アガサ・クリスティー『七つのダイヤル』(3)

3月15日(金)晴れ

 税務署に確定申告に出かける。毎年、今年こそ早めに済ませようと思うのだが、ずるずると準備が遅れ、結局最終日に滑り込むことになる。同じような人が多いらしく、税務署は込み合っていた。書類を書きあげる作業そのものはそれほど難しくない(というよりもあなた任せになる部分が多い)が、待ち時間が長い。周囲の話を聞くともなく聞きながら、複雑な事情を抱えている人が多いなあと思うのは例年通り。

 さて、クリスティーの『七つのダイヤル』について。2月19日に第2回を書いてから1カ月近くが経過してしまった。チムニーズ荘では4年ぶりに怪事件が起きる。屋敷に招かれていた青年たちの1人であるジェリー・ウェイドの朝寝坊ぶりを何とかしようと、仲間たちが8個の目覚まし時計を仕掛けるという悪戯を思いつく。ところが翌朝、ウェイドは目を覚ますどころか睡眠薬を飲んで死んでおり、マントルピースの上には7個の目覚ましが時を刻んでいた。青年たちの1人が7つの時計に異常に反応する(気をつけて読んで下さい)。

 事件の後、屋敷のもともとの持ち主であるケイタラム侯爵の娘レディー・アイリーン、通称バンドルが事件に興味を持ち、それどころか、ロンドンに向かう途中で瀕死の青年に出逢い、彼から「セヴン・ダイヤルズ、…ジミー・セシガー」という言葉を聞く。屋敷(事件当時は鉄鋼王クート卿に貸されていた屋敷は、ケイタラム侯爵に戻されている)に戻ったバンドルは、父親からセヴン・ダイヤルズについてきき、彼らの知り合いである外務次官のジョージ・ロマックス(コダーズとあだ名される)のところにセヴン・ダイヤルズから脅迫状を受け取ったというニュースを聞く。再びロンドンに向かう。(書き落としがあるかもしれないが、ここまでは前2回で書いた――つもりである)。

 ロンドンで友人のビル・エヴァズレイ(外務省の装飾的な役人で、コダーズの部下、チムニーズ荘で事件に遭遇した1人である。第2の犠牲者であったロニ―・デヴァルウも外務省の役人で事件に遭遇した1人であった。ジミーとともにウェイドの義妹であるロレインにウェイドの死を知らせに行った後のロニ―の行動が詳しく描かれていないことも要注意)からジミーの住所を聞いたバンドルは、ジミーを訪問し、先客であったロレインと知り合い、ジミーと3人でセヴン・ダイヤルズの謎の解明に乗り出す。バンドルのつかんだ、コダーズが開くパーティーにセヴン・ダイヤルズが関係しているという情報に反応したジミーは彼がそのパーティーに参加することを思いつく。とりあえず3人の相談はそこで終わるが、話はそれで終わらない。

 ジミーの家を出たバンドルはスコットランド・ヤードを訪問し、4年前の事件を担当したバトル警視に面会する。警視からバンドルは、セヴン・ダイヤルズについて知りたければビル・エヴァズレイから聞けばよいと言われる。翌日の夕方、バンドルはビルと夕食を共にする。

 若い2人の男女が怪事件を探るうちに2人の中も発展していくというストーリーは『秘密機関』、『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか』などクリスティーが得意とする展開の1つであるが、この作品のバンドルとビルは協力するというよりもむしろすれ違いを繰り返しながら、事件も恋も発展していく。ビルはしきりにバンドルを誘い、バンドルも悪い気はしないのだが、美人というとすぐにのぼせ上がるビルの悪い癖に半ばあきれ、半ば嫉妬している。

 バンドルはビルからパーティーの参加者について聞きだし、バトル警視がセヴン・ダイヤルズについて知りたければビルに聞けと言われたことを告げる。ビルはそれはクラブの名前だという。バンドルはそのクラブに連れてゆけと渋るビルにせがみ、出かけることになる。クラブで、彼女はチムニーズ荘の副従僕であったアルフレッドに出逢う。バンドルはクラブについても、アルフレッドが転職した経緯にも疑いを持つ。

 いったんチムニーズ荘に戻ったバンドルは、またロンドンに出かけて父親の義理の姉である故ケイタラム卿夫人にコダーズのパーティーに出席できるように口添えを頼む。快楽の追求に明け暮れた生活態度を改めて、社会や政治に関心を持つようになった――ふりをしたのである(このあたりの会話と人物の性格の描写が面白い)。

 さらにバンドルは女中の服を着こんでセヴン・ダイヤルズ・クラブを訪れ、アルフレッドを脅して会議室の棚の中に潜み、この部屋で行われた秘密結社セヴン・ダイヤルズの会議を盗み聞きする。驚くべきことに出席者は時計の文字盤をかたどった丸い仮面をかぶっており、それぞれの文字盤の針が示す時刻によりお互いを呼び合っていた。会議ではコダーズのパーティーが話題になっていた。会議の参加者のリストが読み上げられ、ジミー・セシガーがどのような人物かが質問される。「この男のことは心配することありませんよ。ごく平凡で間抜けな青年ですから」(中村訳、157ページ)。

 チムニーズ荘に戻ったバンドルは、ロニ―・デヴァルウの検死審問に参加しようとするが、同じく参加するというジミーに彼女がセヴン・ダイヤルズ・クラブで経験したことを語る。コダーズのパーティーに参加するドイツの発明家エベルハルトが持っている製法書(formula、中村能三は「化学式」と訳しているがそれでは意味が通じない)が問題らしい。

 さて、パーティーの当日。(続く)

 
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