ジェイン・オースティン『マンスフィールド・パーク』(2)

9月14日(水)雨が降ったりやんだり

 これまでのあらすじ
 親が愚かな結婚をしたため、貧乏人の子沢山の家庭で育ったファニー・プライスは10歳の時に義理の伯父である准男爵サー・ジョン・バートラムに引き取られ、その屋敷であるマンスフィールド・パークで生活することになる。体が弱く内気なファニーは、伯母である准男爵夫人の世話係をしながら、もう1人の伯母(3人姉妹の長女)で指図好きでえこひいきの強いノリス夫人の意地悪と、いとこたちのからかいに会いながらも、次第に元気を取り戻し、美しく成長していく。唯一の味方は従兄(バートラム家の次男)のエドマンドで、賢明で心優しい彼は、ファニーの境遇に同情しながら、彼女をかばい、その成長に手を貸す。

 長男のトムの不始末もあって、傾いてきた家計を立て直そうと、サー・トーマスは自分のサトウキビ園のあるアンティグアにトムを連れて旅立つ。バートラム家の長女であるマライアは年収が1万2千ポンドという大地主であるラッシュワースに見初められ、結婚話が急速に進んでいる。
 マンスフィールド・パークは静かな田園地帯にあるが、そこにロンドンの悪に染まったヘンリーとメアリーというクロフォード兄妹が現れる。エドモンドは牧師になろうとしている真面目な青年であるが、機知溢れる個性的な美人メアリー・クロフォードの魅力に幻惑される。マライアと次女のジュリアは、(マライアにはすでに婚約者がいるのに)ロンドン仕込みのプレイボーイであるヘンリー・クロフォードの取り合いを始める。アンティグアから一足早く帰ってきたトムは、で歩いてばかりで弟妹たちの恋愛模様には無関心である。クロフォード兄妹の異父姉であるグラント夫人はヘンリーとジュリア、メアリーとトムを結び付けようとしていたのだが、どうも事態は別の方向に動きそうである。
 バートラム家の兄妹たち(トムを除く)とファニー、クロフォード兄妹がノリス夫人に付き添われて、ラッシュワースの屋敷であるサザトン・コートを訪問した時、邸内を案内され、礼拝堂に入ったときに、メアリーはエドマンドが牧師になろうとしていることを知り、喜ばない。牧師(教会)の社会的な影響力は低下していると考えるメアリーは、エドマンドが他の職業、例えば弁護士(イングランドにはバリスター=法廷弁護士とソリシター=事務弁護士の2種類の弁護士があるが、バリスターの方)になることを勧めたりする(この時代、紳士の階層に属する人々が選べる職業といえば、牧師とバリスターのほかは陸・海軍の軍人くらいのものであった)。

第12章
 9月の鳥撃ちのシーズンに入り、ヘンリーは自分の屋敷に戻り、トムがマンスフィールド・パークに戻ってくる。メアリーはトムとエドマンドを比べてエドマンドの方が魅力的だと思う。マライアとジュリアはヘンリーがいなくなったのを寂しがり、どちらも自分の方が彼から愛されていると思い込んでいた。そしてヘンリーが戻ってきた。トムの友人のイェーツがマンスフィールド・パークを訪問したことから、5組のカップルが組めそうだということになり、急きょ舞踏会が開催される。ファニーにとっては最初の舞踏会である。何度か踊って、踊っているのが若者たちだけになり、相手がいないので取り残されたファニーが、相手となるはずのトムを待っていると、ノリス夫人とラッシュワース夫人の会話が聞こえてきた。マライアとラッシュワース、ジュリアとヘンリー・クロフォードがほとんど一塊になって踊るさまを見て、この2組が理想的な夫婦になるだろうなどとうわさ話に余念がない。トムが戻ってきて、年長者のカード・ゲームの相手をしたくないことからファニーと踊りはじめる。(この場面で、エドマンドとメアリーが踊っていることに注目して、マライア、ジュリアのカップルと同じように、恋人同士のようだというのはトムである。人々はトムとメアリーを結び付けたがっているが、トムの方はあまり関心がなくて、事態を客観的に見ているのである。一方、ひそかにエドマンドを慕っているファニーは、それどころではないはずである。この場面で、イェーツがファニーではなく、グラント夫人に相手を申し込んでいるのはどうも不思議であるが、あるいは友人であるトムが踊るものと思って遠慮したのであろうか。物語の後の展開で、彼はジュリアを追い求め始める。)

第13章
 トムの新しい友人であるジョン・イェーツ閣下は、金遣いが荒く、貴族の次男で、相当の独立財産を持っていること以外は、ほとんど何もとりえのない人物であった。彼は別の友人の屋敷で行われる素人芝居のパーティーに参加するつもりだったのが、その屋敷で不幸があったため、取りやめになって、そのままマンスフィールド・パークに姿を現したのである。そして、ここでも若い人々が芝居に興味をもっていることを知り、中止になった計画について残念そうに話していると、トムがここで芝居を上演すればいいと提案する。マライア、ジュリア、ヘンリーの3人は賛成するが、サー・トーマスの留守中に勝手なことをすべきではないとエドマンドは反対するが、押し切られる。そして、上演にふさわしく、屋敷を改造する計画が進められる。ノリス夫人は準備の作業を指図できること、その作業の中で多少とも自分の懐を豊かにすることができるため、計画に賛成する。

第14章
 上演するのは悲劇がよいか、喜劇がよいか、何を選ぶかということで議論は難航したが、イェーツが別の友人たちと上演しようとしていた『恋人たちの誓い』を取り上げることにした。題目は決まったが、今度は配役をめぐっていさかいが起きる。ジュリアは配役が不満で、話し合いの席から飛び出していく。ファニーは上演しようとする芝居も、登場人物も道徳的なものとは言えないので、取りやめになることを望む。(「訳者あとがき」によると、オースティンはこの芝居を見ているようであり、ファニーの気持がどの程度作者の感想を反映しているかは興味ある問題である。)

第15章
 エドモンドはファニーの勧めもあり、彼らが上演しようとしている劇がその社会的身分にふさわしい内容ではないし、道徳的でもないと中止させようとするが、ノリス夫人はこれまでの準備にかけた金が無駄になる(実は彼女は1選も自分の金は使っていない)といって、続行を主張する。ファニーにまで出演を求めたり、屋敷の人々が知らない人間にまで声をかけたりして、上演計画は膨らんでゆく。

 この小説は第48章まであるので、もう少しペースを速めて紹介していきたいと思うのだが、なかなか思い通りにならない。オースティンの代表作『高慢と偏見』が一種のシンデレラ物語であると書いた英文学者がいたが、この『マンスフィールド・パーク』も地主の大きな屋敷に引き取られた少女が、いじめやからかいを受けながら、成長するという話で、これでハッピー・エンドになれば、やはりこれまたシンデレラ物語の一種ということになる。さて、どうなるか・・・。 
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