すーちゃん まいちゃん さわ子さん

3月12日(火)晴れ

 昨日(3月11日)見た映画の中の1本。

 すーちゃん、まいちゃん、さわ子さんは、3人とも30代で独身。20年以上前に同じ職場でアルバイトをして以来の仲良しである。一緒に森に出かけたり、鍋を囲んだりして3人で過ごす機会を設けている。

 すーちゃんは本名森本好子。フロイラインというカフェで働いている。料理が好きで、得意である。店の表に出されているメニューを記す黒板にお客さんへのメッセージを書き添える。「さみしさはひとりでなんとかしなくては」など。その一方で、職場の些細なトラブルの処理を仲間から押し付けられたりする。マネージャーに淡い恋心を抱くが、いつも嫌な仕事を押し付けてくる同僚にとられてしまう。シングル・マザーであるオーナーに仕事ぶりを気に入られて、店長に抜擢される。次第にその仕事にも慣れるが、将来のことを考えると漠然と不安を感じることもある。故郷の母親から時々小包が届く。

 まいちゃんの本名は岡村まい子。OA機器メーカーの営業として働いている。美人で仕事もできるが、男運が悪い。上司や取引先からはセクハラまがいのからかいを受け、年下の同僚から同情めいた冷やかしを浴びる。自分の営業成績も気になる。不倫相手は煮え切らず、肌荒れが気になる。がんばりすぎをどのように軌道修正していくか。結婚相談所に登録する・・・。

 さわ子さんは林さわ子。在宅のWEBデザイナー。母親とともに寝たきりの祖母の介護中。結婚願望はあるが、家族のことを考えると自由になれそうもない。好きな時に表に出かけられる猫のミーちゃんを羨んでみたりする。しかしそのミーちゃんも祖母の温かみを恋しがっているようである。出前を取っているそば屋を継ぐことになって実家に戻った元同級生との中が急速に進展するが・・・。

 益田ミリさんの漫画は個人個人の心理の微妙な体温差の食い違いから生じる様々な問題を微苦笑にくるんでいるところに魅力があるらしい。ある人にとって大事なことが他の人にとってはどうでもない。ある人にとって楽しいことが、他の人にとっては苦痛である。ある人が楽にこなせる仕事が、他の人にはそうではない。それを理解しようとする人と、しない人とがいる。そこから心の渦が生まれる。

 40年以上前に東海林さだおさんが描いていたマンガの題材がしがないサラリーマンの心理の渦であった。そういう渦は誰に起こりうるもので、30代の独身女性の心の渦を描いた漫画が人気を呼ぶというところに時代の変化が反映されているのだろうか。

 『銀座缶詰』の書評で紹介したように、益田さんはすーちゃんに深い愛情を抱いているが、益田さん=すーちゃんというわけではない。益田さんのメッセージの一部であるすーちゃんの人生哲学を通じて何を感じ取るかは、読者・観客の自由である。

 映画は独白を使用するなどして、そういう心理の渦を表現しようとしている。映画の方が漫画に比べて生活の細部に立ち入ることが多く、そこに変化が見られる。どこか見覚えのある商店街の描写など、観客に安心感を与える。3月1日付の毎日新聞の批評はきれいごとになっているというものだが、3人がずっと仲良しのままで、彼女たちの間ではあまり心理的な葛藤が生じない展開に物足りなさを感じたのであろうか。しかし映画には観客に夢を与えるという部分があることも忘れてはならないのである。
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