世界にひとつのプレイブック

3月16日(土)晴れ

 この映画は3月11日(月)に見た。3月11日・12日に見た4本の映画の中で批評を書くのが一番遅くなった。見ごたえはあるが、批評を書くのは難しい映画、楽しむというよりも、感動を覚える作品である。前半少し重い気分にさせられるが、後半はおおいに盛り上がる。

 原題はSilver Lining Playbook、辞書によるとsilver liningは「雲の明るいへり;《不幸中などでの》明るい希望、≪前途の≫光明」という意味、playbookは「脚本」という意味もあるが、アメリカン・フットボールで「チームのすべてのプレーと作戦・戦術をファイルした極秘資料ブック」という意味もある。

 妻の浮気現場を発見して大暴れしたために精神病院で暮らすことになったパットは母親のドロレスにより病院を退院させられることになる。病院で仲良くなった黒人のダニーが一緒に退院しようとするが、許可が出たというのが彼の嘘だとわかる。その後も何度かダニーは姿を現しては病院に戻される。

 夫婦で住んでいた家がなくなったので、パットは父母の住む家で暮らすことになる。パットの父親のパット・シニアはブックメーカーをしている。アメ・フトや野球の試合の賭けを引き受けて、配当金を払う仕事である。映画の字幕ではノミやとなっているが、ノミやは非合法、ブックメーカーは合法である。息子と一緒にTVを見るとツキが出るのだと言ってパットをひきとめたがるが、これは兄に比べて出来の悪いパットのことを構いつけてこなかったのを悔んでのことだとあとの方になって分かる。

 パットは薬を飲みたがらず、カウンセリングを受けることも嫌がっている。妻が自分をまだ愛していると信じ込んで、何とか連絡を取ろうとする。当然のことながら周囲の彼を見る目は厳しい。そんな中、友人の家で、妻の友人でもあるその妻の妹のティファニーに出逢う。ティファニーはあった瞬間からパットに好意を抱くが、パットは妻への思いを断ち切れない。ティファニーは夫が事故死したショックで、職場の男性11人、それに女性とも関係をもったという型破りな女性である。ティファニーはダンス・コンテストにパットとともに出場することを決める。

 前半の感じが重いのは、パットに対するセラピーがなかなかうまくいかないからである。ところが彼の医者とアメ・フトのスタジアム前で一緒になったり、ダニーがようやく退院できたりで少しずつ事態が前進しはじめる。そしてパットはティファニーと組んでダンス・コンテストに出場する。

 物語の進行に連れてパットとティファニーの仲が(曲折はあるが)深まり、その一方でパットの家族が連帯感を取り戻すだけでなく、なぜか拡大していく。本来縁もゆかりもないダニーがいつの間にか家族に入り込んでいる。登場人物の多くが困難を抱えながら、事態から逃げずに前向きに生きようとしている。社会の病理は深いが、それと向き合うことで解決も可能だとこの物語は示唆しているように思われる。

 この作品の演技でアカデミー賞を含む各種の主演女優賞をとったジェニファー・ローレンスの魅力が光っている。あまりに魅力的なので、パットが妻に未練を持ち続けるのが見ていて不思議でならないほどである。その一方で女優としての彼女についての将来については、この若さで頂点に立ったことに不安も感じてしまう。出演作や役柄が限定される恐れなしとしない。オスカーの授賞式で転んだという話を聞いたのでなおのことである。その他の出演者も好演。娯楽性よりも芸術性が勝った、どちらかというとあまり大きくない劇場で見るのに適した映画である。
 
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