1年生になったら

3月29日(火)晴れ、温暖

 1年生といっても、小学校ではない、大学の1年生である。
 大学は、卒業式が終わって、新入生を迎え入れる、新入生のほうでは入学に備える、そういう時期ではないかと思う。

 1年生になったら、どんな生活を送り、どんな勉強をすべきかをめぐっては、大学でのガイダンスがあるだろうと思う。ただ、大学というところは、大学の先生たちが思っているよりも広い、大きな世界である。そしてその大学を取り巻く、もっと広い世界がある。

 本日付の朝日新聞の「折々のことば」という鷲田清一さんが担当しているコラムで、英文学者、評論家として、また新劇の指導者として活動した福田恒存の次のような言葉が取り上げられていた:「教育においてもっとも大切なことは、すべてを意識化してはならぬということ、またそんなことはできぬと諦めること」。ガイダンスの際に、大学の教員は学生のことを全部知っているのだから、君たちもそのいうことによく従うべきだということを毎年繰り返して話していた同僚がいたが、教員が学生についてそんなに良く知っているわけはない、ただ、入学試験の成績や、高校時代についての調査書についての情報を得やすい立場にあるというだけのことである。そしてそれは個人情報であるし、職業上知り得た秘密であるから、そんなことを言い触らすのは職業倫理にもとるのではないかという気が今でもする。

 大学時代に卒業論文の審査をしたある女子学生について、主査ともう1人の副査の先生が、この子はおとなしい子ですねえという話をしていたが、実はけっこう乱暴なドライバーであったということを私は知っていたけれども、黙っていた。どんな学生も教師の知らない側面は持っている。そしてそれを別に知る必要もないだろうと思う。
 教師の目が届くわけではないからと言って、学生は何をしてもいいわけではない。むしろ、自分のすることには自分で責任を負うべきである。成績が悪ければ、自分が勉強しなかったからであって、それを教師の指導が不十分であったからだなどといい逃れようとするのは誰も認めようとしないだろう。

 さて、そこで、自分自身が学生として、また教師として、中途半端にしかできなかったことではあるが、大学生としてはこうすべきだということを列挙しておく。
1 重要書類や身分証明に必要なものはしっかり保管しておく。また、どこでどうやって入手できるかを知っておく。
2 行事や授業、サークル活動やアルバイトなどの予定と実行について、手帳やダイアリーでしっかり管理する。それぞれの大学や、その生活協同組合で出している手帳やダイアリーがあれば、それを利用すべきである。
3 将来、就職しようと思っている場合は、そのために必要だと思われる資料を集めて、整理・保管しておく。保管するだけでなく、時々虫干しを兼ねて、眺めて心の準備をしておく。
 教職や研究職につきたいと思っている場合には、授業の資料の類はできるだけ整理・保管しておく。それだけでなく、繰り返し見直すことが望ましい。

 予定と実行についての記録を取っておくのは、自分についてできるだけ客観的に知ることができるようにするためである。あることをするのにどのくらいの時間がかかるか、どのくらいの努力を要するか、他人と比較してどうなのかなど、知っておくべきことは少なくない。何もしないまま自分自身について無限大に近い可能性を信じているのは、まことに危険である。
 確かに、青年時代というのは個人差が目立つ時期ではある。自分の将来の進路を決めて、それに突進するものもいるし、決めかねてうろうろしているものもいる。将来の希望があっても、それを実現していくための裏付けがないのは困ったことで、だから、自分について客観的に知る、将来の希望実現のための足掛かりを作っていくことが求められるのである。私などはうろうろしているほうだったが、そこで居直れなかったために、損をしたと思う。自分が得意でもないし、実績もない分野での就職を強要されて、散々な目にあったからである。その話はまた別の機会にしたいと思うけれども、別にうろうろするのは悪いことではない。学生生活はいろいろだと思った方が大学時代は楽になるはずである。

 本日、長谷川修司『研究者としてうまくやっていくには 組織の力を研究に生かす』(講談社ブルーバックス)という本を読み終えた。これは理科系の研究者を目指す人を対象に書かれた書物であり、大学の1年生よりも、大学院の修士課程の1年生くらいで読むとためになる本だと思うが、それ以外の人が読んでも参考にできる部分がある。大学というのは組織であるから、その特徴や、組織であることの利点を理解することも必要である。そういうことについてのガイダンスがされているか、誰がしてくれるかを注意してみる必要がある。

 4月を目前にして風邪をひいてしまった。それほど重くならないように気をつけることにしよう。

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