日記抄(3月18日~24日)

3月24日(木)雨後曇り、肌寒い

 3月18日から本日までの間に、経験したこと、考えたことなど:
3月18日
 オリンピックのマラソン代表が決まる。選考方法をめぐって異議を唱える向きもあるが、アメリカのように「一発選考」にすれば、もめないかもしれないが、選考のためのレースに指定されない大会の関係者からすれば面白くないし、「一発選考」が結果を出すかどうかはまた別の問題である。ある意味では「もめる」くらい、選手の層が厚いことは、いいことではないかと思う。

3月19日
 NHKラジオ「攻略!英語リスニング」は”Yasujifo Ozu"(小津安二郎)を話題として取り上げた。日本文化を「発信する」英語力を育てることを目指して、このテーマが取り上げられたのだろうが、溝口でも、黒沢でもなくて、小津というのが気になるところではある。小津のロー・ポジションが”tatami shots"と言われていることを知る。

3月20日
 ニッパツ三ツ沢球技場で横浜FC対レノファ山口FCの試合を観戦する。横浜はルス監督に代わり、増田功作ヘッドコーチが指揮することになった第1戦である。これまで3試合無得点であったからだろうか、三浦カズ、イバ、小野瀬という3トップを先発させたことが目立った。実質的にはワン・トップのイバはまだチームになじんでいないのか、十分に活躍できず、三浦カズもボールを奪われたりする場面が少なからず見受けられたが、後半になって若い小野瀬が2ゴールを挙げて、山口を突き放した。後半から大久保が登場。イバと大久保という上背のある2トップは相手を威圧するに十分な迫力があり、小野瀬の成長と相まって今後が楽しみだなと思った。とにかく、勝ってよかった。これで17位に浮上。

3月21日
 NHKラジオ英会話の時間は月末のスペシャル・ウィークが始まり、”Old News Is New Again"として、”Titanic's last lunch menu to auctioned off"と"Pluto may have ice crust"という2つのニュースが取り上げられた。Pluto(冥王星)はアメリカ人であるパーシヴァル・ローウェルがその存在を予言し、その助手であったトンボーが発見したので、冥王星が”dwarf planet"(準惑星)に格下げされたことに不満を持つアメリカ人が多かったそうである。英語のPlutoを「冥王星」と訳したのは大仏次郎の兄である野尻抱影で、横浜の人であるが、準惑星への格下げに不満を持つ横浜市民が多かったかどうかは不明である。

3月22日
 墓参りに出かける。本当は昨日出かけたかったのだが、体調を考えて1日遅らせたのである。

 アリ・ブランドン『書店猫ハムレットのお散歩』(創元推理文庫)を読み終える。ダ―ラ・ペティストーンは大叔母から相続したブルックリンの個性的な書店を経営ししている。店長はもともと大学の教授だった黒人のジェイムズ。1人しかいない店員はティーンエイジャーのロバート。それに、前の経営者の時代からこの店で毎日を過ごしている黒猫のハムレットも、店には欠かせない存在であるが、どうも、最近、彼は元気がない。「猫のセラピスト」の意見では、自分をできそこないのように感じているのだというのだが、これがどこまで信じられる意見であるかはわからない。その一方で、ダーラとロバートが通っている武術道場で、そこの「師匠」であるトム・トムリンソンが殺されるという事件が起きる。トムの飼い犬であったローマはなぜかロバートになつくのだが、トムの妻のジャンは犬を取り戻そうとする…。
 今回は猫に加えて犬が登場し、トムを殺した犯人捜しのほかに、ハムレットをどのようにして立ち直らせるか、ローマの身の振り方という猫と犬をめぐる問題がそれに絡む。立ち直る過程でのハムレットの活躍ぶりが現実離れがしていて、その点をどのように評価するかが、この作品の評価の分かれ目になりそうである。

