日記抄(12月23日~29日)

12月29日(木)晴れ

 12月23日から本日までの間に経験したこと、考えたことなど:
12月23日
 新潟県糸魚川市で火災があり、多くの方々が被災された。心よりお見舞いを申し上げる。糸魚川には30年以上昔に2泊3日で滞在したことがあるだけで、あまり詳しい記憶は残っていないのだが、温かい歓待の中で、同行した同僚と夜遅くまで飲みかつ語り合ったことは覚えている。この大火で、市の中心部の古くから繁華街として栄えてきた一帯が焼失、昭和初期からの由緒ある建物のいくつかが灰燼に帰したそうである。新潟県の西北端の地方文化の中心地の文化の少なからぬ部分が失われたことは惜しんで余りある。
 火災について報道する『朝日』の紙面に掲載されていた写真の左下に、女神と幼児の像の後ろ姿があたかも火災を心配して立ち尽くしているような感じで収められていた。これは『古事記』に登場する古志の奴奈川姫と彼女が出雲からやってきた大国主命との間に儲けた建御名方神(諏訪神社に祀られる神様)である。神話時代からの伝統を持つこの町の、被災された皆さんの生活の一日も早い再建と、伝統ある地方文化の再生とを願うものである。
 NHKラジオ「実践ビジネス英語」の”Quote...Unquote"のコーナーで紹介された言葉:
Time is the most valuable thing a man can spend.
---- Theophrastus (Greek philosopher, c.372- c.287B.C.)
(時間とは、人が費やすことのできる最も貴重なものである。)

12月24日
 NHKラジオ「攻略!英語リスニング」は”The Nutcracker"(くるみ割り人形)を話題として取り上げた。E.T.A.ホフマンの『くるみ割り人形とネズミの王様』を、アレクサンドル・デュマ(父)が翻案したものをバレエ化し、1892年にサントペテルスブルクで初演した。その際に、チャイコフスキーの音楽は評価する人もいたが、バレエ作品としては不評であったという。しかし、その後、評価が高まり、
The Nutcracker has become such a Christmas staple ---- especially in the States.
(『くるみ割り人形』は――特にアメリカで――クリスマスの風物詩となった。)

 ホフマンの原作はconsiderably darkerであったといわれているので、どんなものであったのだろうか。講師の柴原さんは英国滞在中に<くるみ割り器>(人形ではない)を持っている人に出会ったことがないと書いているが、日本でも持っている人は持っている。私も昔、日本橋の木屋で買って持っていたけれども、引っ越しを重ねるうちにどこかに紛れてなくしてしまった。今でも木屋では売っているのではないかなぁと思う。

12月25日
 『朝日』の地方欄に「カジノは子どもたちに有害」だとして、横浜市にカジノを誘致しようとする動きに反対する集会が開かれたという記事が出ていた。賭博をめぐってはさまざまな議論があって、十分な論議を尽くさずにカジノ法案が強行採決されたこと、その経済的な効果についての見通しがあまりにも甘いことを考えると、私はこの法律には反対である。多額の予算をかけてカジノを建設したのはいいけれども、天災で全壊したなどということになったら、目も当てられないね。

12月26日
 『朝日』の朝刊に東京大学が女子学生に家賃を補助するという施策を打ち出したことをめぐっての反響についての記事が出ていた。これが男女平等の原則に反するのではないかという議論もあるとのことであるが、むしろ女子の場合には家族が受験に際して「無理しなくても」という風潮があることの方が問題ではないか。私は怠け者だから、男子についても「無理するな」というようなことを言うようにしてほしいと思うのである。

12月27日
 『朝日』の朝刊に『吾輩は猫である』に登場する禅学者の八木独仙のモデルは、ドイツの哲学者のパウル・ドイセン(1845-1919)であるという杉田弘子『漱石の「猫」とニーチェ』の中の説が紹介されていた。漱石の同僚であった姉崎正治がこのヤギヒゲをはやした哲学者に私淑していたというのだが、この程度ではヒントではあっても、モデルとは言えないだろう。高橋英夫による岩元禎の評伝『偉大なる暗闇』のなかに昭和5年から7年まで岩元が一高の「哲学概論」の授業のテキストとしてドイセンの『エレメンテ・デア・メタフィジーク』を用いたという記事が出ていて、岩元がショーペンハウアーの後継者でニーチェの親友であったこの哲学者を高く評価していたことが知られるのだが、岩元に教えを受けた九鬼周造とか、和辻哲郎(漱石門下である)の世代になると、ドイセンを飛び越えて、もっと新しい哲学を輸入し、また自らの学説を展開することになる。(もっとも、九鬼や和辻が一高に在学していたころには、岩元はドイツ語しか教えていなかったのである。)

