ダンテ・アリギエリ『神曲 天国篇』(14⁻2)

3月9日(木)晴れ

 ベアトリーチェに導かれて天界へと旅立ったダンテは月天、水星天、金星天、太陽天で彼を迎えに来た魂たちと対話を交わし、知恵を深めていく。太陽天では様々な対話の後に、ベアトリーチェが最後の審判の後に死後の魂はどうなるのかという問いに答えてほしいと神学者たちに要請し、ソロモン王の魂が最後の審判の後には魂と肉体とが融合して、人間はより完全になり、神が与える「恩寵」も増すので、輝きも増すと答える。

 この後で、復活した肉体を取り戻し、完全になることを待ち望む太陽天の魂たちは喜んで第三の輪を作り、ダンテたちを祝福した。その輝きにダンテは圧倒されるが、
しかしベアトリーチェが微笑みながらあまりにも美しく
私の前に現れた。その愛は、記憶が追いつけなかった
あの数々の光景の中に置かれることになる。

その姿からわが目は再び上を向く力を
とりもどした。そして私は、自分がわが貴婦人だけをともなって
さらに高い幸いへと運ばれたことが分かった。
(215-216ページ) こうしてダンテとベアトリーチェは次の天空へと運ばれていった。

私は自分がさらに昇っていたことにはっきりと気づいたのだ、
その星の燃えるような微笑のために。
それは普段よりも赤々としているように感じられた。
(216ページ) 彼らが次に訪れるのは火星天である。ダンテとベアトリーチェの訪問を喜び、火星は普段よりも赤く変じているのである。

 ダンテは全身全霊を込めて自身の感謝の想いを神にささげ、それにこたえて赤い無数の星が神を表す円と、キリストの受難を表す十字架を形作ってその中を動き回り、その十字架の上に磔刑のキリストの姿が輝くのを見た。
ここでは我が記憶は我が詩才を凌駕している。
というのも、キリストがあの十字架の上で稲妻のように光を放っていらしたのに、
(218ページ)

 そして美しい響きで地獄と悪に勝利するキリスト、つまり復活のキリストをたたえる歌が聞こえてきた。
その場所で私の前に現れた光の群れにより
十字架の上に一つの旋律が満たされ、
歌を聴き分けられない私の心をも奪った。
(219ページ) 聴き分けられないと言いながら、彼はいくつかの言葉を聴きとる。
それは気高い賞賛の歌であるとはっきり分かった。
なぜなら、訳が分からぬまま聴きとろうとしている者のようではあっても、
「復活を」「勝利を」と私に聞こえてきたからだ。

私は魅せられて愛に酔ってしまったかのようになっていた。
このような甘美な絆で私をとらえたようなものは
その時まで一切なかった。
(220ページ) 太陽天では、三位一体により創造された人類が、牢獄としての肉体の状態ではなく、完全なる肉体を手に入れて完成することが述べられていたが、そのような完成体への道を開いたのが、キリストの殉教であったことが語られている。

 火星天に達したダンテは、そこで彼を出迎える魂たちとどのような対話を交わすことになるのか。それはまた次回に。 
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