日記抄(4月30日~5月6日)

5月6日(土)晴れ

 4月30日から本日までの間に経験したこと、考えたこと、前回書き洩らしたことなど:
4月23日
 NHK『ラジオ英会話』のテキストに連載されているColin Joyce, "Japanglophilia"は、4月号では”The Lesser-Known British Calendar, part1"(あまりよく知られていない英国の暦、第1部)として日本人があまりよく知らないであろう英国の年間行事のいくつかを取り上げている。その中でこの4月23日はSt George's (Not a Bank Holi-)Day in April (4月の聖ジョージの(法定休日ではない)日)として紹介されている。聖ジョージはイングランドの守護聖人であり、(サッカーの応援などで見かけることのある白地に赤い十字架の)イングランドの旗は聖ジョージの十字架であり、英国全体の旗であるユニオン・ジャックの一部でもある。英国にはジョージという名の王様が6人いたし、ウイリアム王子の息子の名もジョージである。アイルランドの守護聖人である聖パトリックの日(3月17日)、スコットランドの守護聖人である聖アンドルーの日(11月30日)はそれぞれ法定休日であり、ウェールズの守護聖人である聖デヴィッドの日(3月1日)は法定休日ではないが、多くの人々がウェールズの象徴であるラッパスイセン(daffodil)あるいはリーキ(leek)の花のバッジをつけてお祝いをする。それに引き換え聖ジョージの日にイングランドの人々は何もしないとジョイスさんは書いている。

4月25日
 NHK『ラジオ英会話』の時間では「間投詞」について取り上げたが、その中に
Ouch. This eggplant has thorns. (いたた。このナス、棘がありますね)
という例文が出てきた。それで思い出したのは、明治時代のベストセラー『食道楽』の著者村井弦斎の家庭農園を新渡戸稲造が米国人を連れて見学に来たことがあって、通訳の学生が茄子を英語でどういうのか知らずにblack tomatoと訳したので、新渡戸が大笑いしたと、弦斎の娘の米子が書き留めていたことである。新渡戸が学生に通訳をさせて、経験を積ませようとしていたという点が教育者としての一面をうかがわせるのだが、学生の方が頼りなさ過ぎたという話である。なお、この話を読んで、慌てて和英辞典で茄子のことを何というのか調べた記憶がある。(この番組5月2日に再放送された。)

4月29日
 横浜FCはアウェーでロアッソ熊本を4-1で破る。イバ選手がPKに失敗したものの、ハットトリックを達成したそうだ。

4月30日
 神保町シアターで「映画監督成瀬巳喜男初期傑作選」の特集上映から『噂の娘』を見る。東京の老舗酒店が没落していく過程をその店の2人の性格が対照的な娘の行動を追いながら描いていく。没落の背景がもう少し詳しく描きこまれてもよかったかなという気がしたが、酒樽から栓を抜いて酒を出し、升で測って売る商売の様子など当時の暮らしの姿をとらえた映像は興味深かった。キンシ正宗なんて酒樽があって、このところご無沙汰しているが、また見つけて飲んでみようかと思ったりした(近ごろは日本酒というと菊正宗を飲むことが多いのである)。

 井上達夫『自由の秩序――リベラリズムの法哲学講義』(岩波現代文庫)を読み終える。自由というのは何でも勝手にしていいということではなくて、一定の枠というか秩序を設けて、その中での自由を考えていく必要がある、ということで、現代の政治状況を念頭に置きながらこの問題を考えた仮想講義録である。どちらかというと、古典的な自由の議論の方に関心があるのだが、現代の問題を考えていくことも必要だと思って興味深く読んだ。バーリンの消極的自由と積極的自由についての説明は役に立ったが、この両者をはっきり区別することは実際には難しいだろうという気もする。

5月1日
 メーデーで横浜市内でも労働者の隊列が行進しているのを見かけた。日本ではMay DayとLabor Dayとを混同する人が少なくなく、4月に「メーデー」を繰り上げて実施するという労働団体もあるようだが、メーデーは5月1日のことで、英国ではこの日、5月の女王(May Queen)を選んで、花輪の冠をかぶせ、メイポール(maypole)という柱を立ててその周りで踊るという習わしである。現在の英国では5月の第1月曜がLabor Dayとして法定休日になっているそうである。なお、アメリカのLabor Dayは9月の第1月曜日で、そのいかにも夏の終わりという雰囲気は、映画化もされたウィリアム・インジの舞台劇『ピクニック』に描かれていた。

