ダンテ・アリギエリ『神曲 煉獄篇』(25-2)

3月25日(金)晴れ後曇り

 「…人生を半ばまで歩んだ時/…暗い森をさまよっている自分に気づいた」(地獄篇、26ページ)ダンテは、天界の貴婦人たちの意思を受けたローマ黄金時代の大詩人であるウェルギリウスの魂に導かれて、死後の世界を遍歴することになった。そして彼は地球の内部にある地獄を経て、南半球にそびえる煉獄山を登り、その7つある環道の最後の道にたどりついた。途中から、ローマ白銀時代の詩人であり、キリスト者であることを隠していた罪を煉獄で償い終えて、今や天国に向かおうとするスタティウスが、2人に合流する。ダンテは、死後の世界の魂達は食事をとらないのに、なぜ、飽食の罪を犯した第6環道でその罪を償っている魂が、痩せ細っているのかを疑問に思って問う。ウェルギリウスはその問いに答える役割を、スタティウスに譲る。スタティウスは魂が人間の中にどのようにして宿るのかを説明する。

 この人間の魂、つまり霊的魂は肉体が滅んだ死後も消滅しないとスタティウスは説明する。それどころか
他の能力はすべて沈黙してしまうが、
記憶、知性、意志は
生前よりもさらに鋭敏に活動する。

それは休むことなく自ら、人智を越えた驚異的な方法で
二つある岸辺のどちらかに落ちていく。
そこに至ってはじめて己の進む道を知る。
(374ページ) 神に由来する形相である人間の魂は、質料である肉体がなくても、空気を質料にして感覚を組織し、自身の持つ欲望や感情に従って形が変わるのだと、スタティウスは言う。
以後、これにより彼は外見を手に入れるので、
それは影と呼ばれる。またこれらにより
諸感覚が視覚に至るまで組織される。

これにより我らは話し、これにより我らは笑う。
これにより我らは涙を流し、山中で
君が聞くことのできた、歎きを上げる。

我らに影響を与える欲望や
その他の感情に従い、影は形を変える。
そしてこれが君の驚き見たことの理である」。
(375‐376ページ) ダンテは想像力をめぐらして、人智を超えた世界の事柄を説明しようとする。

 そしていよいよ、ダンテ、ウェルギリウス、スタティウスの3人は煉獄の第7環道を本格的に歩み始める。
ここでは崖の壁が炎を外縁に向けて射かけ、
そして外縁は上方へ息を吹いて
炎をはじき返すことでそれを自分から遠ざけ離している。

そのため私達は壁のない側を
一人々々進まねばならなかった。そして
私は内側では炎を恐れ、外側では転落を恐れていた。
(376-377ページ) 一方には炎の燃え立つ壁があり、他方には断崖がある道を魂たちは進まなければならない。ダンテたちが、この第7環道で出会った魂たちは、淫乱の罪と貞潔の美徳との間で自分たちの生き方を振り返りながら罪を消していこうとしていた。

 いよいよ天国が近づいてきたはずではあるが、ダンテたちの歩む道のりは依然として厳しい。しかし、ダンテは魂たちが炎に焼かれても、その傷(罪)を癒すことができるはずだと思ったのであった。
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

tangmianlaoren

Author:tangmianlaoren
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR