あるできごと

2月5日(金)晴れ

 横浜駅西口からバスに乗ろうとした時のことである。ちょうど私の直前に並んでいた2人の老女(と言っても、こっちも老人なので、同じくらいの年齢であったかもしれない)が、神奈川県S会館に行きたいのだが、どの停留所で降りたらよいかと尋ねている。この施設は、結構わかりにくい場所にあるので、道を歩いていてどうやっていけばたどりつけるかと尋ねられることがよくある。

 実際問題として、横浜駅からこの施設まで出かけるならば、バスなど利用せずに、歩いていく方がよい。この文章を書くために、施設の案内を検索してみたのだが、駅から徒歩15分とある。実際にはそんなにかからないはずである。彼女たちも歩いていくのがいちばんいいことはわかっている様子だったのだが、道を間違えたくないのでバスに乗るという話だった。実際には、所在を示す標識もあるし、素直に標識に従えば間違えるはずがないところにあるのだが、どうも素直に考えられない事情があるようである。彼女たちの考えていることとは全く逆で、バスに乗って出かければますますわかりにくくなるので、本来ならば、どこにあるのかが分かっている私が案内するのがいちばんいいのだが、そういう気分になれなかった。

 2人組はさらに、バスの中の同じような年配の女性たちとどこで下りればよいのかという話をしていたのだが、要するにバスに乗っていけば大回りになるという話が繰り返されただけで、誰一人として、じゃあ、自分が案内しましょうという人はいなかった(そこまで親切にしたくはないのである)。彼女たちが持っている案内の文書には、市営バスの○番に乗って、これこれの停留所で下りて、…というかなり詳しい(それなりに親切な)経路の説明が記されているようであった。実際問題としては、別の系統のバスに乗って、別の停留所で降りて歩く方が分かりやすい。

 彼女たちの相手をしたほとんどの人が、皆それぞれに親切だったのだが、私を含めて、どこか、なにか、その親切さに欠けている部分があったのではないか。年をとると、その分、経験知が蓄積されてはいるが、それが理論的に整理されておらず、あたらしい事態に即応できなくなっている。そのため目の前で問題が起きたときに的確に対応できなくなるようである。それに、実際に自分で体を動かして何かするというのはおっくうなのである。乗り合わせていた客たちは、それぞれ、彼女たちが降りるべき停留所の前でバスを降りていったので、彼女たちが無事施設にたどりつくことができたかは確認できなかった。

 施設の案内は、それなりに詳しく記されているが、どこか利用者の事情を考えていないところがある。それを手掛かりに出かけようとする人たちも、案内しようとする(私を含め)周りの人間たちも、なにか勘違いをしていたり、大事なところを外していたり、すべきことをしようとしなかったり、そんなことが重なって、人々の善意?にもかかわらず、社会はますます住みにくくなっているのだな…と考えさせられた。
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

かゆいところに

何時もご訪問有り難うございます。最近は東京どころか横浜の街中にも出歩かないので地下鉄や地下街などは特に不安になります。以前、東京をしてい駅でどうどう巡りをしてたどり着いたのが出発点の改札でした。親切も・・かゆいところに手が届くようにしたいと思いますね。

Re: かゆいところに

コメントをありがとうございます。こちらこそ、貴兄の俳句や詩から、いろいろなことを学ばせていただいております。横浜駅西口はもう何十年も歩き回っているので、大抵のことはわかっているつもりですが、知らないところも少なからずあって、道案内の失敗も数知れずというところです。年をとってから、再開発に出会うと、せっかく覚えた地理の知識をいったんご破算にしてまた覚え直さなければならないので、大変ですが、まあ記憶力が追いつけるうちは何とか頑張ろうと思います。それよりも、体力が衰えて、体を動かして案内するのが億劫になっていることの方が問題かもしれません。
プロフィール

tangmianlaoren

Author:tangmianlaoren
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR