オスカー・ハマースタイン2世

8月23日(日)晴れ後曇り、一時雨が降りだすかと思ったのだが、本格的な雨は降らなかった。

 8月22日(土)、8月23日(日)とNHKラジオ「攻略!英語リスニング」では”Oscar Hammerstein Ⅱ”(オスカー・ハマースタイン2世)をトピックとして取り上げた。なお、2世に相当する部分は英語ではthe secondと読む。ハマースタイン(1895-1960)はブロードウェイ・ミュージカルの脚本家・作詞家であった。とにかくすごい業績を残した人物なので、それぞれの業績についていちいち調べて書いていると、何冊も本が書ける。だから、ここではこのラジオ番組の本文に即して、気が付いたことだけを書いておこう。

His first musical was called Always You, but his big brak-out success was Show boat.
(彼の初めてのミュージカル作品は『オールウェイズ・ユー』だが、大成功した出世作は『ショウ・ボート』だ。)
テキストの「語句解説」によると、showboatは19世紀初めから20世紀初めにかけて使われた劇場を備えた船をさすそうである。ミシシッピ川などを中心に各地を回り、そこで演芸や劇を披露していた。ハマースタインの出世作『ショウボート』は、エドナ・ファーバー(Edna Ferber, 1885-1968)が1926年に発表した小説をミュージカル化したもの(1927)である。1936年にジェームズ・ホエール監督により映画化され、アイリーン・ダンとアラン・ジョーンズが主演、映画の中でポール・ロブスンが扮するジョーの歌う”オール・マン・リヴァ―”(Ol' Man River)が特によく知られている。この映画は同年、日本でも公開され、当時大学生だった私の父が見たことがあると語っていた。白人と黒人の間に生まれたために、どちらとも結婚できない運命の美人歌手ジュリーを演じていた ヘレン・モーガン(1900-41)の演技が印象的だったそうである。この映画は1951年にジョージ・シドニー監督、キャスリン・グレイソン、ハワード・キール主演で再映画化され、その際にジュリーの役はエヴァ・ガードナーが演じている。この作品の一部は『ザッツ・エンタテインメント』に収められていて、その部分は見ている。この作品はハマースタインの脚本、作詞にジェローム・カーンが作曲しているが、ハマースタインとのコンビで有名な作曲家はリチャード・ロジャーズである。

Even you've heard of some of the musicals they did together: Oklahoma!, Carousel, The King and I, South Pacific, and, of course, The Sound of Music.
(協力して作り上げた作品は、君でも知っているものがあるはずだ:『オクラホマ!』、『回転木馬』、『王様と私』、『南太平洋』、そしてもちろん、『サウンド・オブ・ミュージック』。)
 『オクラホマ!』、『回転木馬』は見ていない。『王様と私』は19世紀のシャム(タイ)の近代化に尽力したラーマⅣ世の宮廷に、王子・王女たちの家庭教師として招かれた女性の実話をもとにブロードウェイの舞台ではガートルード・ローレンスとユル・ブリナーが主演した。その舞台を見ようと、淀川長治が渡米準備中にローレンスが死んでしまったので、取りやめたという話があって、すごいなぁと今でも思っている。ローレンスの伝記を映画化した『スタァ!』というジュリー・アンドルーズ主演の映画があって、見たいみたいと思っているのだが、未だに見ていない。ガートルード・ローレンスと彼女の恋人であった劇作家・俳優のノエル・カワードが共演した『逢びき』(Brief Encounter)はデヴィッド・リーン監督、シリア・ジョンソン、トレヴァ・ハワード主演で映画化されていて、映画史上に残る名作とされている。学生時代に深夜テレビで見て、すっかり感動した作品で、案外このあたりが私の映画へのこだわりの出発点かもしれないと思っている。英国の鉄道の駅はむかしの姿を留めているものが多くて、とくにjunction(乗換駅)という存在がまだ役割を果たしているのに接すると、映画『逢びき』を思い出してしまう。(年少の友人・知人にこの話をしても、まるで通じないのが実にさびしい。)
 『王様と私』の映画化作品はむかし大阪にあった名画座の大毎地下で見たという記憶があるが、その際に、あの主演女優はきれいな人だけど、誰かしら…などと後ろの方で話していた女性客がいて、よほど「デボラ・カー」といってやりたかったけれども、なぜか言わなかったのを覚えている。もっとも、歌は吹き替えで、マー二・ニクソンが歌っている。こちらも誰が吹き替えていたのかを忘れてしまって調べなおしたので、エラそうなことは言えない。
 『王様と私』はブロードウェイで何度も上演され、ヒロインのアンナを演じた女優もセレステ・ホルム、サリー・アン・ホウズ、アンジェラ・ランズベリー、モーリン・マクガヴァン、ヴァージニア・マッケンナ、ヘイリー・ミルズ、ステファニー・パワーズ、コンスタンス・パワーズなどなど百花繚乱の様相を示している。

 『南太平洋』の中では”魅惑の宵”(Some Enchanted Evening"という歌が言及されていたが、この歌はエリザベス・テイラーとウォーレン・ビーティーが共演した『この愛にすべてを』という作品の中でビーティーが多少音程を外して歌っているのが印象に残ってしまっている。先ほど、大毎地下という映画館について触れたが、こちらの作品は確か北野シネマで見たはずである。『南太平洋』の中の歌では、舞台に引き続き映画にも出演しているファニータ・ホールの歌う”バリ・ハイ”のほうが好きである。というよりも、他人の迷惑を顧みずに大声で歌いたい歌を2つ挙げると、”オールマン・リヴァ―”と”バリ・ハイ”というのが私の好みである。好みといえば、『南太平洋』で主演しているミッツィ・ゲイナ-の明るさも好きではある。彼女の代表作の1つである『ゴールデン・ガール』で見せているレビュー・ガールとしての魅力のほうが好きなのではあるけれども。

 さて、番組では
I think he's famous for making musicals less about the stars and the individual songs; he was more about the story. He used songs to further plot.
(私が思うに、ハマースタインはミュージカルにおけるスターや個々の曲の比重を下げたことで有名なんだ。それよりもストーリーを重視した。プロットを推し進めるために、歌を使ったんだね。)
と結論的に語られている。やや、抑えた言い方であって、ハマースタインは『ショウボート』でアメリカのミュージカルに初めて人種問題を持ち込み、社会的な差別や抑圧の問題を絶えずその物語のなかにひそませていたというのがより正確ではないだろうか。ハマースタイン自身がユダヤ系であった(エドナ・ファーバーも同様である)ことも多少は影響しているだろうし、ハリウッドではなく、より多文化的なブロードウェイの観客たちがそのような物語を欲していたということもあるのではないかと思う。

 それで『サウンド・オブ・ミュージック』についてまだ触れていないが、この作品がメイン・ストーリーとサイド・ストーリーを巧みに織り交ぜながら、どちらかというとサイド・ストーリーの方で自分の本音を語るというハマースタインのやり方をやはり踏襲していること、そしてナチスの人種差別的な政策への批判を穏やかだがきっぱりとして描き方で展開していることを指摘しておこう。それから、最後にもう1つ、もう10年くらい前にロンドンのホテルでTVを見ていたら、この映画の特集をやっていて、この作品の出演者たちはその後ずっと1年に1度集まって旧交を温めているという話を紹介していた。そういう人間の結びつきの温かさへの眼差しもまたハマースタインの持ち味ではないかと思うのである。
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