12月28日
 NHKラジオ「実践ビジネス講座」の”Quote...Unquote"のコーナーで紹介された言葉:
Let thy speech be better than silence, or be silent.
     ---- Dionysius of Halicarnassus (Greek historian, c.60 - c.7 B.C.)
(沈黙よりましな発言をしなさい。さもなければ、沈黙していなさい。)
 ハルカリナッススは小アジアにつくられたギリシャ人の植民都市で、ヘロドトスの出身地でもあった。この都市がペルシャに占領されたことが、ヘロドトスがその『歴史』を書くきっかけになったと考えられる。

12月29日
 NHKラジオ「まいにちイタリア語」応用編『古代ローマ幻想散歩』は”Giochi e svaghi" (ゲームや遊び)を話題として取り上げた。
C'erano vari giochi e svaghi. Quello più comune era il gioco con i dadi: si giocava con dadi a 4 o a 6 facce. Spesso si giocava d'azzardo, anche se era proibito pubblicamente.
(さまざまなゲームや遊びがあった。より一般的だったのはサイコロ遊びで、4面や6面のサイコロを使った。表向きは禁止されていたが、しばしば賭博も行われた。)
A Roma si practicavano anche vari giochi con la palla. Uno molto popolare era il trigon, che si giocava in tre persone.
(古代ローマではボールを使ったさまざまなゲームも行われていた。とても人気があったのはトリゴーンという、3人で遊ぶゲームだった。)

 『朝日』の朝刊の「ザ・コラム」の項に「残された言葉 日本人は変わったのか」という見出しで、上智大学の学長をされていたヨゼフ・ピタウ神父のことを駒野剛さんが書かれていた。一度だけ大船にある母校で、ピタウさんの講演を聴いたことがあり、非常に柔軟な考えをされる方だなあという印象が残っている。駒野さんの文章にも記されている通り、イタリアのサルデーニャ島の御出身であり、日本への愛着とともに、故郷のことを懐かしく語られていたことも思い出す。

 アメリカの女優であるデビー・レイノルズさんが亡くなられた。84歳。歌手であったエディ・フィッシャーとの間に儲けた娘のキャリー・フィッシャーさんが急死したという知らせを受けた直後に、今度は母親の方が急死された。エディがデビーを捨てて、エリザベス・テイラーと結婚したために、デビーの方に同情が集まったというのは古い映画ファンならば誰でも知っていることで、そのデビーとリズがMGMのミュージカル映画を集めた『ザッツ・エンタテインメント』の中で、順序を少し離して登場しているのに納得したこともずいぶん古い話になってしまった。その後、デビーとリズは和解、デビーは映画史に関する博物館を建てようと一大コレクションを作っていたけれども、持ちきれなくなって手放したというような話を聞いた。しかし、瞼に浮かぶのは青春スターとしてけたたましく活躍していた若いころの姿である。謹んでご冥福をお祈りする。

 NHKラジオ「実践ビジネス英語」の”Quote...Unquote"のコーナーで紹介された言葉:
Do not fear mistakes. You will know failure. Continue to reach out.
     ―― Benjamin Franklin
(U.S. statesman, diplomat, inventor and scientist, 1706 -90)
(ミスを恐れてはならない。人は誰でも失敗を知ることになるが、手をさし伸ばし続けなさい。)

 同じく「まいにちフランス語」では、フランスの学校教育(中等教育)についてのインタビューが取り上げられ、コレージュ(中学校、日本では小学校が6年、中学校が3年であるが、フランスは小学校が5年、中学校が4年)とリセ(高等学校)での外国語教育の現状が紹介された。中学ですでに第二外国語を履修するとのことであるが、第一外国語としては英語、第二外国語としては最近ではスペイン語が多く学ばれるようになっているという。さらに、高校では第三外国語も開設されていたり、中学から地方語(バスク語とかブルトン語、アルザス語、オック語など)の授業も行われているというのは、注目すべきことである。 
 
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