知り合った仲間たち(その中には実の祖父もいる)の助けを借りて、彼女は会社の再建の仕事を進め、特にTVの番組で自分自身が歌うことで社の製品を宣伝する。まだ放送を介したばかりであったTVのメディアとしての力に着目しているのはなかなかのものである。ところが会社の乗っ取りを図る連中にとって彼女の活躍は邪魔になり、彼女は危機に陥るが、周囲の援助で乗り切る。

 ひばりの歌とレビュー・シーンを目玉にした他愛のないストーリーであるが、わがままな令嬢が自分に対して批判的なことをいう男性にかえって惹かれるが、その男性には別に好きな女性がいると知って身を引くというもう一つのストーリーの展開は、この後の川島作品である『東京マダムと大阪夫人』と共通する。また水上バスや裏長屋を見せる下町の風俗の描きかたなどに川島らしい趣味が窺われる。まだ若い桂小金治がそれなりに重要な役どころで姿を見せているのが楽しく、助監督を中平康が務めていたことを知ったのも収穫である。
 
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