日記抄(11月19日~25日)

11月25日(水)雨が降ったりやんだり

 このブログを始めて以来、読者の皆様から頂いた拍手が11月21日に11,000に達しました。遅ればせながら、厚く御礼申し上げます。今後ともよろしくお付き合いの程をお願いいたします。

 11月19日から本日までに経験したこと、考えたことから:

11月19日
 NHKラジオ「実践ビジネス英語」の”Quote...Unquote"のコーナーでは
The drops of rain make a hole in the stone, not by violence, but by oft failing.
----Lucretius (Roman poet and philospher, c.99- c.55 BC)
(雨のしずくは、激しい力にってではなく、幾度となく落ちることによって石に穴をあける。)
という語句を取り上げた。ルクレティウスはローマの詩人で、ギリシアの哲学者エピクロスの思想を「事物の本性について」という叙事詩にまとめた。エピクロス派の哲学は一般に快楽主義として知られるが、「隠れて生きよ」という教えに従って、社会生活の主流から離れたところに隠れ住んで共同生活を営み、その中でささやかな快楽を求めて生きたというのが実際のところである。『神曲』の『地獄篇』『煉獄篇』でダンテの導き手となるウェルギリウスはもともと田園でエピクロス的な隠遁生活を営んでいたのだが、その後、ローマの遠祖である英雄アエネアスを描いた叙事詩『アエネイス』に着手する。これはアウグスティヌス帝の統治を文学的に正統化する政治的な試みであった。神聖ローマ帝国の皇帝によってヨーロッパが平和に統治されることを夢見たダンテが、ウェルギリウスを尊敬したのはこのような事情からであったからと考えられる。『神曲』の哲学的な議論は、哲学的な議論を叙事詩に組みこむことに成功したルクレティウスの影響を間接的に受けているといえる。

 NHKカルチャーラジオ『弥次さん喜多さんの膝栗毛』は第8回で「一九の駿府の旅と弥次・喜多の諸国めぐり」として、一九が同時代の戯作者たちと違って、何度も旅行をしたこと、したがって地方の知識に詳しいはずであるにもかかわらず、彼が『膝栗毛』の中で、各地の方言を忠実に写していないことを指摘した。それは、一つには読者の大部分が江戸っ子であるという事情を考えたこと、もう一つは、方言や地方の風習を笑うのではなくて、弥次喜多の滑稽な失敗に焦点を当てて作中の笑いを構成しようとしていることのためであると論じている。

11月20日
 既に書いたように、横浜シネマ・ジャックで『3泊4日、5時の鐘』を見る。映画を見る前に腹ごしらえをしようと伊勢佐木町通りの中華料理店を探したら、これまで何度か出かけた店の店名が変わっていた。紹興酒を頼む、かなりの量の落花生を持ってきてくれたので気に入っていたのだが、今後はどうなるのだろうか。そのうち、試してみることになるだろう。

 相撲協会の理事長である元横綱の北の湖親方が亡くなられた。「花のニッパチ」と呼ばれる昭和28年(1953年)生まれの力士の代表的な存在だったが、土俵での強さとは対照的にあっけなくこの世を去っていかれたという印象が残る。私よりも若いのに亡くなったというので、さびしい限りである。

11月21日
 NHKラジオ「攻略!英語リスニング」は”matcha"(抹茶)を話題として取り上げた。
I know, I know, it' bitter, isn't it? (わかるわかる。苦いよな?) と語りはじめられていたが、抹茶は「苦い」というよりも、むしろ「渋い」のではないかと思う。このあたりは個人の味覚によって受け取り方が違う。わたしの場合、20代の半ばの頃、アルバイトで東大寺に関係したスライド製作の仕事をして、東大寺に何度も通っていろいろとお願い事をしたのだが、その際にお坊さんから抹茶を頂くことが多かったことを思い出す。別に「苦い」とも「渋い」とも思わず、淡々と飲んだという記憶がある。

11月22日
 午後、東京で研究会、夕方からはその懇親会に出席していた。研究会の中で、日本の青年たちは外国の青年に比べると「自尊感情」が低いことが指摘されているが、自分を大事にできない人間は他人も大事にできないということから人権教育に取り組んでいるという発表があって、印象に残った。

11月23日
 今にも雨が降りそうな空模様だったが、ニッパツ三ツ沢球技場でJ2の今季最終戦横浜FC対ザスパ群馬の対戦を観戦する。前半に横浜のゲーム・キャプテンであるMF寺田選手のミドル・シュートが決まり、1点を先行、そのまま逃げ切った。試合終了後、シーズンを締めくくるセレモニーがあり、サポーターの選ぶ今年のMVPにはFWの大久保選手が選ばれた(これにはだれも異論がないはずである)。その後、今シーズン限りでチームを去る10選手のうちから、野崎選手、中島選手、黒津選手がサポーターにあいさつをした。特に中島選手は2006年のシーズンに横浜FCがJ2で優勝したときのメンバーの1人で、その後別のチームにいたのが、また復帰していたので、名残惜しい。来季の左のサイドバックはどういうことになるのかも気がかりである。

11月24日
 NHKラジオ「まいにちフランス語」に出てきた表現:
Je suis un passionné(e) de films policiers.
(私は探偵(刑事)映画の大ファンです。)
 推理小説を、素人探偵が活躍するものと、警察組織のメンバーが活躍するものの2種類に分けると、英米では両者が拮抗しているが、ヨーロッパ大陸では警察の活躍が目立つように思われる。詳しいことは、それぞれの国でのジャンルの名称を見ながら考えていこうと思っている。(なお(e) というのは名詞、形容詞の女性形に使う語尾である。)

11月25日
 NHKカルチャーラジオ『響き合う美 琳派400年』は「江戸琳派の祖――酒井抱一」を取り上げた。抱一は姫路藩主の家に生まれた(藩主の弟)が、江戸で育ち、気質的に江戸っ子であったという。光琳に私淑し、その画風を継承・発展させ、江戸に定着させたが、若いころは歌川豊春に習って浮世絵を描いたり、俳諧をたしなんだりとさまざまな方面に興味を持ち、才能を発揮した人物であったという。
 大名酒井家は大別すると左衛門尉家と、雅楽頭家(うたのかみけ)となり、前者が庄内、後者が姫路の殿様であった。酒井雅楽頭というと、落語の「三味線栗毛」を思い出す。民間の暮らしをよく知る、粋な殿様が多かった家柄のようである。

 荒井献『ユダとは誰か 原始キリスト教と『ユダの福音書』の中のユダ』(講談社学術文庫)を読み終える。イエスとその教団を裏切り、イエスを売り渡したとされるユダについての4福音書やその他の文献の記述を分析して、キリスト教と新約聖書の成立におけるユダの役割を論じた書物であるが、その作業を通じて、4福音書の成立史やその性格を理解しなおすこともできるのではないかと思った。付録として収められている石原綱成「ユダの図像学」を含めて、教えられるところ、考えさせられるところの多い著作である。
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