ジェイン・オースティン『エマ』(2)

2月27日(月)曇りのち晴れ、朝のうちは寒かったが、次第に気温上昇

 イングランド南東部のサリー州のハイベリー村の村一番の名家の娘であるエマ・ウッドハウスはもうすぐ21歳になるが、美人で、頭がよくて、明るい性格の女性であった。16年にわたって彼女の家の住み込みの家庭教師(=ガヴァネス)を務めてきたミス・テイラーが近隣のランドールズ屋敷の主人であるウェストン氏と結婚したので、彼女は病弱な父親との二人暮らしをすることになった。ミス・テイラーとウェストン氏との縁結びをしたのは自分だと確信しているエマは、教区の牧師で独身のエルトンの縁結びに取り掛かると言い出す。エマの姉の夫の兄で、ハイベリーの隣の教区の大地主であるジョージ・ナイトリーはエマに直言できる数少ない人物の一人であり、彼女に「お嫁さん探しは本人に任せた方がいい」(ちくま文庫版、21ページ)と忠告するが、耳を貸すようなエマではない。(以上第1章)

 「ウェストン氏はハイベリー村の生まれで、ウェストン家は、2,3世代前に財を築いて上流階級の仲間入りをした、立派な家柄だった。ウェストン氏は立派な教育を受けたが、働かなくても暮らせるだけの財産を早くに相続したので、兄たちのような地味な職業につく気になれなかった」(22ページ) それで彼は国民軍に入隊して、大尉になり、社交好きな性格でどこへ行っても人気者となり、ヨークシャーの名門チャーチル家の令嬢と知り合って結婚したが、チャーチル家の人々は身分違いだとして反対で、妹夫婦とは絶縁してしまった。しかし、3年後にウェストン氏の妻が死ぬと、子どものいないチャーチル夫妻はウェストンの子どもであるフランクを引き取り、自分たちの跡を継がせようと育てていた。ウェストン氏は毎年ロンドンでフランクとあっているが、自慢の息子で、ハイベリーの村人たちもまた彼が村に姿を現すのを待ちわびている。(第2章)

 「ウッドハウス氏は彼なりに社交を好み、友人たちが遊びに来てくれることは大好きだった」(31ページ、もっともその友人たちの選り好みがあった)。ウッドハウス家のハートフィールド邸を訪れる人々としては、ウェストン夫妻、ナイトリー氏、それから若い牧師のエルトン氏が主だったメンバーであった。
 この4人の後に第2のグループが控えていて、その中で一番よく招かれるのはハイベリー村の元牧師の未亡人であるベイツ夫人、その独身の娘であるミス・ベイツ、そしてゴダード夫人で、彼女はゴダード寄宿学校の校長である。この学校は「昔ながらの良心的な寄宿学校であり、ほどほどの授業料で、ほどほどの教養を身につけることができる」(34ページ)。『虚栄の市』のベッキーとアミーリアが学んだ学校ほど高級ではないが、まずまず地方的な名声を得ている学校らしい。
 ある朝、エマはゴダード夫人から学校の(校長の家族と同居する)特別寄宿生であるハリエット・スミスを連れて行っても構わないでしょうかという伺いの手紙を受け取る。いつも同じ顔ぶれで少しはうんざりしていたエマは喜んで承諾する。ハリエットは誰かの私生児で、ある人物によって寄宿学校に預けられているのだが、17歳のなかなかの美人である。エマはハリエットが気に入り、彼女を善導して、レディーに仕立て上げようという野心を抱く。ハリエットはそれまで学校で一緒だった若い娘の実家に長期滞在していたが、マーティンというその農家の人々からは引き離さなければならないと考える。(第3章)

 エマはハリエットと親しくなり、ハリエットが滞在していたマーティン家の様子を聞き、彼女の同級生の兄であるロバートがハリエットと結婚したがっているらしいことを知る。エマは、ハリエットもロバートに関心を抱いていることを見て取り、いよいよ離間を図ろうとする気持ちを強くする。「馬に乗っていようが歩いていようが、私は若い農夫には興味がないの。自営農民(ヨーマン)は、私とは無縁な人たちですもの」(46ページ) ドンウェル街道を散歩していたエマとハリエットが偶然、ロバートに出会った際に、エマはロバートを観察してみたが、彼に対する低い評価は変わらず、ハリエットにロバートのような身分の低い男性ではなく、紳士と――エルトン氏と――結婚するように仄めかす。(第4章)

 エマがハリエットと仲良く付き合い始めていることを知ったナイトリー氏は、そが二人のどちらにとっても良い結果をもたらさないだろうと、エマをよく知っているはずのウェストン夫人に話すが、ウェストン氏は彼の言おうとしていることが理解できない。エマは母親に似て、頭がよく、そのために甘やかされて育ったので、何かを最後までやり遂げる習慣を身に着けずにいるとナイトリー氏は指摘する。それでもナイトリー氏はエマの美しさを認め、彼女にはなぜか、「人に心配と好奇心を起こさせる何かがある」(63ページ)ともいう。さらにエマは父親の面倒を見なければならないので、一生結婚しないと言っているがそれでよいのだろうか、彼女が恋をする姿を見てみたいともいう。それに対しウェストン夫人は今のところエマには結婚を勧めないが、一生このままでもいいとは思っていないと答える。(はっきり書かれていないが、ウェストン夫妻はエマをフランクリンと結婚させたいと考えているようである。) (第5章)

 こうして、エマ自身はミス・テイラーがウェストン夫人になった後の新しい話し相手としてハリエットを見つけ、彼女を今度は牧師のエルトンと結びつけようと考えはじめている。そういうエマとハリエットの関係をナイトリー氏は心配するが、心配しているのは彼だけである。エマの父であるウッドハウス氏はエマがずっと独身で自分の面倒を見てくれるものと信じているようであるし、ウェストン夫妻にはまた別の思惑がある。ハリエットとロバートは本当のところ、お互いに惹かれあっているらしいのだが、エマはその恋愛を頭から否定してかかっている。
 今回は、主要登場人物と、その性格の紹介という感じになったが、まだ登場していない主要人物もいるし、フランクリンのように名前だけは出てきているが、物語の舞台に上がってこない人物もいる。ナイトリー氏がロバートの実直な性格と働きぶりを高く評価し、信頼しているのに対し、エマが彼の容貌や身分を問題にして、ハリエットとの仲を裂こうとしているという対照的な姿勢が、2人の性格やものの考え方をよく表すだけでなく、今後の物語の展開にとっても意味を持っている。
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