ヴァン・ルーン『人間の歴史の物語』(4)

4月22日(月)晴れ後曇り

 メソポタミアの歴史に続いてルーンは、モーセとユダヤ(イスラエルと書くべきだと思うが、ルーンはユダヤの方を好んで使っている)民族について、続いてフェニキア人の歴史的な役割について語っている。

 エジプトで過酷な運命の下に置かれていたユダヤ民族はモーセの指導のもとにエジプトからの脱出を企てる。
After many years of suffering they were saved from their miserable fate by a young Jew, called Moses, who for a long time had dwelt in the desert and there had learned to appreciate the simple virtues of his earliest ancestors, who had kept away from cities and city-life and had refused to let themselves be corrupted by the ease and the luxury of a foreign civilisaiton. (多年にわたる苦しみの後に、彼らはモーセという名の若いユダヤ人によってその悲惨な運命から救われた。彼は長い間砂漠に住み、そこで彼の最初期の先祖たちの素朴な美徳を正しく認めることを学んだ。彼らは都市と都会的な生活から遠ざかり、外国の文明の安易と贅沢によって堕落することを拒否したのである。) モーセが砂漠をさすらったことは旧約聖書に書いてある通りであるが、それに加えて、ユダヤ教の中心的な価値が砂漠の遊牧民のものであるということが仄めかされているようである。

 モーセに率いられた人々は砂漠の中をさすらった後、豊かな土地にたどりつくが、そこにはペリシテ人やカナ―ン人たちがいた。
But the Jews forced their way into the valleys and built themselves cities and constructed a mighty the Jews forced their way into the valleys and built themselves cities and constructed a mighty temple in a town which they named Jerusalem, the Home of Peace. (しかしユダヤ人たちは谷間へと向かって侵入し、都市を建設し、エルサレム、すなわち平和の家と彼らが名づけた町に巨大な神殿を建設した。) 都市エルサレムの建設はダヴィデの時代、神殿はソロモンの時代のことで、モーセよりだいぶ後のことである。その点も含めて、聖書にかいてあることを忠実に受け止めようとする人達にとっては、ルーンの記述には不満があったのではないかと思う。(ダヴィデ、ソロモンについてはその実在を疑う意見もあり、2月23日付の当ブログで取り上げた長谷川修一『聖書考古学』によれば、ダヴィデが実在した可能性はかなり高いというのが現段階での研究の状況のようである。)

 モーセについてルーンは次のようにまとめている:
Not only had he guided his brethren out of foreign slavery into the free and independent life of of a new home but he had also made the Jews the first of all nations to worship a single God. (彼はその同胞たちを外国人への隷属状態から新しい住みかでの自由で独立した生活へと導いただけでなく、ユダヤ人たちをただ1人の神をあがめる最初の民族としたのであった。)

 一方フェニキア人については次のように書く:
The Phoenicians, who were the neighbours of the Jews, were a Semitic tribe which at a very early age had settled along the shores of the Mediterranean.(ユダヤ人たちの隣人であったフェニキア人たちはきわめて早い時期から地中海の沿岸に定住したセム民族の一派であった。)

 彼らは航海と通商に従事する人々であり、儲かると思えば何でも売買したという。
If we are to believe all their neighbours they did not know what the words honesty of integrity meant. (彼らのすべての隣人たちのいうことを信じるならば、彼らは正直とか誠実とかいうことばの意味を知らなかった。) フェニキア人が同時代の隣人たちに評判が悪かったことは記すが、それがフェニキア人の本当の姿を反映しているかどうかについて判断を避けている。
 
 しかしあまり評判がよくなかった民族であるにもかかわらず、彼らは人類の歴史に大きな貢献をした。実際的な民族であった彼らは交流のあった文明の文字を取り入れながら、より簡単に表記できるアルファベットを作り出し、それを他の民族特にギリシア人に伝えた。そしてギリシア人からローマ人、ヨーロッパの各地へとその文字は広まっていった。
・・・that is the reason why this book is written in characters that are of Phoenician origin and not is the reason why this book is written in characters that are of Phoenician origin and not in the hieroglyphics of the Egyptians or in the nail-script of the Sumerians. (それはなぜこの書物がフェニキア起源の文字で書かれていて、エジプト人たちの聖刻文字やシュメール人の楔形文字で書かれてはいないのかの理由である。)

 このようにユダヤ人、フェニキア人の歴史について詳しい政治的権力の推移や、社会経済の特色を強調するのではなくて、ユダヤ人については一神教、フェニキア人についてはアルファベットとその文化的な貢献を力説しているのがルーンらしいところである。
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