5月2日
 大相撲の元横綱佐田の山で、引退後は年寄出羽海、その後は湊川として相撲協会の運営や後進の育成に当たられた市川晋松さんが4月27日に亡くなられていたことが明らかになった。79歳。ご冥福をお祈りします。

5月3日
 ニッパツ三ツ沢球技場でJ2第11節横浜FC対愛媛FCの対戦を観戦した。前半18分に横浜がコーナーキックから西河選手が頭で決めて先制点を奪い、38分にはイバ選手が右足でゴールを決めて2点をリードして折り返し、後半にも永田選手、大久保選手がゴールを決めて、2点を奪って4-0で勝利した。それぞれ別の選手がゴールを決めて4得点を挙げたこと、特に4点目はイバ選手が交代した後での得点であったことなど、収穫は大きい。また、若いGKの高岡選手を盛り立てて、無失点で終わった守備についても見るべきものがあったと思う。

5月4日
 今週のNHKの語学番組は先週の再放送であり、その中で「まいにちイタリア語」(応用編)「描かれた24人の美女」は2015年の4月~6月の再放送で、何度も聴いてきた訳であるが、マザッチョ<楽園追放>(Masaccio,Cacciata dall'Eden)についてはなぜか書き洩らしてきたので、書き留めておく。
Generalmente l'onore di essere chiamato "primo pittore rinascimentale" va a Masacccio. (一般的に、「最初のルネサンス画家」と呼ばれる名誉は、マザッチョに冠せられます。)
 27歳という若さで死んだために、残された作品は少なく、知名度はそれほど高くないが、フィレンツェのサンタ・マリア・デル・カルミネ教会ブランカッチ礼拝堂の壁画である「楽園追放」はエデンの園を追放されたアダムとエヴァが嘆き悲しみながら歩む姿を描き、その「正しい人体把握」、「奥行きのある空間性」、「激しい感情表現」という3要素によって、ルネサンスの新しい絵画の道を開いた作品と言われる。彼に続くボッティチェッリやレオナルド、ラファエッロやミケランジェロらの画家たちは、ブランカッチ礼拝堂にこの絵を見て、模写するために一人残らず通ったという。このため、その『美術家列伝』の中でヴァザーリは礼拝堂を「世界的な学校」(scuola del mondo)と呼んでいるほどである。
 ブランカッチ礼拝堂にはマザッチョのこの絵の真向かいに、マゾリーノ・ダ・パニカーレの<原罪のアダムとエヴァ>という壁画が描かれている。マゾリーノはマザッチョの師と見なされていた時代もあったが、現在ではマザッチョよりやや年長だが対等な協働制作者であったと考えられているそうである。私が子どもの頃に読んだ西洋史の本では、マゾリーノとマザッチョの絵が並べられていて、先生のマゾリーノの絵にくらべて、弟子であるマザッチョの絵は感情表現が激しくなっていると記されていたのを記憶している。もう60年位昔に読んだ本のことを覚えているくらいに、この両者の違いは際立っているのだが、引き立て役にされてしまったマゾリーノがなんとなく気の毒に思われないでもない。

5月5日
 元NHKのアナウンサーでスポーツ番組の報道で活躍された土門正夫さんが5月2日に亡くなられていたことがわかった。87歳。横浜市のご出身で、神奈川工業のOBだそうである。1960年のローマから1984年のロサンジェルスまで計7回の夏季オリンピックの放送を担当された。特にバレーボールの中継担当者として知られ、1964年の東京オリンピックの際に女子バレーボールでの「東洋の魔女」と呼ばれた日本チームの優勝場面を実況されたことが有名である。私などはそれよりも、高校野球の実況放送でなじみ深い方であった。ご本人は1984年のロサンジェルス・オリンピックの女子マラソンで、スイスのアンデルセン選手がふらふらになってゴールした場面のラジオ放送が一番印象に残っていると言われていたそうである。そういえば、この放送を私も聞いていた。ご冥福をお祈りする。

5月6日
 ニッパツ三ツ沢球技場でプレナスなでしこリーグ第2部第7節ニッパツ横浜FCシーガルズ対オルカ鴨川FCの対戦を観戦する。前半8分に横浜が右からのクロスに対応した吉田選手のヘディングで1点を先制したが、38分に鴨川がセット・プレーからゴールを決めて追いつき、結局1-1で引き分けた。鴨川が両サイドに展開して試合を進めようとしていたのに対し、横浜が何を狙っているのか、もう一つ見えなかったのが気になるところである。
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

tangmianlaoren

Author:tangmianlaoren
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR