語学放浪記(53)

10月16日(日)晴れたり曇ったり

 今日の『朝日』の朝刊に、NHKラジオ「英会話タイム・トライアル」のスティーブ・ソレイシィさんが登場して、”Let's 道案内”という見出しで、英語を話す人に道を尋ねられた時の心得として、「身ぶり、笑顔…心遣いが大事」と語っていた。特に、詳しく道を教えようとせずに、”this/that way"を使って、大まかな方向を示す方がわかりやすいというのは、「英会話タイム・トライアル」でも言われていたことである。

 「英会話タイム・トライアル」という番組は、NHKラジオ・テレビの英語番組の中ではA2に位置づけられる番組である。繰り返しになるが、説明しておくと、A0「ごく簡単な表現を聞きとれて、基本的な語句で自分の名前や気持ちを伝えられる」という水準の番組がテレビの「プレキソ英語」と、ラジオの「基礎英語1」であり、「プレキソ英語」の方は小学生向け、「基礎英語1」の方は中学1年向けという設定になっている。「基礎英語1」はA1(日常生活での基本的な表現を理解し、ごく簡単なやり取りができる)に少し入り込んでいる。そのA1のレベルに設定されているのがラジオの「基礎英語2」とテレビの「エイエイGO!」である。「基礎英語2」よりも少し高いレベルに設定されているのがラジオの「エンジョイ・シンプル・イングリッシュ」であり、「エンジョイ」はA2に少し入り込んでいる。

 A2というのは「日常生活での身近な事柄について、簡単なやり取りができる」という水準で、ラジオの「基礎英語3」、「英会話タイム・トライアル」、テレビの「おとなの基礎英語」がここに位置づけられている。「基礎英語3」は「中学3年レベルの文法・表現をベースに、「使える英語」を学びます」、「おとなの基礎英語」は「海外旅行で役立つフレーズが、中学校レベルの英語で身につきます」、「英会話タイム・トライアル」は「日常会話をテンポよくスムーズに話せるようにトレーニングします」というのが狙いである。大体、中学校3年、英検で言うと3級レベルということのようであるが、実は中学校3年生がすべて狙い通りの英語の能力を身につけているわけではないし、その後、高校やそれ以上の学校で勉強し、あるいは自分で英語の勉強しても、この水準を達成・維持できているとは限らないというのが、おそらくは一番の問題である。

 「英会話タイム・トライアル」という番組は、月曜日から金曜日までの午前8:30~8:40、午後0:15~0:25、11:00~11:10に放送され、土曜日の午前7:00~7:50、日曜日の午後11:30~月曜日の午前0:20まで月~金曜日の放送分をまとめて再放送される。その狙いをもう少し詳しく言うと、「英語の瞬発力を鍛える」、何かの折にすぐに英語で対応できるスキルを養うということで、私を含めて会話が苦手な人間にとって、グサリグサリとその会話スキルの問題点を突いてくるところがある。英語、特に英会話の勉強をしているという人は少なくないが、この番組を熱心に聴いている人というのには、あまりであったことがないのは、この点と関連しているのではないかと思う。(文法よりも会話が大事だなどという人が、会話について努力しているとは限らないのである。)

 とにかく、中学校3年生レベルの英語を使いこなして、どのように英会話を進めるかという点について、この番組を聞くことで学ぶ点は多いので、私はこの番組については、午後11時からの放送を中心に、うまく放送時間にラジオが聞けるときは、聞き流すことにしている。テキストも発売されているのだが買わずに、気になったことだけメモしている。「エンジョイ・シンプル・イングリッシュ」についても同じ取り組み方である。

 この番組の中で、ソレイシィさんが特に強調しているのが、言葉をそのまま訳すのではなく、やさしく言い換えることが必要だということで、日本語の根底にある発想と英語の根底にある発想が違うのだということをそれとなく気づかせてくれる。この点がまずもって重要である。面白かったのは、以前にも書いたことがあるが、「がんばれ」という日本語に相当するのは”Good luck!"だとか、英語の”Look forward"には「どうぞよろしく」という意味合いがあるということで、これは日本語と英語の両方についてかなりよく知っていないといえないことである。(日本語の「がんばれ」に相当する英語の表現が、どういうものかについてはいろいろな意見があり、中には、英語では「がんばれ」といわずに、むしろ”Take it easy"といって、相手の緊張を解くことの方が重視されているという意見もある。この辺りは、時と場合を見て、使い分ける必要があるのではないかと思う。)

 昔ある作家が子ども時代に森田思軒の訳したヴェルヌの『十五少年』を熱心に読んだ。”Good morning"を「好朝」と訳すような直訳であったが、気にならなかったと回想していたのを読んだことがある。私も森田の訳は読んだことがある(当ブログでも取り上げた)が、これはその作家の記憶違いで、「好朝」という表現は出てこない。しかし、誰かがどこかで、「好朝」という翻訳をしていることはありうることなので、これは探してみる価値があるかもしれない。何が言いたいのかというと、あいさつの類はそのまま、訳しても仕方がないので、この言葉に対応する言葉がどのようなものかを探してみる必要があるということである(英語などは、あいさつが比較的定型化している言語であり、日本語はそうでもないというようなことに、このことから気づくはずである)。

 なお、ソレイシィSoresiという名前はどうしても、音階のSo + Re + Siを思い出してしまうところがあるが、この番組で日本語の歌を英語に訳して歌ったりしているのは、パートナーのジェニー・スキッドモアさんの方である。また番組内で、英語の個人レッスンを受けるような場合には、その先生のスキルやキャリアについて受講者の方でもチェックしておく必要があるといっていた(これは貴重な助言)が、語学番組を聞く場合にも、講師やパートナーの方々のキャリアについてチェックしておく必要がある、どのような英語(あるいはその他の言語)を理想とし、また実際に使っているかを知ることが、自分にとって重要なことであると認識すべきである。
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