日記抄(10月21日~27日)

10月27日(木)晴れのち曇り

 10月21日から本日までの間に経験したこと、考えたこと、その他:
この1週間、ずいぶん多くの方々の訃報に接した:ラグビーの平尾誠二さん、川柳家の尾藤三柳さん、登山家の田部井淳子さん、俳優の平幹二郎さん、声優の肝付兼太さん、大相撲の元羽黒岩の戸田智次郎さん、作家の高井有一さん、浪曲師の春野百合子さん、そして昭和天皇の弟でオリエント学者であった三笠宮さま。謹表弔意。死はすべての人間に平等に訪れるとは言うものの、同じ歩調で歩み続けているはずの時間が急に足取りを速めたような気がする。私が訃報を気にしすぎているというだけのことかもしれないが…。

 10月20日のNHKカルチャーラジオ『鴨長明と方丈記』第3回「治承の辻風と福原遷都」で長明がこれらの出来事に対し、現地のお状況を積極的に見て回っていることに注目して、それを「当代きっての歌人」であった西行の源平の争乱にかかわるまいとする姿勢と対比している。それぞれ自分の信念に基づく行動であり、どちらがいいというものではないと思う。それに、西行も奈良の大仏の再建に協力というような形で、時代とはかかわっているのである。

 訂正
 10月20日付の「日記抄」10月14日の項で、W.B.イェイツが1865年生まれで森鴎外と同年であると書いたが、鴎外は1862年生まれであった。同じような間違いを繰り返さないように、以後気を付けたいと思う。

10月21日
 NHKラジオ「実践ビジネス英語」の”Quote...unquote"のコーナーで紹介された言葉:
The teacher is one who makes two ideas grow where only one grew before.
          ---- Elbert Hubbard (U.S. author; 1856 - 1915)
(教師とは、それまでアイデアが1つしか育たなかったところに、2つ育つようにする人のことである。)
 そういう教師は実に少ない。

 同じく「まいにちイタリア語」応用編『古代ローマ幻想散歩』ではローマ時代の衣服(l'abbigliamento)について話題にした。典型的なローマ市民の男性はトガ(toga)という服を着ていた。英国やアメリカの高校・大学ではトガ・パーティーというのを催すことがある。むかし『アニマル・ハウス』というアメリカ映画で見たのは、ただトガを着て騒ぐだけのものであったが、本当はラテン語で話をするということらしい。

 NHKカルチャーラジオ『漱石 近代科学に出会う』は『吾輩は猫である』の中のニュートン力学にかかわる箇所を取り上げて、その理解の正確さを示す内容であった。

 NHKラジオの「エンジョイ・シンプル・イングリッシュ」は4月~9月に再放送であるが、昼食に何を食べるかというところでcurry and riceといったのが気になった。curry and riceというのは、少し気取って、カレーとライスが別の入れ物に入って出てくるものをいう。同じ皿の上に載っているのはcurry with riceというはずである。

10月22日
 『朝日』の朝刊に「家庭教育支援 国が方針」という記事が出ていた。家族・家庭の在り方が多様化していく中で、特定の方向だけを推進する施策がとられるとすれば問題である。

 NHKラジオ「攻略!英語リスニング」は”George Gershwin"を話題として取り上げた。彼は20世紀を代表する作曲家の1人であり、
a bridge between popular and classical music in his inimitable urbane way (他の人にはまねのできない、あか抜けたやり方で、ポピュラー音楽とクラシック音楽の橋渡しをした)という。ロシア系ユダヤ人移民の子で、ブルックリンで生まれ育った彼は、ほとんど独学でピアノを学んで、ティン・パン・アレーで「ソング・プラガー」つまり楽譜を探しに来たお客さんに曲を演奏して聞かせる宣伝係として働いていた。ティン・パン・アレーというのはアメリカでもっとも影響力のあった音楽出版社グループの名前で、ニューヨークに実在する地名に由来する名前である。

 サッカーの皇后杯1回戦が各地で行われ、横浜FCシーガルズは5-0で徳山大学に勝利。これからどこまで勝ち進めるだろうか。

10月23日
 『朝日』朝刊に大学入試改革をめぐる記事が掲載されていて、「日本の大学も近年、推薦・AO入試の拡大など入試改革が進展し、優秀な学生獲得で成果を上げ始めた」という意見が出ていたが、実例や数字を挙げて成果を示さないと説得力がないのではないか。推薦・AO入試に向けた受験産業の取り組みの進展というような別の側面も視野に入れて問題を考えてほしいものである。大学は入試改革によって優秀な学生をとることよりも、教育の改革に取り組んで、凡庸な学生を優秀に育て上げることの方に力を入れるべきであるという私の意見に全く変わりはない。

 同じく、書評欄に門玲子編著『幕末の女医 松岡小鶴 1806-73』という書物が取り上げられていた。彼女の日記は当時の女性としては例外的に、風変わりな漢文で記されているという。柳田国男の祖母についての本格的な研究のようである。