 神保町シアターで加藤泰監督の『江戸川乱歩の淫獣』、高橋治監督の『死者との結婚』を見たことは既に触れたが、高橋による小津安二郎の評伝『絢爛たる影絵』を思い出して、読み返してみる。高橋は小津の「弟子」である佐々木康の弟子である堀内真直に師事したというだけでなく、『東京物語』の最下位の助監督として🎬カチンコをたたくという経験をした。『東京物語』の出演者の1人である東山千栄子が『死者との結婚』で重要な役割を演じているというのも興味深い。小津には佐々木のほかに、原健吉という「弟子」がいたが、その原に師事したのが高橋と同期の篠田正浩だそうである。
 小津の助監督で、高橋の表現を借りると「少しでも不逞なものを秘めた」(19ページ)なものは、齋藤武市にしろ、今村昌平にしろ、彼のもとを去っていったという。高橋もその1人であることを自認している。スーちゃん=田中好子が死んだときに、彼女を『黒い雨』で起用した今村昌平が「小津安二郎の映画に出演させてみたかった」と言ったというエピソードが盛んに言及されたが、今村は演出者としての好奇心からこう発言しただけのことで、スーちゃんをほめて言ったわけではないと思う。
 カチンコをたたくということについていえば、山田洋次が自分の助監督としての出発点は川島雄三の作品で🎬をたたいたことだと話していたことを思い出す。山田はもちろん、野村芳太郎の「弟子」であるが、野村の兄貴分であった川島や、その師匠であった渋谷実からうけた影響について考えてみるのも興味深いことかもしれない。

3月23日
 ユーロスペースで『風の波紋』を見たことについては、既に書いた。この映画を見ていて、江戸時代の文人である鈴木牧之の『北越雪譜』と『秋山紀行』のことを思い出した(ほかに書くことがないので、無理に結びつけているというのが真相である)。
 牧之の友人であった十返舎一九は2度越後を訪れ、どこかで聞きつけて秋山郷(信越国境の集落であるが、越後ではなく、信州に属している)について興味を持ち、しきりにその様子を知りたがったので、牧之は実際に秋山郷を訪ねて『秋山紀行』を書いたのだが、それに先立って一九は世を去っていた。昨年の10月から12月にかけて放送されたNHKカルチャーラジオ『弥次さん喜多さんの膝栗毛』で、一九の越後・信州旅行とその成果である『滑稽旅賀羅須』について触れられていた。一九がもう少し長生きして、牧之の『秋山紀行』を目にしていれば、また別の作品が生まれたかもしれないと思うと、ちょっと残念な気がする。

3月24日
 NHKラジオ「実践ビジネス英語」の”Quote...Unquote"のコーナーで紹介された言葉:
Man is but a reed, the most feeble thing in nature, but he is a thinking reed.
    ―― Blaise Pascal
(French philosopher, mathematician, physisicist and inventor, 1623-62)
(人間は1本のアシにすぎず、自然界で最も弱いものだが、考えるアシである。)
 原文はもちろん、フランス語で、もっと長かったような記憶がある。このコーナーでは英米だけではなく、それ以外の人々の「名言」が紹介されている。フランスと古典ギリシアの人たちの言葉が多いような気がする。

 NHKラジオ「まいにちロシア語」の放送の中で、井上靖の小説『おろしや国酔夢譚』の映画化について触れられていた。この作品でロシアの女帝エカテリーナをフランスの女優であるマリナ・ヴラディMalina Vladyが演じていたことについても語られた。彼女はもともとはロシア人だそうであるが、エカテリーナはもともとドイツ人なので、どこか勘違いがあったような気がする。
 ヴラディはフランスで有望な新人女優に与えられるシュザンヌ・ビアンケッティ賞を1954年に受賞している(古い話だね)が、1948年にこの賞をとったオディール・ヴェルソワOdile Versoisは彼女の実姉である。ヴェルソワはカトリーヌ・ドヌーヴの主演作『めざめ』に出演していたのを記憶している。姉妹女優としての知名度ではヴェルソワ、ヴラディをしのぐフランソワーズ・ドルレアック、カトリーヌ・ドヌーヴはどちらもシュザンヌ・ビアンケッティ賞をとっていない。不思議だが、ほんとうの話だから仕方がない。
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