日記抄(11月12日~18日)

11月18日(水)晴れ後曇り後雨

 11月12日から本日までの間に経験したこと、考えたことなど:
11月12日
 NHKカルチャーラジオ『弥次さん喜多さんの膝栗毛』は第7回「落咄の会への参加と狂歌師一九」と題して、一九が諸国を旅行しながらその土地の狂歌愛好者たちと交流し、それが戯作の話題を提供していたと述べていた。その際、一九が特定の派閥に属する狂歌師として活動していなかったことが、地方をめぐるときにはかえって幸いしたようであるとのことである。

11月13日
 NHK「実践ビジネス英語」は”America's Declining Mall Culture"(アメリカの衰退するモール文化)の最終回で、この問題をめぐって講師の杉田敏さんがパートナーのヘザー・ハワードさんにモールについてのご自分の経験を語ってもらっていた。夏休みのアルバイトが、高校生(と大学生)にとって経験を広げ、さまざまな出会いの場となるのは日本もアメリカも同じようである。
Malls were also a big source of summer work. That's where most of my first jobs were: the one at the ice cream store, the retail cloghing outlet, and the video store. I'd walk all around the malls, looking for signs saying "Help Wanted" and going in to fill out an application. Or go in without a sign if the place looked interesting. (私が若いころに経験した仕事の多くは、モールにあった。例えば、アイスクリーム店、衣料品店、そしてビデオ店での仕事だ。モール中を歩き回って「店員募集中」と書かれた貼り紙を探し、店に入って申込書に記入したものだ。あるいは、面白そうな店だったら、貼り紙がなくても中に入っていった。) 
 日本では「夏休みのアルバイト」となるところがsummer workで済んでいる。そういえば、日本語のアルバイトはドイツ語のArbeitが語源であるが、これは「労働」という意味である。

11月14日
 NHKラジオ「攻略!英語リスニング」は”Water crisis"(水不足)という話題を取り上げていた。
70 percent of the earth might be covered by water, but only 2.5 percent of it is fresh, and most of it is inaccessible. It's in glaciers and snowfields.(地球の7割は水に覆われているかもしれないが、そのうち淡水は2.5%で そのほとんどは人間が利用できない。氷河や雪原という形で存在しているから。)
 以前「実践ビジネス英語」で出てきた話題でアメリカの飲料水のほとんどは五大湖とコロラド川を水源としているという話だった。2.5%の淡水のそのまたごく一部分だけが飲料水として使われているということで、地球が巨大な水の大陸であることが分かる。

11月15日
 NHKEテレ「日本の話芸」で桂雀三郎師匠の『船弁慶』を視聴した。おかみさんに嘘をついて舟遊びに出かけた男が、川に涼みにやってきたおかみさんに真相を見抜かれて、能の『船弁慶』よろしく大立周りを演じるという噺。しぐさが多いので、テレビ向きといえよう。

 109シネマズ川崎で『ヒロイン失格』を見る。幼馴染の男子に思いを寄せる女子高校生が、他の生徒に彼を奪われそうになり、自分もまた他の男子高校生と親密な中になるが、なかなか元の男子が忘れられない…という話。20代半ばの俳優さんたちが主な役を演じており、高校生活もかなりデラックスに描かれていて、現実離れがしている。おそらく、その現実離れを楽しむ楽しむように作られた作品であり、原作コミックスの画面を再現するような場面もみられる(原作を読んでいるわけではないから、確実なことは言えない)。ヒロイン(本人はヒロイン失格だと自己嫌悪に浸っていたりする)からボーイフレンドを奪う役どころを我妻三輪子が演じている。我妻の出演作は『恋という病』、『さよなら歌舞伎町』、この作品と3本みていて、それぞれに個性的な役柄を演じているが、それらに共通している彼女の個性というのが今一つはっきりしないというのがちょっと心配である。

11月16日
 NHK『ラジオ英会話』の本日のDialogueの題名は”Mother Knows Best"で、これは米国の1950年代の人気テレビシリーズ『パパは何でも知っている』(Father Knows Best)から連想されたものらしい。この番組は日本でも1960年代に日本テレビ系列で放送されていた。

11月17日
 薬がなくなったので医者に出かけ、このところ体調がよくないという話をしたら、風邪の引きはじめかもしれないと葛根湯を処方してくれた。落語のマクラに使う小話でどんな病気の治療にでも葛根湯を呑ませる「葛根湯医者」というのがあるのを思い出して心の中でニヤニヤしていた。この話の原型と思われるのは子どものころ読んだ民話である。村人が物知りのところに出かけて、病気になったというと葛の根を煎じて飲めという。そのうち、村人の飼っている馬が行方不明になったので、どうすればよいかと聞いたところ、葛の根を煎じて飲めというので、いい加減にしろと思ったが、山の中に入って葛を探していたら、山の中を迷っていた馬を見つけることができたという話である。

11月18日
 NHKカルチャーラジオ『響きあう美 琳派400年』の第8回は「大坂で活躍した中村芳中」という題で、芳中(?-1819)は、琳派の影響を受けながら、一方で文人画の影響も受け、多くの文人と交流しながら、おおらかでユーモアに富んだ画風で知られた画家であったという。彼が琳派の始祖の1人である俵屋宗達と同様に扇面画をよくしたという話が出てきて、宗達のことは仮名草子の『竹斎』にも出てくるということだったので、岩波文庫の守随憲治校訂『竹斎』を探し出して、読んでみた。初めの方の「あふぎは都たわら屋がひかるげんじのゆふがおのまきゑぐをあかせてかいたりけり」(28ページ、扇は京都の俵屋(宗達)が源氏物語の夕顔の巻(の場面)を絵具をふんだんに使って書いたものである)という部分について言及したらしい(「あかせて」を「ふんだんに使って」というのは前後の関係を考えての意訳である)。この種の研究は、状況証拠を積み重ねての推論が多くなるということを実感した。

 『竹斎』というのは江戸時代の初めに著された仮名草子で、京都に住む藪医者の竹斎が食い詰めた挙句、江戸に移り住んで再起を図ろうと東海道を下り、その間、神社仏閣・名所旧跡を訪ねて狂歌を詠むという趣向の滑稽・失敗の物語である。好評を博したため、今度は竹斎が東海道を上って京都に戻るという物語を書く者が現われ、さらにその続編ということで、竹斎は東海道を行ったり来たりすることになった。さらに芭蕉が『野ざらし紀行』の中で、「狂句木枯の身は竹斎に似たる哉」と詠んだことで有名になった。岡本かの子の短編小説「東海道五十三次」のなかに、
「 木枯しの身は竹斎に似たるかな
 十一月も末だったので主人は東京を出がけに、こんな句を口誦んだ。それは何ですと私が訊くと
「東海道遍歴体小説の古いものの一つに竹斎物語というのがあるんだよ。竹斎というのは小説の主人公の薮医者の名さ。それを芭蕉が使って吟じたのだな。確か芭蕉だと思った」
「では私たちは男竹斎に女竹斎ですか」
「まあ、そんなところだろう」
 私たちの結婚も昂揚時代というものを見ないで、平々淡々の夫妻生活に入っていた。」(ちくま文庫版『岡本かの子全集 第5巻』73-74ページ)
という個所がある。小説の登場人物も、岡本かの子自身も『竹斎』をそれほど詳しく読んでいなかったようである。岡本かの子と一平の夫婦生活はまことに波乱にとんだものであったことを考えると、「東海道五十三次」はかの子が猫をかぶり続けて書いたような印象を受ける。一種、息を殺した感じが行間に漂っているというのは、考え過ぎであろうか。
 
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