 この書物と並んで、ジャック・ルゴフ『時代区分は本当に必要か? 連続性と不連続性を再考する』(藤原書店)が取り上げられていた。これも読んでみたくなる話題を取り上げた書物である。

 ニッパツ三ツ沢球技場で横浜FC対ザスパ草津の試合を観戦する。横浜が開始早々、野村選手のゴールで1点を先行するが、草津に連続して得点を許し、1-2で前半を終える。後半52分にイバ選手のミドル・シュートが決まって追いつくと、73分に津田選手がゴールを決めて逆転、そのまま逃げ切って3-2で勝利した。順位は依然として8位、6位の京都が引き分けたので、勝ち点の差は縮まっている。

10月24日
 声優の肝付兼太さんが亡くなられていたことが分かった。1963年ごろから声優としてアニメーションの吹き替えで活躍され、特にテレビ朝日の『ドラえもん』のスネ夫役が印象に残っている。実人生でも親友であった故たてかべ和也さんの演じるジャイアンとコンビでのび太をいじめる、その呼吸が絶妙であった(それで調子に乗っていると、ドラえもんに復讐される)。原作者である藤子不二雄さん2人に気に入られて、その作品のアニメ化のほとんどに出演、スネ夫以外では、『忍者ハットリくん』のケムマキがよかった。藤子作品以外では赤塚不二夫原作の『おそ松くん』のイヤミ、変わったところでは、「少年徳川家康」の木下藤吉郎役なども演じていたようである。
 スネ夫の先祖は武士で、手柄を立てて殿様からご褒美を頂いたということを自慢しているのだが、肝付さんは庶流とはいえ、戦国時代に南九州に勢力を張っていた豪族で、のちに島津家の重臣となった肝付氏の一族だというのだから面白いめぐりあわせである(つまり、ご褒美を頂いたのではなくて、本当に殿様であったのである)。さらにその前はというと、(大)伴氏で、歴史に名を残す伴善男の子孫だというのだから、話半分に聞いてもなかなかのものである。
 家が金持ちであることを鼻にかけ、ずるがしこく立ち回るのだが、結局は失敗することの多いスネ夫は1970年代、1980年代を通じて、『ドラえもん』の中でもっとも、現実感のあるキャラクターであった。長くこの役を務めた肝付さんが亡くなられたのは、その意味で非常に寂しい。

10月25日
 田中啓文『シャーロック・ホームズたちの冒険』(創元推理文庫)を読み終える。ホームズ物のパスティーシュである「「スマトラの大ネズミ」事件」、アルセーヌ・ルパンのパスティーシュである「mとd」(ホームズも登場する)、赤穂浪士の討ち入りのさなか、雪の降り積もる吉良邸で起きた密室殺人「忠臣蔵の密室」、実はシャーロキアンだったアドルフ・ヒトラーがナチス・ドイツの戦局を左右しかねない事件に挑む「名探偵ヒトラー」、ラフカディオ・ハーンが”怪談”の数々を解き明かす「八雲が来た理由」の5編からなる短編集。推理小説のようでもあり、怪奇小説のようでもあり…異種格闘技という印象が残る。「スマトラの大ネズミ」事件で、解決のカギをチャレンジャー教授が与えてくれたとか、ハーンがパーシヴァル・ローウェルの日本旅行記を読んだとか、当ブログで話題にしたことと関連するネタもある。

10月26日
 1915(大正4)年に生まれた私の父の(もし生きていたら)101歳の誕生日。父は大学時代マンドリン・クラブに所属していたのだが、なぜか駅伝の選手として駆り出されたことがあるらしく、おそらくはそのため俳優で競歩の選手でもあった故・細川俊夫と面識があった。神宮外苑で競歩の練習をしている人がいるので、誰かと思ったら細川だったと話していたことがある。父の在学当時はまだ競歩に転向する前で、細川はエース格の選手だったはずであるが、幸か不幸か所属する大学が脱退騒ぎを起こしたために、箱根には出場しなかった(記録を調べても、私の父親の名前は出場選手の中には出てこない)。

 豊洲問題をめぐる石原慎太郎元東京都と知事の回答:「まったく記憶がない」「職員に任せていた」
ロッキード事件の時の「高官」たちと同じことを述べている。歴史は繰り返す。しかし、そういう歴史を繰り返させる方にも問題がある。「泣いた女が馬鹿なのか、だました男が悪いのか…」という「東京ブルース」が流行ったのは、1964年の東京オリンピックの年であった。

10月27日
 NHK「ラジオ英会話」は”Listen for It Special"として、これまでに登場したCMのうち3つを再度取り上げた。CMを聞いて、それがどんな役に立つかというようなことをこたえる内容だったのだが、
such comfort food like curry rice, soba and udon noodles and suchi (ほっと心和む料理、例えばカレーライス、そばやうどんの麺類、すし)という表現が出てきた。10月21日の項で、curry and riceとcurry with riceの区別について書いたが、英語でも、curry riceと言ってしまってよいようである。 

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